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「見逃しピックアップ」では、楽待新聞、実践大家コラム、楽待YouTubeチャンネルから、さまざまなテーマに沿って過去の必見コンテンツを紹介する。

今回のテーマは「インボイス制度」。2023年10月から新たに導入される、消費税の仕入税額控除の仕組みのことである。住宅の家賃は消費税の課税対象ではないが、インボイス制度は不動産投資家に関係あるのか? 消費税納入義務がある課税事業者の場合、制度を利用するための事前登録期限が来年3月と迫っている。編集部おすすめの「インボイス制度」に関する過去記事を振り返りながら、事業の方針を検討してほしい。

■賛否両論の「インボイス制度」、大家さんへの影響は?

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現在の制度では、事業者が受け取った消費税額から、支払った消費税額を差し引いた金額を納入することができる。新制度が導入されると、この差し引く消費税額を正確に把握するため、取引先からインボイス(適格請求書)の発行を受けなくてはならない。こちらの記事では、税理士の大野晃男氏が、こうした「インボイス制度」の仕組みや、具体的に不動産投資家がとるべき対応を解説している。

インボイス制度の目的の1つに、国に納められず事業者の手元に残る消費税、いわゆる「益税」をなくすことがあると言われている。現在免税事業者は、受け取った消費税額がそのまま利益となっているが、インボイス登録事業者になるとその分を納めなくてはならない。インボイス登録をすると自動的に課税事業者となるからだ。

一方で、インボイスを発行できない免税事業者のままでいると、取引先から消費税分の値引きを求められたり、取引件数自体が減ってしまったりする可能性がある。自身の事業の形態を課税事業者に転換するのかどうか、よく読んで考える一助としてほしい。

■インボイス登録「する」「しない」、どっちがお得?

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先ほどの記事の後編として、インボイス制度に関する具体的な疑問にQ&A形式でお答えしているこちらの記事。インボイス登録をすべきかどうかは、賃貸している不動産や年間の賃料収入等によって判断が分かれるという。入居者からの光熱費、原状回復費用、建物の売却代金などの「隠れ課税売上」も存在する場合、その金額も考慮しなくてはならない。

すでに課税事業者の場合、インボイス登録の期限は2023年3月31日となっている。一方免税事業者の場合は、経過措置として、2023年10月1日までと長めに設定されている。しかし大野氏は、インボイス登録することが決まれば、契約のタイミングで登録番号を伝えられるよう、早めに登録すべきだという。同時に、インボイス登録は行った時点から課税事業者になることも忘れてはならない。インボイス登録をいつ行うのかも、それぞれの状況によって判断する必要がありそうだ。

 

■【実践大家コラム】インボイス制度は全大家さんに影響するか(1)

税理に詳しい実践大家コラムニストの「TOMMY」さんは、インボイス制度が多くの不動産投資家に影響を及ぼすと考えているそう。こちらのシリーズでは、インボイス制度を消費税の基本的な仕組みから解説している。そもそも消費税は、物やサービスの消費に対して課せられる税金であり、要件を満たすと「課税取引」となる。居住用の建物の貸付は生活の場の提供として社会的配慮から「非課税取引」にあたり、それ以外で別途徴収する駐車場代などは「課税取引」となる。

インボイス制度を利用すれば、消費税の仕入税額の控除を受けられるが、課税事業者しかインボイスの発行はできない。不動産投資家に免税事業者でいるか、課税事業者になるかの選択を迫るだけでなく、インボイスを発行できる仕入先を選ぶ必要性も出てくるかもしれない。消費税の理解を深めて、インボイス制度の導入に備えたい。

メディアで日々話題となっている「インボイス制度」。不動産投資家にも決して無関係な政策ではない。むしろ免税事業者である不動産投資家こそ、事業の対象や内容を再検討する必要性があるといえよう。インボイス登録をするべきかどうかは、ケースバイケースで変わってくるため、自身の状況に合わせて慎重に決定したい。最新情報をチェックするとともに、さまざまなコンテンツを活用しながら学びを深めてほしい。

(楽待新聞広報部)