不動産投資には、さまざまな知識が必要です。その中でも、より多くのお金を手元に残すために「税金」に関する知識も重要ではないでしょうか。

「もっと節税できる方法はないだろうか」「法人化するのはどのタイミングがいいのだろうか」など、税金に関する悩みを抱えている方も多いことでしょう。

この企画は、賃貸経営をしている大家さんが、税金に関するさまざまな疑問を税理士に相談。大家さんと税理士の問答を通じて、読者の皆さんも一緒に税金の知識を身につけていきましょう。

今回相談に乗っていただくのは、税理士の和田晃輔さんです。和田晃輔税理士事務所の代表税理士として、日々不動産にまつわる税金の相談に乗る傍ら、自身でも不動産投資を行っている大家さんでもあります。現在、投資総額は約9億円を超え、約80戸所有しています。

そして、相談者は実践大家コラムニストのたけさん。投資歴6年のサラリーマン大家で、現在は13室を所有しています。順調に投資規模を拡大してきており、最近では新築アパートの建築も進めているそうです。

そんなたけさんは先日確定申告を終えたこともあり、改めて税金についてさまざまな疑問を持ったとのこと。相談の様子を見ていきましょう。

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最適な法人化のタイミングは?

たけ

:これから事業拡大をしていきたいと考えているので、法人化の最適なタイミングを教えていただきたいです。現在、まだ資産規模が小さいため、個人事業主として不動産投資を行っています。私よりもはるかに事業規模の大きな先輩大家さんからは、「そろそろ法人化したほうが良いのでは」とアドバイスをもらうことが増えました。専門家の方の意見も聞きたいです。

和田

 

:法人化するタイミングに関して、判断するための観点は大きく2つあります。

1つ目は「税金」です。個人と法人とでは、税率に違いがあり、法人の方が税金面でメリットが大きいという考え方があります。

もう1つは「融資」です。規模拡大を前提として賃貸経営をするのであれば、法人にしたほうが拡大しやすいのではないかと思います。

たけ

:法人化したほうが節税になるという話はよく聞きますが、なぜそうなのかはよく知りません。

和田

 

:では、税金面についてをまずお話します。多くの大家さんは、「課税所得がある一定の基準を越えたら法人化すると良い」という言葉を耳にすることがあると思います。

課税所得とは、簡単に言うと給与などの収入から基礎控除などを差し引いたもので、所得税の課税対象になる個人の所得のことです。

サラリーマン大家さんの場合、給与所得(本業の給与収入から給与所得控除を差し引いた額)と不動産所得(家賃収入から必要経費を差し引いた額)の合算から所得控除をマイナスしたものが課税所得になります。

そして個人の場合、課税所得が増加するにつれて、税率が高くなっていく「超過累進税率」が適用されます。一方、法人税は所得が800万円を超えると税率が一定になります。

税率一覧表(表は資本金1億円以下の普通法人の法人実効税率)

和田

:しかし、給与所得をもらっているサラリーパーソンの大家さんであれば、最初から法人を設立しても十分に税金面のメリットを享受できると考えています。なぜなら、個人と法人で税率がさほど変わらないからです。

法人の税率をおよそ25%と仮定すると、個人での課税所得が330万円以上であれば税率は住民税込みで30%を越えます。税率はさほど変わらなくなっているため、長期的に不動産賃貸業を行う予定であれば、最初から法人化しても良いのではないでしょうか。

ただし、法人化にはデメリットもあります。例えば、業績が赤字でも法人住民税などの支払いが必要になります。また、役員報酬を出すかどうか、どのように法人の資金を個人に戻すかなど検討すべき点が多く、個人に比べて複雑さが増します。税理士に確定申告などを依頼する場合は、税理士報酬も発生するでしょう。

取るべき戦略は、今後不動産賃貸業をどのように進めていきたいかによって変わってきます。

あまり事業拡大していくつもりがないのであれば、法人化しなくてもよいと思います。一方、拡大を前提に不動産投資に取り組むのであれば、早期に法人化を検討しても良いのではないでしょうか。

たけ

:私の場合、投資規模拡大を目標に取り組んでいます。税金面のメリットを考えると、法人化しても問題なさそうです。

和田

 

:続いて、2つ目の「融資」にまつわるお話です。

通常、銀行が初めて投資用不動産を購入する個人に対して融資をする場合は、不動産経営の業績を評価して判断するのではありません。個人の給与所得を見込んで、融資を貸し出しています。こういった個人の属性を見て行われる融資を「アパートローン」と言ったりします。

このようなアパートローンは、融資枠が給与の何倍までというような形で画一的に計算されるため、その枠を超えると融資は非常に難しくなります。

さらに、個人の融資可能枠には住宅ローンも含まれてしまいます。住宅ローンを組んでいる場合はその借り入れも差し引かれてしまうため、融資可能金額はさらに少なくなります。

銀行の立場から見ると、いくら不動産賃貸業の業績が良好でも、融資枠の上限金額に達している個人に対しては、消極的にならざるを得ません。

一方で、法人化することによって、金融機関は企業の業績や資産をもとに融資判断をしてくれることもあります。法人での業績が良い場合、個人の融資可能枠を上回る金額を借り入れできることも考えられるでしょう。

たけ

:個人事業主として投資を継続する場合、上限額まで購入したら何かしらの対策を行う必要があるということですね。法人化には一長一短があるとわかったので、今後の計画も踏まえて、慎重に判断したいと思います。

  まとめ  

最適な法人化のタイミングは?

課税所得には給与所得も含まれています。サラリーパーソンは、現在の課税所得から、どのくらいの税率になっているのかを再度確認して、法人化のタイミングを見極めましょう。

長期的に不動産賃貸事業を拡大していく方であれば、税金面以外にも、融資を得る場面で有利に働く可能性があります。

青色申告特別控除は活用したほうが良い?

たけ

:現在、個人事業主として青色申告をしています。しかし、「青色申告特別控除」の65万円は使っていません。所得控除65万円を活用すると、その分所得額が減少するため、銀行からの評価が下がってしまうのではと思ったからです。

  用語解説  

【青色申告特別控除】

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