11月11日、アパート大手のレオパレス21(以下、レオパレス)が、2023年3月期第2四半期(4~9月、中間決算)の決算を発表しました。純利益が前年同期比5.7倍の36億円と、大幅に業績が回復しています。

レオパレスは一時、施工不備問題とそれに伴う入居制限によって債務超過にまで追い込まれ、米投資ファンドからの支援を受けました。そうして抜本的な会社再建に取り掛かり、実際にその効果が見えてきた、ということになります。

今回は、レオパレスの業績回復要因について確認するとともに、レオパレスの今後について考察してみたいと思います。

レオパレスの業績概要と決算の注目ポイント

レオパレスの2023年3月期2Qの売上高は、前年同期比1.5%増の2024億円、営業利益は同8.6倍の69億円、経常損益は54億円の黒字(前年同期は13億円の赤字)でした。

(出所:レオパレス21「2023年3月期 第2四半期 決算説明資料」)

売上高は、入居率の向上および稼働単価の上昇により、前期比プラスとなっています。売上原価は、家賃適正化(アパートオーナーに支払うサブリース賃料の削減)の効果により、前期比大幅マイナスとなり、コストが減少しています。また空室が発生した時に備えて事前に計上しておいた「空室損失引当金」15億円を、戻し入れ益として計上したことなどから、計画比もマイナスとなりました。

さらに経費抑制などの効果もあり、営業利益・経常利益は前期比・計画比ともにプラス、純利益も赤字計画が一転、大幅な黒字となりました。また、ほとんどないに等しかった自己資本も増加傾向が鮮明となり、自己資本比率は2022年9月末時点で6.1%台まで回復しています。

一方、レオパレスの2022年4~9月決算の注目ポイントは、やはりキャッシュフロー(現金の流れ)であり、営業キャッシュフローの黒字化でしょう。業績が厳しい企業では、損益が黒字か赤字ということよりも、キャッシュフロー、すなわち現金の流れがどうなっているかの方が重要です。「勘定合って銭足らず」だと、企業は資金繰りに行き詰ってしまいます。

(出所:レオパレス21「2023年3月期 第2四半期 決算説明資料」)

そのキャッシュフローを見てみると、前年同期比(上図の22/3月期2Q比)でプラス116億円改善し、28億円の黒字となりました。後述する賃貸事業収入の改善などにより、5期ぶりに上半期での営業キャッシュフロープラスを達成しています。

なぜレオパレスは生き残れているのか?

レオパレスの黒字化要因は、2022年3月期までは、コストの削減が中心でした。一方、2023年3月期では、コストの削減のみならず、賃貸収入そのものの回復が寄与しています。

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