「顔の見える大家さん」として長野県で13棟67室を運営し、97%以上の入居率を維持する大家さんがいる。大家の会「長野賃貸オーナー井戸端ミーティング」の世話人を務める渡辺一男さん。所有物件はすべて自主管理で、毎日の清掃や1日3回の巡回など物件の細かい部分にまで気を配る。

引っ越してきたばかりの入居者を食事に誘ったり、ゴルフやお花見などのイベントを開いたりと、入居者との交流を大事にしている。賃貸仲介会社との信頼関係づくりも重視しているという渡辺さん。高い入居率の背景にある自主管理のノウハウや賃貸経営をする上で大事にしている考え方などを探った。

13棟67室を自主管理、入居率は97%以上

所有物件の運営状況を教えてください

長野県長野市を中心に現在はアパート8棟と戸建て5軒の計67室を自主管理で運営しています。年間家賃収入は約5500万円です。税引き前キャッシュフローは2500万円ほどです。長野県は全国的にみて賃貸住宅の入居率はあまりよくないようですが、私の物件はお陰様で97~98%以上の入居率を維持できています。

実家はリンゴ農家で、アパート経営はもともと父がリンゴ畑の一画を利用して始めました。もっとも古い物件は築34年です。父が建てたアパート3棟などを私が引き継ぎ、私の代で残りの敷地を活用して規模を拡大してきました。

かつてほとんどがリンゴ畑だった約2000坪の敷地は今ではほどんどが宅地になっています。もとから市街化地域だったため、宅地にするのに農業委員会への届け出は必要ありませんでしたが、接道要件を満たすために市に届け出をした上で自費で位置指定道路を作らないといけませんでした。位置指定道路は構造などについて細かい要件があり、専門業者に依頼して約400万円の工事費がかかりました。

渡辺さんの所有物件一帯を撮影した2017年の航空写真。そのほとんどがもとはリンゴ畑だった(渡辺さん提供)

自宅の周辺以外にも土地を購入し、隣町に戸建2軒、松本市にメゾネットタイプのアパート1棟を建てました。将来的に3人の子供へ相続が発生した場合に、不動産を分割しやすくする狙いもあります。自宅周辺の敷地は大きいため、3人で分けると土地が活用しにくくなる可能性があるからです。所有物件の一覧は以下の通りです。

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