ロシアのウクライナ侵攻によって世界経済が混乱し、海外との金利差で記録的な円安が起きた2022年。不動産投資家はどのように過ごしたのでしょうか。楽待新聞では「2022年の不動産投資を振り返る」をテーマに、ベテラン投資家によるリレーコラムを連載します。

トップバッターは、利回り15%以上の地方高利回り物件を中心に、39棟383室を保有する中島亮さんです。「コロナ生活はもはや飽きてしまいました」と語る中島さんですが、今年は新たに2棟の高利回り物件を購入するなど「公私ともども順調な1年だった」といいます。後半では、不動産投資家としての今後の展望も語っていただきました。

群馬と茨城でアパートと寮を購入

こんにちは、中島亮です。

1年を振り返るということで、まずは今年買った物件についてお話ししたいと思います。

今年は群馬と茨城でアパートと寮を1棟ずつ購入しました。まず、1月に群馬でレオパレスの物件を購入しています。築23年の重量鉄骨造のアパートで、購入価格は3800万円です。後でお話ししますが、違法建築の是正工事を500万円ほどで行ったため、利回りは17%ほどです。

中島さんが今年1月に購入した、群馬県の築23年、重量鉄骨造のアパート

購入の決め手は圧倒的な利回りの高さでした。重量鉄骨造で築23年、利回り17%の物件というと、レオパレスくらいしかないと思います。

違法建築であることや、仮に売る場合に次の買主に融資がつかないことがネックになりますが、私は買ったら売らずに保有し続ける方針をとっているので、後日レオパレスさんが違法建築の是正さえしてくれれば問題ないと考えました。

また、先日の楽待の動画でも公開されましたが、今年10月には茨城で寮を購入しています。大手電機メーカーが長年使っていた社員寮で、築35年のRC造です。土地面積は6770平米、延床面積は2803平米です。土地の評価額が7500万円、建物が2棟59世帯で1億4000万円。合計2億1500万円のところを、1500万円で購入しました。

中島さんが今年10月に購入した、茨城県の社員寮

この値段のかい離は、ある種の「ひずみ」によって生まれています。

もともと寮なので部屋に風呂やキッチンがなく、寮の他に利用価値がありません。売却しようにも、通常の賃貸物件として貸し出すのが難しいため買い手がつかない。加えて建物を解体するにも1億円以上の費用がかかるため、解体して土地のみ単独で売却してもコストに合わないことなどから、破格の値段になったものと推定します。

現在はリフォームを進めていて、室内の設備を解体して、キッチンやトイレ、浴室などの設備を整えて賃貸物件として貸し出せるようにしています。

リフォーム費用は、室内のリフォームに4720万円、水道や電気設備の設置に1795万円、屋上防水に700万円で合計7215万円ほどかかります。購入金額と合わせると8715万円です。そのうち8600万円は銀行から融資を受けています。家賃収入は、59世帯で月215万~262万円を想定していて、表面利回りは35%です。

これらの物件を合わせた私の不動産投資規模をあらためてご紹介しますと、購入総額は11億6000万円、ローン残高は約7億円で、満室を想定した場合の年間家賃収入は1億9000万円ほどとなっています。税引き後キャッシュフローは約4700万円くらいかと思います。

ただ、ここで得たキャッシュはどんどん再投資に回しているので、生活費に回すお金はそれほど多くありません。最近お気に入りのこの革のジャケットもヤフオクで5000円で入手したものです。

昨年から1月にかけて購入した5棟を満室に

今年の最大の目標は、1月に購入した群馬のレオパレス物件及び、昨年購入した千葉、茨城、栃木、群馬のアパート、マンション4棟を満室にすることでした。この目標はおおむね達成されています。

群馬で購入した1戸2500円の区分4戸は、購入時は全室空室でした。茨城と栃木の2棟は3割が空室。先ほどご紹介した群馬のレオパレス物件は、18世帯中15世帯が空室でした。現在は、リフォーム中の茨城の寮を除いたすべての物件で、入居率は平均93%になっています。

当初はコロナの影響で入居付けには苦戦しました。昨年に引き続き、コロナの影響で内見数も少なかったように感じます。コロナで移動を制限されている中で、わざわざ不動産屋さんに行って新しく家を借りて引っ越しをするというのは、なかなか考えにくいという人が多かったのではないでしょうか。

しかし、今年の半ば頃から人の往来が徐々に戻り始め、さらに外国人の入国規制が徐々に解除されて研修生が入国してくるにつれて、入居率も上がりました。

また昨年のコラムでは、地方で融資を受けること自体難しくなってきているというお話もしていましたが、地方でも融資をしてくれる金融機関は一定程度存在します。その「情報」の把握が重要です。

具体的にお話しすると、地方でも融資が出やすい金融機関には流れがあります。昔はスルガ銀行と日本政策金融公庫が不動産融資に積極的で、スルガショック以降は三井住友トラストが貸してくれるようになりました。三井住友トラストが融資を引き締めるようになったら、滋賀銀行や横浜幸銀信用組合が貸してくれるようになりました。

このような情報を的確に捕捉しておけば、地方にあっても融資を引くのはそんなに辛くはないと思います。融資を受けにくいという状況は変わらないけれど、不動産投資っていうのは銀行から見たらおいしい分野なので、探せば必ず貸してくれるところがあると思います。

レオパレス物件の違法建築部分を是正

今年の1月に購入したレオパレス物件は、違法建築でした。レオパレスで違法建築が多いのは重量鉄骨の物件と言われていますが、これはまさしくそういう物件でした。

この物件を購入するときから、違法建築部分の是正工事は自費で行うつもりだったので、購入後どのように工事を行えば良いかについて市と県に相談しました。

会員限定記事です

この記事の続きを読むには、会員登録が必要です
会員登録(無料) ログインする