不動産の現場でも、国土交通省の調査でも、トラブルの1位は「騒音」
「不動産のオーナーになってあこがれの不労所得を得たのですが、その分、いやそれ以上に大変な問題が次々と起こるんですよねえ……」と、オーナービギナーに日々相談事を持ち込まれるという不動産アドバイザーの穂積啓子さん。いったいどんな内容なのでしょうか。
穂積さんは、第1回でお知らせしたように、わたしが原作・文、編集までを行ったコミックエッセイ『不動産屋は見た! ~お部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか 漫画:東條さち子 東京書籍)の主人公「大阪の善良なる不動産屋さん」のモデルとなった人です。
今回は穂積さんに、その「大変な問題」にあたる「ご近所トラブルで最も多い出来事」について、具体的事例、その予防策、起こった場合の対応策など詳しいお話を伺いましょう。
『不動産屋は見た! ~部屋探しのマル秘テク、教えます』
(東京書籍)より。原作・文 朝日奈ゆか、漫画 東條さち子
――不動産オーナーにとっての「大変な問題」とは、具体的にどういうことでしょうか。
穂積さん オーナーとして困ってしまう事態は、例えば、第1回でお話した「事件事故物件になること」のほか、「家賃滞納」、「敷金返金トラブル」、「部屋で違法行為をされる」、「ゴミ部屋にされる」、「水漏れなど建物や設備の不具合」、「ペット飼育関連」などさまざまですが、解決までの時間が長引きがちなのが、借り主同士のもめ事、いわゆる「ご近所トラブル」です。感情がもつれておさまるものもおさまらない形に発展してしまうことが多いからです。
――このごろ、事件に発展することもあるようですね。ご近所トラブルのうち、最も多いのはどのような事例でしょうか。
穂積さん ずばり、「騒音トラブル」です。特にアパートやマンションなどの集合住宅では住民同士の騒音に関するトラブルが頻発しています。集合住宅の区分所有者、オーナーになるからには、あらかじめ、「騒音トラブルは発生すると想定しておく」ようにしましょう。それほど、数多く発生しているんです。
国土交通省が発表した『平成20年度マンション総合調査 』というデータがあります。トラブルの発生状況で最も多いのは、「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」で63.4%、そのうち「生活音」が37.1%で1位という結果が出ています。
このデータにうなずけるほど、数十年前から不動産管理の現場では、「トラブルが最も多いのは騒音」だと言われています。わたしの経験でも同様です。時おり、隣人同士のトラブルが殺人や傷害事件になっていますが、報道されないもめ事や訴訟は日常茶飯事だと実感しています。
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