西日本エリアで中古1棟RCを中心に投資してきた専業大家「MOLTA」さん。現在、6棟132室を所有しており、年間CFは約9000万円。総投資額は13億2000万円に上る。

今回は、MOLTAさんがこれまでの不動産投資人生でどのような経験をしてきたのか、その軌跡を振り返る。なぜ不動産投資を始めたのか、どのような物件を購入して今に至るのだろうか。

さっそくMOLTAさんの「不動産投資年表」を見ていこう。

MOLTAさんの不動産投資年表は、大きく6つの時期に分けられるという。

区分マンションの賃貸から大家業に参入した「黎明期」。問題だらけの一棟マンションを購入してしまった「試練期」。失敗を糧に学びに徹した「休止期」。融資を活用して規模拡大に取り組み始めた「勃興期」。投資規模の急拡大に成功した「爆発期」。そして、将来を見据えて投資戦略を切り替えた「転換期」。

MOLTAさんの投資年表を見ると、時折物件を売却したことにより家賃収入が減少している部分もある。売却をして資産の組み換えを行いながら、時々で最善の投資判断をしているようだ。

約30年にわたる不動産投資人生を振り返りながら、MOLTAさんの賃貸業にかける「想い」を探っていきたい。まずは、人生の転機となった「黎明期」から話を聞いていこう。

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大家デビューは思わぬきっかけから

大阪生まれ大阪育ちのMOLTAさん。大学卒業後は、準公務員のような安定した大手企業に就職を果たした。不動産賃貸業とは無縁の社会人生活を送っていたが、ある突然の出来事をきっかけに人生が大きく変わることになる。

―不動産賃貸業の世界には、どのようなきっかけで関わることになったのでしょうか。

ありきたりですが、転勤を契機に自宅として購入した物件を賃貸に出したことがきっかけです。1991年に結婚することになり、「思い切って新居を購入しよう」と中古分譲マンションを約2600万円で購入しました。大阪市内で3LDK、築6年(当時)の物件です。

「ずっとこのままこの家で暮らしていくだろう」と思っていました。しかし、結婚後のライフスタイルについて、婚約者との間に考えのちがいを感じるようになり、結局婚約は破談になりました。そして同時期に県外への転勤が決まり、「ならば、心機一転!」と賃貸に出すことを決めました。

入居付けや管理などは物件近くの不動産会社に任せたので、特に私は何もしていません。

―購入した物件を賃貸に出すことに不安はありませんでしたか。

もともと不動産賃貸業に興味があったので、不安はありませんでした。私の家庭は貧乏でしたが、親戚に複数棟のマンションを保有している一家がいました。家族で遊びに行くたびに高級お寿司の出前を頼むなど、非常に裕福な生活を目の当たりにしていました。

両親に不満があるわけではありませんが、「世の中、持っている人が勝ち組なんだな~」と子供心ながら感じたことを覚えています。

―幼い頃から「大家さん」に対する憧れがあったんですね。

実際に自宅マンションを賃貸に出してみて、さらに「不動産賃貸業の魅力」に惹かれました。家賃は毎月10万円で表面利回りは4.6%と、決して高利回りではなかったです。しかし、銀行に返済しても十分な手残りはあり、徐々に家賃収入が貯蓄されていくのは、とてもありがたい話だなと感じました。

ただ、当時はまだ借金に対するマインドブロックが強く、融資を受けて本格的に不動産賃貸業を始めるのはもう少し先の話になります。「借金怖い」という気持ちが強く、本業収入の範囲内で手堅く進めようという考えがしばらく抜けませんでした。

そのため、2004年に購入した2戸目の区分マンションは、1戸目で得た収益の蓄財をもとに、現金一括で購入しています。物件から得た家賃収入は、繰上げ返済に回し、借金の返済に重きを置いていました。

今にして思えば、繰上げ返済を行わずに現金は手元に残しておき、できるだけ低金利で融資を組んで物件の買い増しをしたほうが良かったと思います。

ただ、そのころと前後して、1戸目の物件を完済したことで格段に現金が貯まるスピードが上がりました。それがその後物件を買い増すモチベーションになったと思うので、結果オーライですね(笑)。

―大家として動き始めた当時の頃を振り返ってみて、いかがでしょうか。

当時の自分は、不動産賃貸業のことを全然分かっていなかったです。例えば購入した物件は、「自分が住みたい家」という目線で過剰な金額をかけてリフォームを実施していました。

ただ、繰り上げ返済で早めに完済したり、区分マンションを現金一括で購入したりしたことで、不動産の持つパワーを実感することができました。徐々に「借金してでも大きな物件を購入したほうが、より大きなビジネスチャンスになるのでは」と考えられるようになりました。

こんな物件、買わなきゃよかった

不動産が生み出す収益力を実感し、もっと大きな物件を購入したいと考えるようになったMOLTAさん。融資を受けて一棟物件を購入すると決断するも、購入した物件はトラブル満載。さまざまな苦労をすることに…。

―当時(2011年ごろ)、世間では不動産賃貸業に対してどのような印象があったのでしょうか。

サラリーマンが兼業で不動産賃貸業をするというのは、非常にレアケースだったと思います。参考にできるようなインターネットのブログやサイト、書籍も少なかったので、独学で勉強する必要がありました。

また、初めて一棟物件を購入するために、融資の相談をしに金融機関に行きましたが、サラリーマンが賃貸業をやるという認識自体が浸透しておらず、融資を得るにもかなり苦労しました。

―1棟目の購入となったマンションはどのような物件だったのでしょうか。

不動産会社に紹介してもらった大阪市内にある重量鉄骨造5階建ての一棟マンションです。築23年(当時)の物件を約8000万円、表面利回り12.1%で購入しました。

最上階は3LDKのオーナーズルーム。その他、15世帯の単身者向け住居がある

初めて内見に行った時は、「あ~、本当に建ってる」という感想しかなかったです。今なら、外壁のチョーキングやコーキングの劣化具合、駐輪場の管理状況など、物件の現況を徹底的に確認します。また、築20年を超えているので、外壁塗装や屋上防水の状態も見なければいけません。

当時の私は知識がないばかりに、「とりあえず建物は確認できたので、あとは融資頑張ります」なんて言ってしまうくらい能天気でした(笑)。

―この物件への融資は、どの金融機関に打診したのでしょうか。

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