「私の1棟目」と題し、先輩大家の「物件購入」初体験について聞くインタビュー企画。今回は、投資歴13年で専業大家の川村隼太さんに、初めての物件購入体験談を語ってもらった。

川村さんは、関西を拠点に8棟114室を所有し、現在の年間家賃収入は約8400万円、税引き前CFは2800万円。23歳から不動産投資を始め、10年でFIREを実現して専業大家となった。現在の借入総額は約4億5000万円、残債は3億8000万円、返済比率は46%だ(2021年10月時点)。

川村さんは「戸建て再生屋」を自称し、誰も見向きもしないような築古物件を150件近く再生してきた。以前行った密着取材では、築古戸建の再生に対する熱い思いを聞くことができた。

そんな川村さんが23歳の時に初めて購入した物件は、約170万円の競売物件。なぜ競売物件を購入したのか、初めての賃貸経営でどのようなことを経験したのか、話を聞いた。

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突然の左遷、サラリーマン生活に危機感

大阪府豊中市で生まれ育った川村さんは、小さい頃から不動産に対して強い憧れを持っていたという。「兵庫にある六甲山の展望台から、無数の不動産を見て、不思議と不動産に惹かれました。父親にどうやったらあんな建物を持てるのか聞いたことは今でも覚えています。将来はこの中のどれか1つでもいいから持ちたいなと考えていました」と語る。

六甲山から見る景色(PHOTO:オフィスK / PIXTA)

その憧れは時間が経っても色あせることなく、学生時代には恋人とのデートで物件見学をすることが定番になるほどの不動産オタクに。また、住宅展示場やインテリア展示会にも足を運び、購入する不動産の具体的なイメージを膨らませていた。

とはいえ、購入資金もなかったため、「せめて不動産に関する知識だけでも身につけようと、時間を見つけては宅建の勉強をするようにしていました」と話す。

大学卒業後、携われる事業規模の大きさに魅力を感じて、大手サブリースの建築会社に新卒で入社。1年目から、精鋭が集まる社長室に配属となり、経営者の考えを社長の近くで学ぶ機会を得た。

しかし、直属の上司が会社の上層部に楯突いて左遷され、その煽りを受けて川村さんも本社から支店に異動。この出来事で、出世は実力ではなく上役に気に入られるか否かが重視されるのだと感じるようになった。また、激務や過度のプレッシャーに見合わない薄給から、サラリーマンという雇われの立場に疑問が芽生えた川村さん。サラリーマンという立場が安全ではないと実感し、興味の強かった不動産により多くの時間を割くようになった。

「いざという時のために、保険を作らなければいけないという思いから、自ら不動産を購入して大家になろうと決意しました。サラリーマンの給与に頼らずとも生活できる収入を、今後10年間で構築することを目標に掲げました」と当時を振り返る。

物件探しは、競売物件に全集中

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