PHOTO:シュン / PIXTA

投資用物件を探していると、接道が「私道」になっている物件に出合うことがある。「私道物件はトラブルに発展しやすい」と聞いたことがあっても、実際に何が問題なのかが分かりにくく、購入判断に迷うこともあるだろう。

この企画では、私道にまつわるトラブルについて基本から解説する。3回目となる今回は、私道の物件を検討する際、必ず知っておきたい「通行権」「掘削の承諾」「売買契約の重要事項説明」の3つを取り上げる。購入前にこれらの確認を怠れば、大きなトラブルに発展する危険性がある。

リスクになり得る要因を知っておくことで、購入前に対処が可能な場合もあるだろう。私道物件を購入する際に、今回学んだ内容をぜひ参考にしてほしい。なお、実際のトラブル実例については、次回の記事で詳しく紹介する。

「通行地役権」と「囲繞地通行権」

まずは3つのポイントのうちの1つ目、私道の「通行権」について見ていきたい。

詳しい解説に入る前に、そもそも通行権とはどのようなものなのかを掴んでおこう。下の図を見ていただきたい。図中の「袋地(ふくろち)」とは、他の土地に囲まれて接道していない土地のこと。こうした袋地では、他の所有者の土地を通らなければ道路に出ることができない。

通行権の考え方。袋地から道路に出るために、他人の所有する土地(ここでは土地A)に通行権を設定する必要がある

こうした場合、袋地の所有者は、道路に出るために、他の所有者の土地に通行権を設定し、土地の一部を通路(私道)として通行できるようにする必要がある。これが通行権の考え方だ。

通行権にはいくつかの種類があるが、その中でも今回は、不動産投資をするうえで特に重要な「通行地役権(つうこうちえきけん)」「囲繞地(いにょうち)通行権」について詳しく解説したい。

1.通行地役権
通行地役権を理解するためには、まず「地役権(ちえきけん)」について理解しておく必要がある。

地役権とは、平たく言えば「自分が所有する土地の利便性を高めるために、他人の土地を利用できる権利」のこと。具体的な例として、土地の上に高圧電線を通すための「送電線地役権」などがある。

そして、土地の通行という目的のために設定される地役権が、「通行地役権」だ。

通行地役権は、例えば「接道はしているが、他人の土地を通行して公道に出たほうが駅に出やすい」など、他人の土地を通行したい事情があった場合に設定される。通行したい土地の所有者に交渉して、双方合意のもとに通行地役権を設定すれば、通行が可能になる。

この時、通行するために他人の土地を利用する側(「通行したい」側)の土地を「要役地(ようえきち)」(図中の土地A)、利用される側の土地を「承役地(しょうえきち)」(図中の土地B)と呼ぶ。

土地Aの所有者が広い公道に出るために、土地Bに対して通行地役権を設定したケース。この場合土地Aが要役地、土地Bが承役地となる。通行に用いる通路の幅員や内容(徒歩や自動車など)、期間、通行料などの詳細は、当事者間の話し合いで決まる

通行地役権で特に重要なのが、トラブル防止のために登記が必要になるという点だ。

例えば、承役地の所有者が土地を売却して、所有権が移転したとする。土地Aの所有者は、これまでは承役地の一部を通路として通行できていたが、所有者が変わったことで過去の合意内容を主張できず、通行できなくなってしまうおそれがある。登記をしておけば、合意の期限内であればその内容は引き続き有効となる。なお、登記は要役地、承役地の両方に行う。

また、見方を変えれば、購入した土地に地役権が設定されている場合は、登記されている内容を順守しなければならない。つまり、契約内容に通行料の取り決めがあれば、承役地の所有者に対して通行料を支払わなければならない。もしくは、通行の取り決めがあれば、囲繞地の所有者は土地の一部を通路として提供しなければならない。

登記された内容に明らかに不利な内容が定められていないかを、購入前に確認しておきたい。

・囲繞地通行権
通行地役権と似たものとして「囲繞地(いにょうち)通行権」がある。囲繞地通行権とは、

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