
PHOTO:Lukas / PIXTA(ピクスタ)
「消費者契約法」という法律をご存じでしょうか。
事業者と一般の消費者を比較すると、情報の量と質、交渉力では消費者よりも事業者のほうが勝っていることが多いと思います。消費者契約法は、事業者が消費者の利益を不当に害することがないよう、不当な契約から消費者を守ることを目的の1つとしています。
では、不動産投資で考えた場合、個人の不動産投資家は、消費者と見なされ、消費者契約法が適用されるのでしょうか。もし適用されるのであれば、何らかのトラブルが発生した際の後ろ盾となることも考えられます。実際の判例などから、個人の不動産投資家が消費者として認識されるのかどうか、見ていきましょう。
消費者契約法とは
消費者契約法は、消費者と事業者との間で締結される契約に適用されます。例えば、訪問販売でセールスマンに「持病に効果がある」と言われ、錠剤の健康食品を購入したとします。言われた通りに飲んでも全く効果がなく、医者にも「持病には効かない」と言われた場合、セールスマンが「持病に効く」と重要事項について嘘を言ったことになります。勧誘時の話や資料などで証明し、消費者契約法が適用されれば、契約は無効になります。
このように、事業者と消費者との契約に消費者契約法が適用された場合、「不実告知」(事業者が消費者に、重要事項について虚偽の情報を提供した)や「不利益事実の不告知」(事業者が消費者の不利益となる事実を告知しなかった)に基づいて締結された契約を取り消すことができます。
不動産で言えば、高利率の遅延損害金を定めた契約条項や、賃借人に対する敷金の返還の際、あまりに高額の敷引き金を設定している「敷引き特約」などは、消費者契約法が適用されて無効となります。
「消費者」と「事業者」の定義
では、そもそも「事業者」と「消費者」は、それぞれどのような人のことを指すのでしょうか。定義を考えてみます。
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