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金融機関の融資姿勢が厳しい昨今、比較的安価な戸建て物件から、不動産投資を始めようとする初心者もいることだろう。

しかし、物件価格は安くとも、空室や修繕による出費はかならず発生する。

こうした出費として「税金」も考慮しなければならない。不動産を所有していると、各自治体から固定資産税を請求される。固定資産税は標準税率が定められており、基本的には税率はどのエリアでも同じだ。しかし、エリアによっては多く支払わなければならない「超過課税」が発生する可能性がある。

超過課税によって、収支に多大な影響を与えるというわけではないが、今後事業を拡大していくオーナーにとっては、知っておくべき1つの情報と言えるだろう。

今回は意外と知られていない「超過課税」について紹介する。

人口減少による税金の問題

そもそも超過課税とは、地方公共団体が標準税率を超える税率を条例で定めて課税することをいう。2003年から、「課税自主権」によって地方税の税主体が市区町村に移り、市区町村が税率設定を自主的に行えるようになった。

不動産オーナーとかかわりのある固定資産税も地方税であり、超過課税の対象となる。固定資産税は土地、家屋などに課される地方税で標準税率は1.4%だ。

しかし、超過課税を請求されるエリアの土地所有者は、通常よりも多く固定資産税を払わなければならない。

実際に神奈川県箱根町では、2016年から固定資産税率が1.58%と、標準税率1.4%に0.18%の超過課税を上乗せして請求している。

出典:箱根町「固定資産税超過課税の継続について」 2019~2023年度までの5年間、固定資産税の超過課税を実施し、標準税率を1.4%から1.58%に引き上げると記載されている

固定資産税の超過課税を課している市町村を確認すると、多くの市町村は標準税率に0.2%程度の超過課税を上乗せしている。一部では0.4%上乗せしているエリアもある。

超過課税が実施される理由

ではなぜ、超過課税を実施している市町村があるのか。一言でいえば、地方財政が苦しいからだ。

固定資産税は、地方財政の中で大きな比重を占めている。総務省のデータによると、市町村税全体に占める固定資産税の税収は約4割。特に、小規模な地方団体であるほど、固定資産税収の占める割合が大きくなる。

つまり、住民税や所得税が少ない地域では、固定資産の超過課税を行なわざるを得ない状況にあるということだろう。

出典:総務省「市町村税に占める固定資産税の割合(2019年度決算額)」 市町村税に占める固定資産税の割合は高く、小規模な地方団体であるほどその割合は大きくなっている

実際に、総務省の「令和3年度 地方税に関する参考計数資料」によると、全国で152の市区町村が固定資産税への超過課税を実施しており、その多くは人口が5万人未満だった。

さらに、所有者不明の土地が多い市町村は、固定資産税の請求をしても未納の土地が多い。そのため、超過課税の請求をしなければならない状況にある可能性もあるだろう。

5年に1度公表される総務省の「住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」によると、2018年の空き家数は全国848万9000戸、空き家率は13.6%と上昇し、過去最高の空き家率を更新。

そのうち、住居人が長期に渡り不在であるなど、所有者がはっきりと分からない空き家は347万戸で、こちらも年々増加している。

以上のことから、人口が減少しており、所有者不明の空き家が増加しているエリアでは、税金が比較的多く発生する可能性がある。

つまり、超過課税を実施されやすく、結果的に固定資産税が高くなるという傾向はあるのかもしれない。

物件購入前に固定資産税の確認を

仮に、固定資産税評価額が500万円の土地を所有していた場合、標準税率の1.4%であれば、固定資産税は7万円。しかし超過課税で1.6%だった場合は8万円になる。

物件が1戸だけであれば、収支にさほど影響はないかもしれない。しかしこれが10戸、20戸となれば、その差は徐々に大きくなる。

したがって、これから物件を購入する際は、修繕リスクや空室リスクなどを注意深く調査することに加え、固定資産税の超過課税が行われていないかを調べることもチェック項目の1つに加えるべきではないだろうか。

超過課税の実施状況は、各市町村のホームページを確認すれば把握することができる。あらかじめ確認しておくことをお勧めする。

(鷲尾香一)