不動産投資人生を時系列に沿って振り返るこの企画。今回は、関西を中心に投資を行う「MOLTA」さんに話を聞いた。前編では、「黎明期」「試練期」「休止期」までを見てきた。

後編では、融資を活用して規模拡大に取り組み始めた「勃興期」、投資規模の急拡大に成功した「爆発期」、将来を見据えて投資戦略を切り替えた「転換期」を見ていく。

2020年ころまでは地方を中心に物件数を増やしてきたMOLTAさん。しかし、2021年を境に物件の売却を積極的に行うようになる。なぜこのタイミングで売却を絡めた動きに転換したのだろうか。MOLTAさんが見据える将来についても話を聞いた。

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地方1棟RCで投資規模拡大へ

約4年間の休止期間を経て、不動産賃貸業を再始動させたMOLTAさん。
休止期に得た知識をフル活用して、本格的に物件の買い増しを始める。

―休止期間が明け、どのような戦略で進めることにしたのでしょうか。

まずは、法人を設立して賃貸業を行うことにしました。現在は封じられていますが、「消費税還付」を受けることが法人設立の目的です。

家賃収入は非課税売上(消費税がかからない売上)ですので、大家は消費税還付を受けられません。しかし、物件に自動販売機を設置してジュースを販売するという建前を作れば、物件購入時に支払った消費税を100%還付することができました。それが「自動販売機スキーム」です。

土地と建物の比率にもよりますが、私の場合は消費税だけで1000万円ほど戻ってくることもありました。手元資金がまだ乏しい頃だったので非常に助かりました。

今振り返れば、消費税還付スキームが良かったかどうかは難しいところです。当時、このスキームは違法でも脱税でもなかった。しかし、徐々に行政が本腰を入れて対策や規制を敷く様子から、税務調査などで目を付けられるリスクが高まっていました。自販機スキームが封じられたことを機に辞めることにしました。

―物件購入はどのような戦略や条件で進めたのでしょうか。

地方の一棟RCを購入して、投資規模を拡大していこうと考えました。

当時はまだ手元資金が乏しかったので、資産性の高い物件よりも、収益性が高く手元に現金が多く残る物件を購入する必要がありました。そのため、都心の物件よりも、地方の規模が大きい物件を探すことにしました。

さらに当時は、土地が広くて積算評価が伸びやすい地方の物件に積極的に融資を出す金融機関が多くありました。フルローンでの融資もできたので、自分の状況にマッチしていたと思います。

地方で物件を購入することに対して、「地方はオワコンだ」という人が中にはいます。しかし、その考えはあまりに乱暴だと思います。確かに日本の人口が減少していることは事実です。しかし、すべての市区町村で一律に人口が減るわけではありません。

今後は、人口が集中するエリアと減少するエリアがより明確になると考えています。「コンパクトシティ構想」という言葉があるように、財源が減っている自治体はインフラ整備などを特定のエリアに限定していかざるを得ません。

そうなった場合に、自然と特定のエリアに人口が集中していくのではないでしょうか。そういったエリアであれば、勝機は残っていると思います。

―勃興期では、どのような物件を購入されたのでしょうか。

勃興期ではさまざまなご縁があり、2棟購入しました。そのうちの1つは空室率25%の物件です。

愛媛県新居浜市にある築22年(当時)で9階建てRC造の一棟物件を、約1億9600万円で購入しました。41室中31室が入居中で、表面利回りは13.2%です。空室のリフォームは未着手で、エントランス付近には所有者不明の自転車が山積みになっていました。

空室率が高いという懸念だけで検討をやめてしまう方がいますが、それは少し短絡的ではないでしょうか。確かにどの物件にも一時的に空率が上がるタイミングはありますが、「なぜ空室率が高いのか」という理由を明確にすることが重要です。

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