イラスト:ヤギワタル
「土地から新築」に興味を持つ主人公「マチコ」が「土地探し」や「工務店選び」などの基本を学んでいく物語です。不動産投資家「ひーやん」さんと、一級建築士の「わん」さんが登場。初心者のマチコに、土地から新築に必要な知識をアドバイスします。
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<前回のあらすじ>
一級建築士であるいとこのわんさんから、知り合いの投資家ひーやんさんを紹介してもらったマチコ。わんさんとひーやんさんの行きつけの居酒屋で合流し、土地から新築についていろいろ教えてもらうことになりました。
前回は、中古や建売の物件を購入する場合と比べて、土地から新築にはどんなメリットやリスクがあるのかを学びました。(初回をまだ読んでいない方はこちらから)
今回は、土地を探す際にチェックしたい4つのポイント「建ぺい率・容積率」「用途地域」「道路幅員」「高度地区」について学んでいきます。
全4回のラインナップはこちらから。
<登場人物紹介>
マチコ
30代会社員。中古区分マンションを所有。一級建築士であるいとこのわんさんの影響で、アパートの新築に興味を持っている。
ひーやん
「土地から新築」を専門にしている投資家。東京23区で4棟の実績があり、経験談をTwitterなどで発信している。
わん
マチコのいとこの一級建築士。Twitterで不動産投資家向けに情報発信している。
※ひーやんさん、わんさんは実在の人物です。ただし、設定は一部変更しています。
土地選びのよくある勘違い
土地から新築では、想定した建物が建てられないかもしれないリスクに注意して土地を探さないといけない、ってことはよくわかりました。じゃあ、どんな基準で土地を探せばいいのか、「よい土地の見分け方」をズバリ教えてほしいです!
そうだね。ここからはもう少し実践的な話に入っていこう
マチコさんは、わんさんが親戚でよかったですね。私が1棟目を建てた当初は知識ゼロの状態だったので、苦労しましたよ。予備知識があれば、もっと効率よくできたんじゃないかと思いますね
たしかに、わん兄ちゃんが建築士でラッキー! ところで、土地選びってそんなに難しいんですか? 建物付きの土地に比べると、更地での売買はシンプルそうなイメージですが…
PHOTO: haku/PIXTA
ところがどっこい! 土地は見た目の広さがそのまま使えると思ったら大間違いなんですよ。見た目だけではわかりにくい要素がいろいろ含まれていますからね
僕のところに相談に来る投資家さんでも、敷地面積と建ぺい率・容積率だけをみて土地を買おうとしている人が多い印象だよ
そうなんだ。例えば、1面道路で敷地面積100平米の土地があるとしよう。ここに何戸くらいのアパートが建てられると思う?
えーっと…。単身者用だったら床面積がだいたい20平米として…。ぎゅうぎゅう詰めにすれば1階あたり5戸入りそうだから、2階建てだと10戸くらい?
…あの~、共用の階段とか通路とかもあるってことを忘れてない?
あ、そっか! じゃあ、余裕を持って…1階当たり4戸で、8戸の2階建て!?
実は、敷地面積100平米だと1階部分に3戸入れるのも厳しいんだ
建物をつくる場合、部屋以外の部分でもかなり面積を食うんだ。さっき話したように、アパートの共用階段や廊下なんかはそうだね。ほかにも、木造3階だと法的にバルコニーが必要になる場合もあるよ
共同住宅を建てる場合、専有部分だけでなく、階段や廊下、バルコニーなど共有部部分のスペースも考慮する必要がある(PHOTO: Ystudio/PIXTA)
階段と廊下とバルコニーかぁ。全部合わせるとたしかに結構スペースが必要そう…
さらに、建物同士を近づけすぎないための空白も必要になるんだ。たとえば、民法では、敷地境界から建物の外壁までは50センチ以上離さなければならないと定められているよ
隣同士で50センチずつ離せば、建物と建物の間は1メートルぐらいの余裕が出るってわけですね。たしかに普通の住宅街でもそのぐらい空いてるかも
建物と建物の隙間。原則として敷地境界から外壁までは50センチ以上離さなければならない
まあそういう感じで、他にもいろいろ制限があってね。原則として、敷地びっしりに建物を建てることはできないんだよ
それだと、思ったよりだいぶ小さくなっちゃいそうですね…
そう思っておいて間違いないよ。基準として、100平米でどのくらいのボリュームが入るのかを覚えておくといいよ。接道状況などにもよるけど、1面道路だとよくて2戸か3戸ってところだね
その土地にどういう制限がかかるかは、簡単にわかるんですか?
マイソクに記載された物件情報をみれば、大体わかるよ。マイソクのサンプルを持ってるから、これを見ながらポイントを確認していこう。
3D動画バージョンも作ったから、それも後で見せてあげよう
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