PHOTO: テラス/PIXTA

「痛い目に遭うまでは学ばないっていう人、いますよね。まさに私です(笑)」

そんな風に話すのは、不動産投資家である吉井通康氏だ。「なんとなくの就職」や「パワハラによる退職」、「区分ワンルーム・新築アパート投資の失敗」を経て、空き家や築古アパートへの投資に移行し、わずか3年で年間CF1000万円超にまで規模拡大。利回りは最低でも20%という。

その経験を仕組化し、合同会社「いい空間」の代表として約300人の不動産投資初心者の無料相談に乗り、有料で個別コンサルティングも行っている。あえて「問題のある物件だけを買う」戦略をとっている吉井氏に、失敗を経てたどり着いた戦略、そしてその根幹にある「理念」を聞いた。

パワハラで退職した過去

―吉井さんはサラリーマン大家として、10年前に不動産投資を始められたと聞きました。昔から、不動産や投資に興味はあったんでしょうか

そこまで深く投資や不動産について考えたことのない、平凡な人間でしたよ。不動産投資を始めたのも、サラリーマンとして勤めていた頃に、「もっとお金が欲しいなあ」「税金って高いなあ」と思ったのがきっかけです。

多くの人が同じような思いを持っているかもしれませんが、私もそういう大多数のひとりでした(笑)。小さい頃は「先生になりたい」なんて思ったこともありましたが、大きくなって就職活動をしているときに「サラリーマン」以外の選択肢はなく、なんの疑問もなく何となく就職しました。

―これがやりたい、と思って就職した会社ではなかったんですね。

お恥ずかしい話ですが、そうです。最初は、百貨店に勤めました。これが結構大変で、バーゲンのために夜中に搬入して、設営して、1日中呼び込みをして、終わったら夜中にまた搬出して…と肉体労働も多かったのですが、その割に給料があまりにも安かったんです。「これはちょっとマズい」と思って、5年目に転職を決意しました。

当時、流通業界は全体的に給料が安かったのですが、そういうことも知らなかったんです。頭のいい人は、会社に入る前から業界とか職務内容とか給与水準とか、自分のキャリアプランもちゃんと考えているんでしょうが、私はノープランでした。 

不動産投資家であり、合同会社「いい空間」代表の吉井通康氏

―それで、転職されたんですか?

そうです。転職活動中はいろいろな業界を見ていました。面白い経験としてはパイロット養成採用試験に応募して、実際にセスナ機を操縦する最終試験まで進んだこともあるんです。これはすごく楽しかったですね。セスナは落ちていないのですが試験には落ちました(笑)。

最終的に、外資系の保険会社に入社することになりました。当時は新しかった外資系の保険会社でチャレンジしてみたいという気持ちで入社を決めました。

この会社では浮き沈みもありつつ、昇進もしながら20数年、勤めました。ただ、最後の数年間はひどいパワハラに悩まされました。ある日突然、「X役員傘下の部長は全員降格」みたいなことが起こり、仕事を外され、低い評価をされ、給料20%カット…。で、いわゆる「メンタルをやられた」結果、体調を崩してしまい休職、そして退職することになりました。今から3年前です。

後から思うと、原因は「社内政治」です。社内政治は苦手というより、完全に興味が無かったんですが、管理職の出世にかかわる1種のゲームであり「暗黙のルール」だったわけです。

セールストークをうのみにし、新築区分6戸購入

―大変な経験をされたんですね。そんな中で、どのように不動産投資に行きついたのでしょうか。

まだ体調を崩す前、今から10年ほど前から不動産投資を始めていました。「副収入でもう少し稼げたらな」と考えたのがきっかけです。不動産だったのは、「1回仕組みを作ってしまえば、安定収入が得られる」から。投資というと株やFXなども経験がありますが、日々刻々と変化する数字を気にしなくてはいけないし「労働」とあまり変わらないな、と考え、収益物件を買うことにしたんです。

ただ、最初は勉強もしていなかったので、同僚の紹介で、いわゆる「投資用新築ワンルームマンション」を買ってしまいました。当時は外資系企業の管理職でそこそこ年収が高かったので、営業マンの格好のターゲットだったんですよね。「節税になる」「保険代わりになる」「30年後は年金代わりに」というセールストークに乗ってしまったんです。

確かに1年目は減価償却などでマイナスとなり、翌年100万円ほど税金が返ってきました。サラリーマンにとって、毎月の給与でもボーナスでもないお金が100万円も入ってきて「これはすごい」と思って、そのまま立て続けに同じような区分を6戸買ってしまったんです。

―6戸もですか。総額はいくらだったのでしょうか。

全部で約1億2000万円です。ローンもセットの商品だったので、頭金10万円程度で金融機関も貸してくれます。一応それぞれ内見には行ったのですが、勉強不足で内見しても、「この物件綺麗かな」「場所は良いところにあるのかな」ぐらいの、入居者目線。当時の私は「投資家」ではなく、単なる「お客様」。もっとはっきり言えば「カモ」だったんです。

―運営状況はどうだったんですか。

ずっと満室なのに、ローン返済や支出で、手残りはまったくなかったですね。そこでようやく「これは投資なのか? もっとやり方はあるんじゃないか?」と本格的な不動産投資の勉強の必要性を感じました。そこで初めて、楽待の存在も知ったんです(笑)。

会社帰りに不動産会社のセミナーに行きまくるようになって、融資の話や、物件を見るときのポイントなどを学び始めました。

そんな中で、ある不動産会社の社長から「あなたは、この6戸の区分を持っている限り、アパートなんて絶対に買えませんよ」と指摘を受けました。また、銀行の担当者からは「1戸2000万円で買っていますけど、この区分の評価は1500万円です。負債が多すぎて、極端なことを言えば、事業として破綻した状態です」と丁寧ながら、ズバリ伝えられました。それで、さすがの私もついに目が覚めたんです。

―その後はどのように行動されたんですか?

「この物件を持っていても良いことは完全にゼロ。売るしかない」とやっと気づき、売却活動を始めました。すべて売り終えるまでには、2年くらいかかりましたね。結局、この時期の投資では、区分や新築アパート、もろもろ含めて2000万円程度の損失になってしまいました。貯金残高はゼロでした。

成功への転換のカギとなった「理念」

―「失敗」だった区分投資を経て、不動産投資戦略はどのように変化したのでしょうか。

不動産投資の勉強を本格的に始めて、会社帰りにいくつものセミナーや集まりを訪れる中で、「人の役に立つ空き家再生だけ」しかやらない投資家の師匠と出会いました。

まだ区分の売却途中で残債がある中なので金額の大きな物件は買えないですし、少額でできるというのを魅力に感じ、「まずはやってみたい」と思いました。そこでひたすらお願いして、何とか教えてもらうことになりました。

―空き家物件として初めて買った物件はどんな物件だったんでしょうか。

千葉市内にある200万円ほどの築古戸建てです。100平米くらいある広い家でしたが、それまでの自分だったら絶対に買わないようなボロボロの物件。ですが、投資家の師匠に格安で再生する手法を教えてもらって、勇気を出して購入しました。リフォームは100万円で済みました。井戸の物件だったのですが、この井戸が壊れていたので、新品の井戸を掘り直すのに40万円掛かり、残りの60万円だけで壁紙やクッションフロアを張り替えたり、水回りをきれいにしたりという感じです。

築古物件を再生させる時には、もちろん入居者の方に安心して住んでもらえるようにきちんと直さなくてはいけませんが、そうした中でも、どれだけ圧倒的に安くリフォーム費用を抑えられるか、という点が重要になります。

例えば井戸や汲み取り式のトイレだからと、上水道や下水道に切り替えてしまう人も多いですが、こうすると百万円単位でお金が掛かります。一方、そのまま利用すれば数十万円で済む。しかも、この後詳しくお話しますが、入居者は不満に思わないばかりか、むしろ喜んでくれるんです。こうした1つ1つの工夫が大事なんだとわかりました。

―勇気を出して購入した空き家物件、運営状況はいかがでしたか。

ドキドキしましたが、入居者もすぐに見つかり、家賃6万円で貸し出すことになりました。8万~9万円が相場のエリアでしたから、地域最安値です。なのに、広くてフルリフォーム済みの戸建てが借りられる。これは人気物件になりますよね。

―なぜ、その家賃設定にしたのでしょうか?

それは、僕の理念、ビジョンなんです。実は、この空き家再生投資をするにあたって、「不動産にかかわる社会の問題を解決すること」を絶対条件に、物件を購入、運営していくことを決めました。

具体的には、「ほかの投資家が逃げ出すような空き家」ほど購入し、それを、諸事情で家が借りづらい、高い家賃をお支払いしづらい方々に、「他の投資家が追随できないほど安い価格帯の家賃」でお貸ししていくという戦略です。

―「理念」が定まったことで、投資スタイルを確立したんですね。

投資家は、自身の投資をしていく上で「理念を持つ」のが実は成功への近道だと思います。理念がなければ、「ただ儲かればいい」となってしまい、迷子になってしまいます。極端なことを言えば、詐欺スレスレでも儲かれば良い、という判断をしてしまうかもしれません。

「自分さえ儲かればなんでもいい」という投資では、一瞬儲かったとしても、継続的に収益を生み出すことはできません。不動産投資、賃貸事業というのは10年20年と継続的に取り組むビジネスです。だからこそ理念を「絶対条件」というくらい自分自身に染み込ませておくことが重要です。その時々で、こっちだ、あっちだ、今度は向こうだ、と自分をコロコロ変えるのは失敗しやすくなる。「自分自身」つまり「理念」を持つほど、成功しやすくなると考えています。

「理念」があって初めて「投資戦略」が生きてきます。理念は、例えば形式的に「社会貢献が理念です」と掲げることもできるでしょうが、その掲げた理念と実際の戦略が本当に一致しているかはいつも自問自答しなくてはいけませんね。ビジネスがうまく行かない時は、「理念」と「投資戦略」が気づかないうちにバラバラになっているものなんだと思うんです。

問題アリ物件の探し方、リフォームのコツは

―空き家物件の1戸目での成功をもって、同じ手法で投資規模を拡大していったのでしょうか。

そうです。2戸、3戸とどんどん空き家物件を再生させていきました。現在は戸建て約10戸、アパート2棟を所有しています。戸建てもアパートも、ほかの投資家が逃げ出してしまうような物件でした。今はキレイですけどね。もちろん満室です。

―理念に則った物件を探してきたんですね。

はい。僕は何かしら「問題のある」「投資家が逃げ出す」物件を好んで購入しています。問題が大きいほど欲しくなります。それこそが「空き家問題」ですからね。

例えば新築区分やキレイな戸建ては、見た目も場所も素敵ですし、みんながいいと思う物件です。そういう物件は、値段が高くなり、利回りは低くなる。

一方、ボロボロで「問題のある」物件は、投資家の競合が少ない中で、安く買えます。これを工夫しながら圧倒的に安く的確に修繕することで、入居者にも喜んでもらいながら、我々も大きな利益を得ることができる。屋根に穴が開いていても、雨漏りがあっても、汲み取り式のトイレでも、駅から遠くても心配はありません。

むしろ、きれいで駅から近く、資産性がありそうな「誰でも安心できる」物件ほど、投資物件としては怖すぎます。これを買うのは素人だった昔の私です。もちろん、駅近の資産性が高そうな物件は自分が住みたいくらい好きですよ。ただし、投資対象にはしません。

―物件はどのように探しているんですか?

基本的にはインターネットです。ただ、探し方にはコツがあります。「ネットだといい物件が出てこない…」「空き家投資が流行っているので、売り物件自体が少ない…」と感じている方も多いんですが、ネットで物件を検索する際には、無意味な条件を入れないことが重要ですね。

例えば物件を探す際に「駅から15分以内」という条件をなんとなく入れる人も多いですが、築古戸建ての場合は、定年を迎えた夫婦など、駅を日常的に利用しない入居者もターゲットに入ってきますから、そうした条件を入れてしまうと、競合のたくさんいるような、平凡な、少し高めの物件しか出てこない、ということになります。

―「問題のある物件」を買うということですが、その中でも「これは買わない」という物件はありますか?

駅近ではなくてもよいと言いましたが、かといってどこでも良いかというと、そうではありません。わかりやすいのは、山の中などの立地。住宅地ではなくて、山林の中にあるような物件では入居付けが難しく、インフラ整備にも不安が残るので、買わないほうが良いと思います。入居が付くか、付かないか、この見極めが重要ですが、感覚ではなくて、データの見方、判断の仕方を勉強しなければいけません。

―リフォームする際のコツを教えてください。

不動産投資は賃貸事業という「事業・ビジネス」ですから、「誰に」「何を」「いくらで」サービスを提供するのか、というマーケティングの基本が大変重要です。僕の戦略は、「所得の少なめな方に」「きれいにフルリフォームした広い戸建てを」「地域最安値の家賃で」貸す、ということになります。

だからこそ、リフォーム費用は「信じられないほど圧倒的に安く」抑えなくてはいけません。ただ、言うは易く行うは難しです。

例えば汲み取り式トイレの物件は、多くの投資家は反射的に下水につなごうとします。ただ、そうした工事をしてしまうと100万円コースになってしまいます。下水につながずに簡易水洗の洋式トイレにすれば、10万円台でできます。逆に、下水であっても和式トイレのまま、みたいな物件はなかなか埋まりにくいんですよね。このあたりもコツがあります。

物件再生の一例

―築古戸建て物件には融資がつきづらいという話も聞きますが、基本的には現金で買うのでしょうか?

これは僕の掲げる「理念」のメリットでもあるのですが、僕らが事業として空き家を再生させることは、「空き家問題や住宅弱者への入居拒否問題」といった社会問題を解決することそのものなので、コツさえ掴めば融資を得られやすい傾向にあるんです。

僕の仲間の1人は、空き家再生事業で5戸、6戸と融資を引き出して、1円も現金を使っていないケースもあります。どれも築40年、50年クラスにも関わらずです。

失敗する投資家の特徴

―これまでの経験から、「失敗をしてしまう投資家」に共通する特徴は何だと思いますか?

問題解決をしようという考えがない人です。何か問題に直面した時に、「問題があるから避けよう、逃げよう」としてしまう人は不動産投資家としては失敗してしまうと思います。問題があった場合に、「どうやって解決しよう」と考えるクセをつける必要があります。

これは不動産投資だけではないですよね。すべての事業は問題が起きたときは、それに向き合って対処していかなければならない。賃貸業をやっている経営者として行動していくべきです。

それから、他者の経験から学ばない人は失敗してしまうと思います。

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―他者の経験から学ばない人ですか。

僕も先ほど失敗談をお話しましたが、僕みたいに、自分自身が痛い目にあって初めて何かを学ぶ、という人は案外多い。リスクを避けたつもりで、リスクそのものを買ってしまっているんです。

僕みたいなタイプの人間は、事前に他者から何かを言われても、馬耳東風なんです。せっかく、教えてくれても、学ぶ準備ができていないというか、知識武装を避けてしまう。そういう私のような人は必ず失敗します(笑)。

そんな、僕と同じタイプの方へのアドバイスは1つで、「とにかく投資額は小さく、早く始めて早く失敗してください」ということです。僕のように、不動産営業マンのセールストークをうのみにして数千万円、億単位で大きな失敗をするのだけは避けてほしいと思います。まあ、僕みたいな人は言うことを聞かないから、これも無駄かもしれませんが(笑)。

―吉井さん自身の、今後の目標は何でしょうか?

空き家問題や住宅弱者の問題を解決しようとしたとき、自分だけで頑張っていては、年に10~20戸くらいしか解決できません。空き家は毎年10万戸増えていると言われる中で、もっと理念と戦略を一にする投資家を増やさないと間に合わないと思っています。

つまり視点を変えると、「拡大している成長市場」と言えるわけです。多くの人には「問題」に見えるので逃げ出してしまいますが、私には「100年に一度の大チャンス」に見えるので飛び込んで行きたくなります。

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日本の不動産市場は、全体を見れば「縮小市場」です。賃貸物件は余っているのに、日本の人口は減少していきますから、賃貸物件はさらに余る一方です。普通に平均的なことをやっていたら間違いなく失敗するのが今の不動産市場だと思います。

そのために、不動産投資をしたいという方に、僕がこれまで自分が築き上げた理念と戦略を皆さんにお伝えするコンサルティング事業を立ち上げました。理念と戦略で、利回り20%以上を実現できます。今、全国で300人くらいの受講生がいるのですが、年に1000戸の空き家問題と1000家族の住宅弱者問題を一気に解決できる計算になります。

300人の受講生・投資家仲間の中には、私の家賃収入を遥かに速く超えていく方もたくさんいます。びっくりするやら嬉しいやらですね。

目標としては、もっと仲間を増やして、3000人にはしたいです。そうすれば、年に1万戸の空き家問題を解消し、1万戸の最安値の家賃で戸建てを所得の多くない方々にどんどん提供できます。こうして社会問題を解決しつつ、リスクを取った投資家仲間ほど儲かり、そしてさらに物件を買って空き家を解消して…というSDGsな循環サイクルができあがれば、そんな素晴らしいことはないと思います。

ちなみに、私たちの戸建てに入居する方は、近くのアパートから引っ越してくる方が多いです。それまでの家は家族には狭く、音が筒抜け、とにかく住みづらいそうで…。「でも仕方ないよな」とあきらめていたところに、同じくらいの家賃でフルリフォーム済の広い戸建てを見つけて、ビックリしながら引っ越してきてくれるんです。

だから、投資家を育成し、成功しながら「安くて広い戸建て」をもっと増やして、日本社会をもっと暮らしやすい社会にしたいなと願っています。

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