PHOTO:まちゃー / PIXTA

ロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクや、米欧など世界の景気後退リスクが話題となった2022年。世界的なインフレは日本国内にもおよび、不安定な経済状況が続く1年となった。

不動産業界においても、資材価格などの高騰により不動産価格の上昇はますます続く。また、年末には日銀の金融緩和修正があったことで、先行きの見通しが不透明になり始めている。そのような状況下で、2023年の不動産業界はどのような変化が起こるのだろうか。

「不動産価格」「金融機関情勢」「不動産売買市況」「法改正・税制改正」などテーマに、専門家や投資家の方に取材を行った。

首都圏不動産、下落要因は一切なし

 不動産経済研究所 主任研究員
 松田 忠司さん

2022年に引き続き、2023年も不動産価格の上昇は続くと予想しています。人件費や資材価格の高騰、その他輸送コストの増加など、建設にかかる工事費が上昇していることが最も大きな要因です。不動産価格に関しては下落要因がありません。

価格を押し下げる要因がない一方で、2023年は価格を押し上げる要因が複数あります。1つはインバウンドの拡大です。新型コロナウイルスの落ち着き状況によっては、今後さらにインバウンド需要が拡大するでしょう。東京都心に限らず、全国各所で影響を受け、不動産価格の上昇につながると思います。

2つ目は新築分譲マンション関連になりますが、2023年は東京都23区に高額でまとまった戸数のある不動産が多く出てくる予定があります。例えば、港区「三井ガーデンヒルズ」、西新宿「パークタワー西新宿」、他にも月島の大規模タワーマンションや南池袋のツインタワーマンションなどが挙げられます。

また、今年6月下旬には晴海フラッグタワー棟の販売が開始される予定です。新交通システムである「東京BRT(バス高速輸送システム)」の導入や、都心と臨海副都心をつなぐ地下鉄新線の建設が決まったことで、より高額で売りに出されるのではないかと注目が集まっています。

こういった再開発物件が多数販売されることで、今年の不動産価格は大きく上振れする可能性が高いです。そういった動きに連動して、多少遅れて中古物件も高値に推移する可能性があると思います。

話は変わりますが、関東首都圏ではこれまで、

会員限定記事です

この記事の続きを読むには、会員登録が必要です
会員登録(無料) ログインする