楽待で実践大家コラムを執筆し、日々読者に「不動産投資」のリアルな声を発信しているコラムニスト。彼らがどんな考えや手法で不動産投資を行っているのか、インタビュー形式でお届けするこの企画。

今回話を聞いたのは、2021年8月にコラムニストデビューした「こども大家」さん。同年9月に公開した投資初心者向けのコラムは、いいね数ランキングで1位になっており、「初心者の方に是非参考にしてほしい」「めちゃめちゃわかりやすい!」と、コメント欄では絶賛の声が集まっている。

現在46歳で投資歴は約2年。フリーランスのプログラマーとして働きながら、福岡県に投資用戸建を2戸所有する。そんなこども大家さんは、実践大家コラムで「親子で取り組む不動産投資」をテーマに投稿しているように、長男のレン君(10)と二人三脚で不動産投資にチャレンジしている。

物件の内見から売買契約の現場まで、すべての場面に2人で立ち合い、相談しながら投資活動を進めているという。なぜ親子で不動産投資に挑戦しようと思い立ったのか。一緒に取り組んでみて、子どもにどのような成長が見られたのか。親子で取り組む魅力や注意点など、こども大家さんに話を聞いた。

子どもの未来を守るため、不動産投資に挑戦

―現在は、自営業のプログラマーとして働いているとコラムで拝見しました。

26歳の時に勤めていた会社を辞めて、フリーのプログラマーになりました。その後、結婚してから実家の福岡に戻り、今は妻と長男のレン(10歳)、次男のスズ(2歳)の4人で暮らしています。

実は、昔は本気でプロのミュージシャンを目指していた時期がありました。新卒で一般企業に勤めましたが、数年後にCMやイベント用の音源を制作する音楽関係の会社に転職しています。

ただ、その会社での日々は本当につらかったです。仕事が終わるのは毎日22時過ぎで、忙しいときは2週間家に帰れないなんてことも…。さらに、常に怒鳴りまくる上司からのパワハラもあります。最後は耐えきれず、会社に何も言わずに逃げ出しました。黒歴史ですよね(笑)。

それから職を転々として、ITバブルをきっかけにプログラマーとしての仕事を本格的に始めることになります。数年後、フリーのプログラマーとしての収入とサイドビジネスの収入で十分やっていけると思ったので、会社を辞めて独り立ちしました。

―本格的に不動産投資を始めることになった経緯を教えてください。

最も大きなきっかけは、2020年に次男のスズが生まれたことです。生まれてすぐにダウン症であることが分かりました。いろいろ調べ、約2年間育ててみて分かったことは、(スズが)成人しても自分でお金を稼ぐことは正直難しいだろうということです。

スズが生まれるまでは、子どもに資産を残すという考え自体ありませんでした。それは、世の中の役に立った対価として、初めてお金をもらって生きていくことができるという考え方が根底にあったからです。しかし、スズが生まれてその根底は覆り、彼にはその理屈が通じないと感じました。

ダウン症の発生確率は、出産年齢が上がるほど高くなります。スズは私たち2人が44歳の時に産まれているので、彼がダウン症になったのは、僕ら親の責任によるところが大きいのではと感じました。

さらに、自分たちが死んでしまったら、スズの面倒をすべて長男のレンに押し付けることになってしまいます。それはあまりにも無責任に感じました。私たちが生きている間だけでなく、死んだ後もずっと支えになるような「お金を生み出し続ける仕組み」を作る必要があることを自覚しました。

そこで思いついたのが、不動産投資です。

長男のレン君と取り組む不動産投資を楽しそうに語るこども大家さん

―数ある投資手法の中で、不動産投資を選んだ理由はありますか。

不動産投資を選んだのは、他の投資に比べて属人的な要素が少ないからです。不動産投資は、保有する建物と土地の価値が重要視されます。大家さんがどのような人か、優秀な人かどうかはさほど重要ではないと思います。

また、子どもの将来の選択肢を狭めないことも理由としては大きいです。私が死んだ後は、長男のレンが物件を引継ぎ、管理することになるでしょう。

不動産投資であれば、管理会社にある程度の実務を任せることができます。そのため、本人は好きなことをできるし、住む場所も選ばない。私財を投じる必要もないなど、子どもが制約を受けない点に魅力を感じました。

そして、不動産投資はほぼすべての工程を子どもと一緒にできることも良かった。物件探し、内見、売買契約、リフォームの検討と最終チェック、家賃設定など、小学5年生になるレンと相談しながら進めています。一気通貫して子どもとできる投資はそうないと思います。もちろん、不動産会社などには事前に子ども同伴であることは伝えるようにしています。

―なぜお子さんと一緒に不動産投資をされているのですか。

長期的に考えると、私が作った資産を運営していく後継ぎがいなければ、20年と経たずに資産はなくなってしまいます。後を継ぐであろう子どもにも資産を守れるようなスキルを身につけてもらうことの必要性を感じて、当時8歳になっていたレンに手伝ってもらおうと考えました。

一方的な考えに聞こえるかもしれませんが、不動産投資の手伝いを強制しているわけではありません。飽きたら、それはそれだと思っています。しかし、彼にとっても不動産投資に関わることは人生において貴重な体験になると思っています。

子どもの頃に身につけた知識やスキルは、非常に大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。例えば、妻は子どもの頃、短い間ですがピアノを習っていました。しばらく弾いていなくても楽譜を見れば今すぐにでもピアノを弾けてしまいます。

大人になれば、ある物事を身につけるのに相当の時間とお金が必要になる。一方、子どもは驚くべきスピードで習得していきます。子どものころに何かを身につけることのメリットは、私たちが考えているよりもずっと価値があることではないかと思っています。

―レン君には、最初にどのように伝えて手伝ってもらったのでしょうか?

「手伝ってくれたら好きなだけおもちゃが買えるぞ」と伝えました(笑)。パパは月に50万円の収入を作ることを目標にするから、将来はスズと2人で半分にして、25万円を好きに使ってもいいよと。にや~と笑っていたレンの顔がすごく印象的でしたね。買えるおもちゃを頭の中でたくさん想像していたと思います。すぐに「やりたい!」と乗り気になってくれました。

正直、始めるきっかけは何でもいいと思います。とりあえずやってみて、性格に合わなかったり飽きたりしたら、長続きしないだけなので。本当に嫌がったら強要するのはやめるということは決めています。

―不動産投資の勉強は、2人でどのようにやっているのでしょうか。

私は不動産投資に関する書籍を何冊か読み、楽待のYouTubeチャンネルなどの動画をたくさん見漁りました。レンに座学は無理だろうと思ったので、私が学んだ内容を復習がてら伝えるようにしていました。

例えば「1度家を壊したら、もう建てられないところがあるらしいよ」とか。子ども相手だと、私の頭の中で意味をきちんと理解して、ある程度咀嚼して伝える必要があります。自然とそういった訓練をしたことで、私自身かなり真剣に勉強をして知識が身につきました。

親子でリフォームの完成具合を確認している様子。レン君も入念にチェックをしているという

また、休日に2人で近隣の集合住宅を散歩がてら見に行っています。外観からでも得られる情報はたくさんあります。鉄骨が錆びていたり、天井が低かったり、ベランダの下に雨漏りの跡があったり。2人で言い合いながら、少しずつ物件を見る目を養っています。私が気付かなかったことを、レンが見つけてくることもあります。

他には、「売り出し価格当てクイズ」はよくやっていますね。ポータルサイトに出ている物件をレンに見せて、物件価格を予想してもらいます。最近では、驚くくらい精度が上がってきていますし、だいたいの家賃設定も僕の感覚と一致しています。

おそらく、周辺の家賃相場や土地価格などは感覚的に身についているのでしょう。また、建物の外観などを写真で見れば、10年単位で築年数は言い当てます。本当に驚くほどの速度で成長を感じられます。

「最悪、引っ越しても良い物件を購入しよう!」

―今から約2年前に初めて投資用の物件を購入しています。どのような物件を購入したのでしょうか。

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