この企画では、ある大家が所有する1つの物件に着目し、その物件との出合いから現在に至るまでの詳細な収支を確認していく。どれほどの収入が得られ、修繕にはいくらかかったのかなど、数字の詳細を見ていくことで、賃貸経営の流れを学ぶことができる。

今回は、自身で所有する物件ではなく、賃貸物件を転貸して「ゲストハウス(簡易宿所)」を運営する手法について取り上げたい。話を聞いたのは、石川県金沢市でゲストハウス5棟を営む「吉岡ライズ」さん。2015年、32歳のときに法人を立ち上げ、旅館業を始めた。

紹介してもらうのは、石川県金沢市のゲストハウス「グッドネイバーズ」。吉岡さんが旅館業を始めた1棟目の物件で、旅館業法の「簡易宿所」として許認可を受けている。この7年間で約7000万円の売上を上げた。

不動産経営とは違い、旅館業は収入の増減が激しい。特にコロナ禍では、インバウンド需要の低下によって収入が激減し、苦労したという。今回は、そうした年ごとの収支に加えて月ごとの収支も紹介してもらい、時期によって収入や費用にどんな違いがあったのか見ていきたい。

以降では、この物件の7年間の具体的な収支について、さまざまな資料を見ながら詳しく確認していく。ゲストハウス経営の収支とは、いったいどのようなものなのだろうか。

収支のチェック

まずは今回取り上げる物件の基本情報を確認しておこう。

物件の所在地は石川県金沢市。インバウンド向けのゲストハウスを運営したいという思いから、外国人旅行者10万人以上の都市に絞って選んだという。

物件は開業当時築47年、RC造3階建ての戸建て、面積は175平米。当時の間取りは5LDKで、個室が3室と、複数人が同じ部屋に泊まれるドミトリーが2室だったそうだ。コロナ禍で売上が低下したことをきっかけに、ドミトリーを廃止して個室にした後、今年7月にも部屋の編成を変更し、現在は一棟貸し切り宿として運営している。賃貸物件のため、敷金3カ月分、賃料は月額14万円を支払っている。客単価は1人3000円だ。

今回は、この物件の7年分の収支をまるごと1枚の表にまとめた。この表を見ることで、収入に対して毎年どのようなコストがかかり、どの程度の手残りが得られるのかが分かる。

吉岡さんは、東京オリンピック前の宿泊施設の開業ラッシュやコロナ禍の中でも、収入アップや費用削減のためのさまざまな施策を行っている。その運営手法について、収支表を見ながら詳しくチェックしていきたい。

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