「入居者と家族ぐるみの付き合いができるコミュニティを作りたい。その理想を実現するために、大家業をしています」
投資用不動産を4棟44室所有し、シェアハウスやゲストハウスなどの運営も行う漆原秀(うるしばら・しげる)さん。2016年に東京から館山市に移住し、地域に根差した賃貸業を自らの手で築き上げてきた。その活動が行政の目に留まり、今では館山市と共同で街づくりに関する事業にも携わっている。
千葉県館山市は、人口減少が進み賃貸需要も右肩下がりで、日本創生会議が定めた基準では「消滅可能性都市」の自治体にもなっている。そうした中、漆原さんの賃貸マンションは満室稼働中だ。
なぜ、漆原さんの物件には入居者が集まるのだろうか。漆原さんの運営する物件や、その投資戦略、入居者との関わり方などからその理由を探っていく。
入居者同士、家族ぐるみの付き合いも
漆原さんが住む館山市は、千葉県南部に位置する人口4万5000人ほどのまちだ。約34キロの海岸線があり、夏には海水浴を目的に多くの観光客が集まる「海のまち」でもある。
一方で、人口減少のあおりを受け、この10年で街の人口は約4500人減少、館山駅付近の商店街はいわゆる「シャッター街」と化してしまっている。その影響は賃貸業にも及んでおり、周辺地域の平均空室率は約20%と高い数値になっている。
そんな中、漆原さんが運営するマンション「ミナトバラックス」は、14室全てが稼働中。表面利回りは約20%を超える。1部屋あたりの専有面積は約65平米、平均家賃は6万2000円、ファミリー世帯が主に入居する。
築43年と決して新しい物件ではないにもかかわらず、なぜ満室稼働を維持できているのか。
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