利回り15%以上の地方高利回り物件を中心に、39棟377室を保有する中島亮さん。昨年、築40年超の区分マンションを、1戸2500円で4戸同時に購入した。前回の記事では、購入当時の状況や、30年間持ち続けた場合の収支シミュレーションを公開している。

購入当時はボロボロの状態だったこの物件だが、現在はリフォームを終えてすべての部屋の入居が決まっている。どのようにリフォームを行い、入居付けをしたのだろうか。また、中島さんはこの物件について「投資としては成功でも、100%安全とは言えない」という。どのようなリスクがあるのだろうか。詳しい話を聞いた。

「2500円」の物件、購入当時の状況は?

2021年7月、中島さんは知り合いの司法書士の紹介で、群馬県前橋市にある築43年の区分マンション4戸を購入した。

物件の外観

○物件情報

所在地:群馬県前橋市

間取り:3K、専有面積51平米

建築年:1979年(築43年)

物件価格:1戸あたり2500円

アクセス:JR両毛線前橋大島駅 徒歩13分

物件価格は1戸あたり2500円。4戸合わせても1万円という破格の金額だ。ただ、室内の状態はかなり悪かったという。

最も状態の悪い1室では、玄関の天井の壁紙が剥がれ落ち、コンクリートが剥き出しの状態になっていた。「上の階から漏れた水で天井の部分が剥がれ落ちたようですね」(中島さん)

壁紙が剥がれ落ちてコンクリートがむき出しになった玄関の天井部分

居室は和室になっていたが、和室は入居者に人気がないため洋室に変えることに決めた。浴室の風呂釜は、公団住宅などでかつて普及していた「バランス釜」。お湯を沸かす操作に手間がかかるほか、風呂釜が場所を取ってしまうため交換することに。他にも、割れてしまった廊下の床板の修繕や、年季の入ったキッチンなどの設備交換などを含めてリフォームを行うことになった。

浴槽のスペースを圧迫しているバランス釜

中島さんは、不動産会社3社にヒアリングを行い、周辺エリアの賃貸需要などから問題なく入居付けできるという心証を得たそうだ。家賃は4万~5万円ほどと想定した。収支については、この物件を最長で約30年間運用するシミュレーションを行った。築70年まで運用した場合の運用益は約2600万円。築60年までの場合は、約1900万円と見込んでいる。細かいシミュレーションの中身については、ぜひ前回の記事をチェックしてみてほしい。

リフォームにかかった費用は?

和室の洋室化や設備の交換、天井の修繕など、フルリフォームに近い形でリフォームすることに決めた中島さん。リフォームは今年3月に終了し、現在は4戸とも入居が決まっている。今回楽待編集部はリフォーム中の様子に密着し、かかった費用や入居付けの経緯、今後の方針などについて改めて話を聞いた。

今回リフォームを担当したのは、中島さんが懇意にしているリフォーム会社の広沢さんだ。広沢さんによれば、この物件の一番の難関は、コンクリートの壁にクロスが直接貼られていることだという。

「本来であれば石膏ボードなどに貼られていることが多いんですが、直貼りされているため手間がかかりますね」(広沢さん)

玄関の壁のクロスをチェックする広沢さん

玄関の天井が落ちていた部屋では、ボロボロになった石膏ボードを撤去し、新たに下地を作ってクロスを張り直すという。

玄関の天井部分の石膏ボードを撤去する様子

和室を洋室に変えるための作業も行われた。畳をはがし、根太(ねだ)と呼ばれる材料を組んで下地を作っていく。さらに、キッチンと浴室と洗面所の給湯器をまとめて1つにし、シングルレバーでお湯を沸かせる形に。

浴室のバランス釜も撤去し、これまでより大きい浴槽に交換した。リフォーム後、室内に足を踏み入れた中島さんは、「綺麗になったね。全然違う」と満足気だ。

リフォーム前とリフォーム後の和室。畳をフローリングに換え、壁にはクロスを貼っている

リフォーム前とリフォーム後のキッチン。設備を新品のものに替え、タイルも張り替えている

1部屋あたりのリフォーム費用の内訳は以下の通りだ。

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