この企画では、ある大家が所有する1つの物件に着目し、その物件の購入から現在に至るまでの詳細な収支を確認していく。どれほどの家賃が得られ、修繕にはいくらかかったのかなど、数字の詳細を見ていくことで、賃貸経営の流れを学ぶことができる。

今回は、戸建を中心に不動産投資を行う2人の投資家に話を聞いた。融資の有無や購入する戸建の価格帯などが異なっており、投資戦略の面でも違いが見られる。2人の所有物件の収支を比較しながら、CFや利益にどのような違いがあるのか確認していこう。

ケース1:築38年の戸建を310万円で現金購入

まず話を聞いたのは、投資歴20年、大阪市を中心に戸建26戸を保有する「かーと」さん。本業のサラリーマンとしての収入や株などで得た収入を現物資産に交換するため、2002年に不動産投資を始め、ほとんどの物件を現金で購入している。

年間家賃収入は約2200万円で、総投資額はリフォーム費用を含めて約2億円だ。2019年に行われた楽待の「築古戸建再生コンテスト」では、600人の読者投票の結果優勝している。

紹介してもらうのは、かーとさんが2014年に購入した大阪府堺市の木造戸建。2014年に現金で購入しており、購入価格は310万円だ。購入時築38年で、家賃は月6万3000円。表面利回りは24.4%だった。 

かーとさんはこの物件を9年間保有し、今年の10月に売却している。保有期間中にどのくらいの収入が得られ、修繕費などの費用はどのくらいかかったのだろうか。この物件の9年分の収支をまるごと1枚の表にまとめた。以降では収支表を見ながら、収入や支出の項目を詳しくチェックしていきたい。

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