不動産投資の有料コンサルティング事業を手掛ける株式会社ベルなどに対し、受講生およそ150人が契約金など計3億2600万円の返還を求めて集団訴訟を起こした問題で、訴えられたベル社らが19日、受講生らを相手取り、6億3400万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。コンサル事業者と受講生の双方が互いに訴訟を起こす事態に発展した形だ。
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受講生らが集団提訴
この問題をめぐっては今年7月、高額なコンサルティング料として220万円を支払ったのに、特別なノウハウなどが提供されなかったなどとして、受講生146人らが同社などを相手取り、契約金など計3億2600万円の返還を求めて損害賠償請求を起こしていた。
受講生らが提起した訴状によると、受講生らは株式会社ベルが主催したセミナーで「現在特許出願中の再現性のあるノウハウを提示する」、「目下、全員成功中」、「受講生の95%以上は利回り20%以上を達成した」などと告げられてコンサルティングの勧誘を受けたとされる。
しかし、「特許出願中の再現性の高いノウハウなど存在せず、コンサル生の全員が成功した事実または『90%の受講生が実質利回り20%』という実績は実証されていないのに、これらの事実が真実であるように誤認させた」などと指摘。コンサルティングの内容や実績に関して、同社らが受講生らに対して虚偽の説明を行ったと主張していた。
ベル社側の主張
訴訟を起こした受講生らに対し、損害賠償訴訟を起こしたのは、株式会社ベルと同社代表取締役の礒崎和彦氏ら。特許出願はしており、再現性のあるノウハウも存在するため、同社らがコンサルティングの勧誘の際に行った説明は虚偽ではない、としている。
同社らの訴状などによると、受講生らは株式会社ベルがリフォーム手法について特許を申請していないと主張しているが、同社は2020年11月18日に特許を出願。今年3月には磯崎氏個人名義で再度特許を出願した。
また、「再現性のあるノウハウが存在しない」とする受講生らの主張に対しては、訴えを起こした受講生らの3分の2以上は指値をして安価で物件を購入し、相当数の者は利回り20%以上を得ており、「再現性がある」と主張している。訴状では、訴えを起こした受講生らのSNSなどの投稿を証拠として示した。
同社らの代理人の河合弘之弁護士らは19日、東京都千代田区霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。

記者会見する河合弁護士(東京都千代田区の司法記者クラブ)
河合弁護士は会見で、「被害者と称する人たちが起こした集団訴訟に対する全面的な反訴。本件は、磯崎氏の元知人である男性が私怨を晴らすために受講生らを先導して訴訟を起こさせたもので、不動産投資詐欺事件などではない」と主張。「株式会社ベルの不動産コンサルティング事業は正当なビジネスモデルで、社会的に非難されるものではない。訴訟により、同社らは酷い被害を被っているので逆に徹底的に制裁を加えなければいけない」と提訴の理由を説明した。
受講生らが訴訟を提起したことにより、同社らの売り上げは従来の10%以下に落ち込んだとしている。
提訴を受けて受講生側代理人の轟木博信弁護士は、楽待新聞の取材に対し「極めて不当な訴訟。合理的な根拠に基づいて先方のコンサルティングは違法性があるものと判断したものであり、提訴自体が違法という主張自体、きわめて不当であり購入者たちに圧力をかけるようなものであると考えている。裁判手続きなので、裁判の中で真相を解明して違法性を主張していきたい」と述べた。
(楽待新聞編集部)
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