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三井住友銀行や千葉銀行が、今年に入り相次いで、「仕組債(しくみさい)」の販売を全面的に停止しました。みずほフィナンシャルグループ、横浜銀行、広島銀行も、仕組債の一部について取り扱い停止を決めたと報道されています。またSMBC日興証券も、個人向けの積極的な勧誘を控えているとされています。

読者の方の中には、金融機関から「仕組債」という金融商品を提案された方もいるのではないでしょうか。また、資産運用を積極的に行っている方であれば、仕組債に興味を持ったこともあるでしょう。

金融機関が、この仕組債を販売停止にしたり、一部の取り扱いを止めたりしている理由はどのようなものなのでしょうか? 今回は、金融機関の数少ない高収益商品である仕組債について、現在起きていることを取り上げます。

金融機関からお金を借りることが多い不動産投資家にとっては、金融機関が置かれている環境を推測し、今後の動向を読むための参考になるかもしれません。

金融庁が「仕組債」を名指し?

現在、政府は岸田首相の「資産所得倍増計画」を達成していくべく、さまざまな取り組みを行っています。そうした中、金融機関の金融商品販売についても、従前よりも強い問題意識を持っています。

すなわち、日本国民が安定的な資産形成を行うためには、金融機関が「顧客本位の業務運営」を行う必要があるというものです。これは要するに「金融機関がお客様の利益に適うように営業をしなさい」ということです。わざわざ「顧客本位の業務運営を」と、監督官庁が言うぐらいですから、逆に言えば金融機関はこれまで「自社本位(もしくは当局本位)の業務運営」をしてきたということです。

この顧客本位の業務運営について、「仕組債」が問題として認識されてきたのが近時です。金融庁は2022年の金融行政方針で、以下のように仕組債について触れています。

国⺠が安定的な資産形成を行うためには、⾦融商品の組成・販売・管理等の各段階において、⾦融機関による顧客本位の業務運営を確保することが欠かせない。こうした中、一部の利用者からは、安定的な資産形成を目指す顧客にはふさわしくない商品を⾦融機関が販売しているといった相談も寄せられている。

(中略)

特に、仕組債は複雑な商品性を有しているため、顧客によっては理解が困難な上、実際にはリスクやコストに見合う利益が得られない場合がある点を踏まえる必要がある。このため、仕組債を取り扱う⾦融機関に対しては、経営陣において、こうした点を踏まえた上で取扱いを継続すべきか否かを検討しているか、継続する場合にはどのような顧客を対象にどのような説明をすれば顧客の真のニーズを踏まえた販売となるのかを検討しているかといった点についてモニタリングを行う。
(出所 金融庁「2022事務年度 金融行政方針」より抜粋)

ここで触れた金融行政方針とは、金融機関を管轄する金融庁の1年の活動方針であり、目指すもの、そのための方策などが記載されています。

この金融行政方針の2022年度のテーマの1つが仕組債なのです。上記の金融庁の説明ぶりを見れば、仕組債を「安定的な資産形成を目指す顧客にはふさわしくない」商品と考えていることが分かるでしょう。

金融行政方針を読むと、金融庁は取り扱いを無理に停止させるのではなく、継続する金融機関にはその考えを聞き販売状況をモニタリングしていくことで、金融機関に自主的に販売活動を自粛させようとしているように読み取れます。

そもそも仕組債とは

では、そもそも仕組債とはどのような金融商品なのでしょうか。これについては、日本証券業協会の説明が比較的分かりやすいかもしれません。

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