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2020年の新型コロナウイルスの感染拡大以降、東京からの人口流出がしばしば話題となった。

総務省統計局が1月28日に公表した「住民基本台帳人口移動報告2021年(令和3年)結果」によると、2021年の東京都の、転入者数から転出者数を引いた転入超過数は5433人(外国人を含む)で、比較可能な2014年以降で最少。東京23区に至っては、転出が転入を上回る「転出超過」だった。

2月24日に東京都が発表した直近の2022年1月の転入超過数は491人だったものの、東京23区が転出超過になったこと自体、外国人を含めた集計を開始した2014年以降では初めてのことだ。

その理由として、在宅勤務、リモートワークの定着などによって、東京に住まずとも仕事ができるようになったことが挙げられるだろう。また、人口が密集した環境を嫌い、都心から離れる人が増えたということも考えられる。

しかし、東京から転出する理由はコロナだけではなく、東京の不動産価格の高騰も関係している。転出者の年齢層や転出先などを分析しながら、筆者の考えを述べていく。

転出超過が続いた東京

東京都では1997年から人口増加の状態が続いてきた。だが、新型コロナの感染拡大が本格化した2020年から、その様相に変化が表れている。12月1日時点の東京都の人口推計によると、2020年には約1403万人だった人口は、2021年には約1399万人に減少した。

では、総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告(外国人含む)」を確認する。東京都に住む日本人の転入者数、転出者数の動きを見ていこう。

まず、転入者数は2019年には約42万7000人だったが、2020年には40万1200人に。さらに2021年には約38万8300人となり、新型コロナの影響で年々減少している。一方、転出者数は2019年の約34万人から2020年には約36万3000人に、さらに2021年には約37万7500人となった。

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告2021年(令和3年)結果」のデータを参考に、編集部が作成

では、実際に東京都では、どれくらいの人が転入・転出したのだろうか。東京都の転入超過数を確認する。これで人口数の増減がわかる。

転入超過数は、2019年は約8万7000人増だったが、2020年には約3万8400人増にとどまった。さらに、2021年には約1万1000人増だった。


総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告2021年(令和3年)結果」のデータを参考に、編集部が作成

30代以降が転出超過

冒頭、東京都の転出者数の増加は、在宅勤務、リモートワークの定着や感染率の高さに対する警戒感などが理由としてあげられていると説明した。

またそれに加えて、筆者は東京都の不動産価格の高騰が、転出者増加に影響しているのではないかと考えている。年齢別の転入超過数を確認すると、「子育て世代」の30代以降が転出傾向にあるためだ。

東京都の転入超過数を見ると、20代以外が転出超過になっていることがわかる。また、転出する先は埼玉県、千葉県、神奈川県に集中している。30代以上は居住する場所を東京から東京近郊の県に移しているということだ。

総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告2021年(令和3年)結果」のデータを参考に、編集部が作成。埼玉県、千葉県、神奈川県の年齢別の転入超過数

東京の物件は「高すぎて買えない」

筆者には子どもが2人いる。ともに30代前半で、すでに2人とも結婚して家庭を持っている。この2人ともが新型コロナ感染拡大真っ盛りの2020年末から2021年春にかけて、都内の賃貸マンションから埼玉県にマンションを購入して引っ越した。

その理由を尋ねると「都内でマンションを購入することを検討していたが、 都内のマンション価格が高くて購入するのが困難なため、埼玉県のマンションを購入した」といい、2人とも同じような理由だった。

実際に、新型コロナ下にあっても都内のマンション価格は上昇を続けている。国土交通省の「不動産価格指数」(2010年時点=100)を見ると、2020年1月に151.90だったマンション価格指数は2021年11月には169.2に上昇している。

国土交通省「不動産価格指数」を参考に、編集部が作成

30代になって家族構成が変わったことなどから住宅を購入する人も増える。しかし、ここ数年の東京都の物件価格を見ると、「高すぎて買えない」と考える人が多いのではないだろうか。

そのうえ、コロナ下でリモートワークが増え、東京に住む理由が亡くなった人が増えたのだろう。

実際に本記事で確認したデータを見ると、彼らは不動産価格の高騰により、東京都内で物件を購入することを止め、都外に転出する人が多いように思う。

東京都内の不動産価格が高騰し続けている限り、東京都の転出超過の傾向は続くのではないだろうか。

(鷲尾香一)