「私の1棟目」と題し、大家さんの「物件購入」初体験について聞くインタビュー企画。今回話を聞いたのは、秋田県で中古戸建を中心に投資する、実践大家コラムニストの「カカオ」さんだ。家庭の事情からフルタイムで働くことが難しく、年収100万円のパート勤務の状態で中古戸建を購入し、不動産投資をスタートした。

現在は戸建3戸、アパート2棟の計21室を所有するカカオさん。現在3室がリフォーム中だが、所有物件の平均利回りは20%を超える。年間家賃収入はおよそ900万円で、手残りを重視した投資戦略を取っているという。

3人の子どもを育てる普通の専業主婦だったカカオさんは、どのようにして今のような投資家になったのだろうか。カカオさんの「1棟目」について、話を聞いた。

当時の口ぐせは「うちにはお金がない」

カカオさんは独身時代、保育士として勤務していたが、結婚を機に退職。双子の女の子を出産後、数年後に男の子をもうけ3人の子供との生活が始まった。双子は低出生体重児で生まれたため手術が必要だったほか、自閉症のある長男の通院などにも付き添いながら忙しい日々を過ごす。

長男が保育園に通い始めたと同時にパートとして保育園で働き始めたものの、年収は100万円ほどと多くはなかったという。「両親と夫がかなり助けてくれた」というが、フルタイム勤務は厳しく、収入は夫頼り。カカオさんは「切り詰めて生活をしていました」と当時の家計を振り返る。

その頃のカカオさんの口癖は「うちにはお金がない」だった。子どもからおもちゃやお菓子をねだられるたび、「うちにはお金がないから買えない」となだめる日々。日に日に申し訳なさがつのり、「できることなら、子どもたちにお金で我慢させたり、将来の可能性をつぶしたりしたくない」と強く思うようになったという。

その後カカオさんは、株、アフィリエイト、覆面調査、ハンドメイドアクセサリー販売など、お金を稼ぐためにできることをするようになった。収入は月に数千円程度だったが、たまに数万円に上ることもあった。プライベートの時間はなく、慢性的な睡眠不足にも悩まされたが、子どもたちが寝ている間にコツコツと取り組んだ。

「借り入れ2000万円」に不安、現金購入を決意

不動産投資を知るきっかけは、友人に勧められた本だった。「家賃収入を得て生活をしている人がいる」「若い女性が金融機関から融資を受けて不動産オーナーをしている」といった内容に衝撃を受け、不動産投資の勉強にのめり込むようになった。1棟目を購入するまでに、約70冊の不動産投資本を読んだという。

しかし、やる気だけでは物件は買えない。資金はどうしたのだろうか。「300万円を用意しました。内訳は、パートや副業で5年間コツコツと貯めてきたお金が100万円、夫のお給料から積み立ててきた200万円です。夫には不動産投資をしたいことを伝え、理解を得られました」

カカオさんはその後、中古アパートもしくは戸建を狙い、地元の不動産会社を回っていた。その中で約2000万円の中古アパートを紹介されたことが、購入基準がより具体的になったきっかけだと話す。

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