毎月入居者から家賃収入を得ることができる不動産投資に、魅力を感じる人は多い。しかし、実際に買ってみないと分からないことも多くある。せめて、どのような収入や経費があるのか、あらかじめ知っておきたいところだろう。

そこで、この企画では、ある大家が所有する1つの物件に着目し、その物件の購入から現在に至るまでの詳細な収支を確認していく。どれほどの家賃を得られ、修繕にはいくらかかったのかなど、数字の詳細を見ていくことで、賃貸経営の流れを学ぶことができる。

今回は、投資歴27年、現在に至るまで60室(57棟)の中古ワンルームマンションを現金で買い進め、家賃年収3600万円にのぼる芦沢晃さんだ。紹介してもらうのは、2006年に20戸目として購入した神奈川県横浜市の中古区分マンション。約500万円で購入しており、購入時の表面利回りは約10%だ。

芦沢さんが16年間保有するこの物件。保有期間が長く、家賃収入や修繕コストなどの変遷を追うことができる。芦沢さん自身は「ものすごく良い物件というわけではない」と言うが、どのぐらい儲かったのだろうか。築30年を超えこの先、建物老朽化への懸念もあるという物件の「出口」についても聞いた。

収支のチェック

まずは今回取り上げる物件の基本情報を確認しておこう。購入時築17年で購入価格は約500万円、購入時点での利回りは約10%だった。保有期間は2021年時点で16年あり、その間にサブリース契約の更新や修繕積立金の増額などを経験している。

芦沢さんの保有物件の中で、特別よい物件というわけではない。ただ、芦沢さんはサブリース会社との交渉やコストカットによってCFを確保している。中古区分やサブリース物件を保有する投資家の参考になる物件として選定した。

今回は、この物件の16年分の収支をまるごと1枚の表にまとめた。この表を見ることで、家賃収入に対して毎年どのようなコストがかかり、どの程度の手残りが得られるのかが分かる。以降では、この収支表を見ながら、それぞれの項目を詳しくチェックしていきたい。

 

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