楽待の実践大家コラムニスト「地主の婿養子大家」さん

前編から続く)

不動産投資歴17年で総投資額は約30億円、楽待を代表する実践大家コラムニストの「地主の婿養子大家」さん。

2021年は「市場価格が高騰していた」と話す地主の婿養子大家さんだが、昨年末に自分の基準に見合った物件の売買契約を取り交わすことに成功。出口戦略は、築年数が経過した後に一部の土地を「切り売り」するというものだった。

そんな地主の婿養子大家さんは、2022年の相場をどのように見ているのだろうか。また、「相場を見る力」とは、どのように鍛えれば良いのかも話してもらった。

2022年の相場をどう見る

―昨年は相場が高かったと話していましたが、今年はどうなると見込んでいますか?

参入者が増加傾向にあるため、引き続き高騰すると思います。不動産会社や不動産投資家と情報交換をしていると、別事業を行っている経営者が不動産を購入し始めているという話をところどころで聞きます。

また、最近は円安傾向にあるため、今後海外企業が日本の不動産を購入するケースもあるのではないかと思っています。

それらの点から全体的な相場は引き続き上昇するものと見ています。

―購入するのが難しい相場になっているということですね

ただ、高騰の隙間を狙って物件を購入することはできるかもしれないとも思っています。

例えば「2022年の生産緑地問題」です。生産緑地とは、市街化区域内にある農地や緑地のことで、生産緑地に指定された多くの土地が2022年に指定解除されるのではないかと話題になっています。

農地のままでは売却が難しいので、おそらく農地から宅地に転用する人が多いのではないかと思っているのですが、生産緑地から解除された土地の中には、もしかしたら相場よりも安い価格で売却できるものもあるのではと考えています。

例を挙げましたが、大切なのは、高騰し続けている相場であっても、安い価格で購入できることを信じて、常に情報を集めておくことだと思います。

キャッシュフローと資産性の2軸で見る

―昨年はどれくらい相場が上昇していたのでしょうか

私の場合、購入エリアを神奈川県の一部に絞っていますが、利回り換算すると2%くらい下がっているように思います。

私の基準では2%も利回りが下がってしまうと、高値掴みになってしまうため、なかなか基準に見合った物件を見つけるのは難しかったですね。

あと、最近は運営費のコストも上昇傾向にあります。特にリフォーム費は、年々上昇しています。一昨年くらいから、リフォーム費用は2割ほど値上がりしている感覚があります。

運営費も膨らんでいますから、より一層物件の価値を見極めて、適正価格より少しでも安く購入することが重要になってくると思います。

―物件を購入するときはどのような基準で見ているのでしょうか

私の持論ですが、不動産投資で物件を買う際は「キャッシュフロー」と「資産性」の2軸で考え方が異なると思っています。多くの初心者大家さんは毎月どれくらいの収入を得られるか、というキャッシュフロー面の軸でしか不動産投資を見ていないように思います。

そのため、資産性が低く売却が難しい物件を購入してしまい、気が付けば負債だけが残ってしまうといったことになりかねません。

ここに、資産性という面も見ながら物件を見定めることによって、資産下落リスクを適切に把握し、知らない間に損をしてしまうことを防げるのではないかと思っています。

初心者大家さんの多くは、家賃下落や空室などの運営時のリスクにばかり目がいきがちですが、資産下落リスクもきちんと把握すると、より良い選択ができると思います。

また、会社員の強みは本業で収入があることだと思います。キャッシュフローを重視して物件を探す人が多いかもしれませんが、実は資産性の高い物件を購入して数年後に売却した方が、資産性を高めるという側面においては、適切なのかもしれません。

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