
kker / PIXTA(ピクスタ)
これから不動産投資を始めようと考えている方の中には、「どんな立地で物件を探せばよいか」「地方で高利回りを目指すべきか、都心で資産性を重視すべきか」など、投資エリアの選定で悩んでいる方も多いことだろう。
トラブル対応がしやすいよう、自宅付近のエリアでしか投資しない方もいれば、賃貸需要があり物件価格が相場より安ければどこでも投資するという方もいる。どんなエリアで投資をするかは、その人の投資戦略によって大きく左右されることが多い。
今回は、北海道を中心に35棟420戸を所有し「空き家再生人」としてお馴染みの広之内友輝さんが投資エリアの選び方について解説。投資するエリアを大きく「都心」「地方」に分け、それぞれのメリット・デメリットについてお話いただいた。地方のガラボロ物件を得意としている広之内さんだが、それぞれの地域の特性をどのように捉えているのだろうか。
安定した賃貸需要が見込める都心部
広之内さんが考える、都心戦略のメリットは3つある。
・安定した賃貸需要がある
・金融機関数が多い
・出口が見つかりやすい
都心部で投資をする大きなメリットの1つは、安定した需要が見込まれることだ。人口増加、もしくは人口が横ばいの地域では、交通機関の網羅性も高く、入居者が見つかりやすい。
人口に比例して、金融機関の数が多いことも強みとしてあげられる。金融機関の中には耐用年数に捉われないで、物件の収益性を重視して融資をしてくれるところもある。返済期間を長く設けてくれる金融機関もあるので、月々の返済比率を下げて物件を運営することも可能だ。
また、不動産投資家の数が多いため、物件の売却先を見つけやすいというメリットもある。金融機関の数が多いこととも関連し、億単位のマンションなど価格が高い物件でも、出口戦略を描きやすい傾向にある。
都心戦略では、需給バランスを見極められるかがカギ
一方で、都心には以下のようなデメリットも存在する。
・ライバルが多い
・価格が高い
都心部などの人気エリアでは賃貸需要が高いのと同時に、物件の供給数も増加する。広之内さんは、人気エリアほど空室率が高くなる「中央区の呪い」がさまざまな都市で見受けられるという。

平成30年の札幌市内の空室率調査。人気がある中央区は供給数も多いため、ほかの区と比較して空室率が最も高くなっている
例えば、2018年度の札幌市内の空室率を見てみると、一番人気がある中央区が最も空室率が高くなっている。一方、市内でも一番はずれにある清田区は、実は空室率が一番低いという結果だ。人気のエリアは需要も多いがその分供給も多くなるため、そのエリアの人気があるかどうかだけでなく、需給バランスを見極めることが重要だと広之内さんは語る。
さらに立地が良い分、物件の価格が高くなることも避けられない。価格が高いことで利回りが低くなりやすく、家賃収入の大部分が返済に回ってしまうケースも多い。そのため都心戦略では、1つの物件から得られる利益の中で、キャピタルゲインの比重が地方戦略と比べて大きくなることが多い。
高利回り物件が多い地方
広之内さんが得意とする地方戦略には、主に3つのメリットがある。
・ライバル物件が少ない
・価格が安い
・川上情報が手に入りやすい
地方は賃貸物件数が少ないため、利回りが高い物件が数多くある。広之内さんが最も投資をしている北海道苫小牧市には、利回りが15%以上を超える物件がいくつもあると言う。キャピタルゲインが主な収益源となる都心戦略に対し、地方戦略では売却しなくても月々の家賃収入から十分な利益を得ることが可能だ。
また、物件の価格が安いため、自己資金をある程度持っていたり、上場企業に勤めているなど投資家の属性が良かったりすれば、物件を購入することが容易である。さらに、都心部に比べ元付け業者の割合が高く、一般の不動産投資家でも貴重な物件情報を入手できる機会がある。多くの不動産投資家がポータルサイトなどで物件を探している中で、不動産会社が持っている川上情報が手に入りやすいことも、地方戦略のメリットの1つである。
地方戦略でポイントとなるのは「立地」
地方戦略のデメリットは、主に3つある。
・立地を見極める必要がある
・金融機関が少ない
・売却に時間がかかる
地方では人口減少が進んでいるため、供給数を上回る賃貸需要がある地域を見極める必要がある。ここでポイントとなるのは、全ての地域が同じペースで人口減少が進んでいるわけではないということだ。駅前や国立大学の近くなど、入居ニーズが強いエリアで物件を購入することが重要だと広之内さんは話す。
また、地方だと金融機関数が少ないため、遠隔地に住んでいる不動産投資家の参入障壁が高くなる。県庁所在地の近くなど栄えているエリアであれば各金融機関の支店があるが、そこから外れると信用金庫や地方銀行しか融資ができないというケースも多い。逆を言えば、地方に進出できる投資家の数が限られているため、その地域の投資家が活躍しやすいとも言える。
さらに、参入障壁が高いことにより都心部の資金力がある投資家が投資しづらい環境のため、物件を売却しようと思っても、売れるまでに時間がかかることが多い。一棟マンションなど、金額が高い物件の売却までには1年以上かかることもよくあるという。
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今回紹介した「都心戦略」「地方戦略」のメリット・デメリット以外にも、「投資をするなら一棟物件か戸建てか」「ガラボロ物件でも銀行から融資を受ける方法」など、広之内さんのガラボロ投資ノウハウを「プレミアム講座」で公開している。「自己資金が少なくても不動産投資を始めたい」「ガラボロ投資で失敗しない方法を知りたい」という方は、ぜひチェックしてほしい。
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