現役大家さんが、自身の経験や日々の大家業についてリアルに語る「実践大家コラム」。投資手法も投資規模も異なるさまざまな大家さんが、日々不動産投資に関するノウハウを発信している。
とはいえ、毎日たくさんのコラムが投稿されるため、どのコラムから読めばいいのかわからない方もいるかもしれない。そこでこの企画では、実践大家コラムニストの方々に、過去のコラムの中からおすすめのコラムを紹介してもらう。コラムを選んだ理由や執筆の裏話から、普段見られないコラムニストの一面に迫る。
第1回となる今回は、2020年にコラムニストとしてデビューした「ジュニア」さんにインタビューを行った。今月でコラムニストになって3年、コラム数は360本にのぼる。ジュニアさんは、普段から楽待新聞の「コメント機能」を積極的に活用している。コメントを通じた、コラムニストと読者の交流を大切にしており、自身のコラムにも毎回多くのコメントが寄せられる。
そんな実践大家コラムの盛り上げ隊長・ジュニアさんが読者に読んでほしいコラムとは? 実践大家コラムにかける思いや、他のコラムニストとの思い出とともに聞いた。
大切なのはコラムを正しく読み、行動に起こすこと
―まずは簡単に自己紹介をお願いします。
ジュニアです。損害保険会社に勤める投資歴7年目の単身赴任中サラリーマン大家です。妻、大学生の長男、高校生の長女の4人家族で、横浜に自宅を持っています。所有物件は、個人と法人でアパート3棟、戸建1戸、区分3戸の合計21室で、年間家賃収入は約1400万円です。
―今回は「私のおすすめコラム」ということで、ご自身のコラムから3本選んでいただきました。どんな基準で選んでくださったのでしょうか?
普段、楽待を利用していると、自分で行動を起こす前に、答えだけを他人に求めてしまっている人が多いと感じることがあります。私は、人が成長するには自分の経験値を積むことが何よりも重要だと思っています。そのような私からのメッセージを込めて、以下の3本を選出してみました。
―では早速、1本目を教えてください。
1本目は「#335 コラムニストの属性を知りたい件」です。
このコラムは、読者が著者のことをもっと知った上でコラムを参考にするようにしてほしい、という思いを込めて書いたものです。同時に、コラムニストに対しても、できるだけ自分の情報を開示することで読み手の理解をサポートしてほしい、という意味も込めています。コラムニストによって資産背景や投資スタイルはバラバラです。著者の属性を理解したうえでコラムを読まないと、目標設定を誤ってしまうよ、という読者へのメッセージです。
―自身の属性とコラムニストの属性が必ずしも一致しない点に留意すべき、ということですね。
はい。真似するのであれば属性の近い人を、目標にするのであれば同じ方向を向いて先を歩いている人がいいですよね。コラムを参考にする前に、まずコラムニストがどういう特徴を持つのかを押さえてほしいな、ということで1本目に選びました。
―では2本目のコラムを教えてください。
コメントが多数寄せられた「#5 決算書を大公開、、、しちゃう件」です。
このコラムでは、法人を設立した年のリアルな決算を公開しました。私はサラリーマンですし、税理士もつけていません。どういう決算にすれば良いのか確信がなかったので、その葛藤が垣間見える決算書になっていると思います。私は本から得た知識に従って、最小限の黒字で節税ができる決算が良いと考えていましたが、コメントでは「赤字のままでいいじゃん!」と言われました。
当時は決算を公開している投資家も少なく、コメントでの反響は狙い通り大きくなりました(笑)。でもこれは、黒字の決算と赤字の決算のどちらが正しいのかという話ではなく、それぞれの立ち位置によって意見が変わってくることを知っておいてほしい、という話です。コラムの中身よりも、ぜひコメント欄を見てください。

コラムで公開された損益計算書

こちらもコラムで公開された貸借対照表 「不動産投資は甘くないね…」とジュニアさん
―不動産投資で大切なことを伝えるとしたら何ですか?
「経験値を高めるには人よりも多く行動することが必要だ」ということです。これについては、3本目に選んだ「#22 2019年の物件調査を振り返ってみた件」のまとめ部分に書いています。
こちらのコラムには、2019年に見に行った物件の情報を赤裸々にまとめました。当時は、勤務地が投資エリアに近かったこともあり、ほぼ毎週末に物件を見に行き、気が付くと半年で20件を超えていました。でも私は、コラムのコメント欄で言われるまで、この件数が多いとは思っていませんでした。これから投資をしようとしている人は、これくらい動かないと良い物件には巡り会えないぞ、という1つの基準にもなるかと思います。
―物件を見に行くに至るまでにも、多くの時間と労力がかかりますよね。
例えば会社から帰ってきて、一通りサイトを見たり100件ほどのメールに目を通したりすることは、すでに経験を積んだ投資家にとってはきっともう前提なんですよね。日々行動に起こしている人がたくさんいる中で、なんでそれをしない人のところに良い物件が行くと思うの? という話になります。
物件を見に行けば、担当者と話す機会もあるし、見る目も養われる。すると次に見に行った時に直ぐ判断できたり、エリアのことが把握できるようになったりする。経験値が積みあがっていくので、行動量は確保したほうがいいと思います。
初心者の方にぜひ読んでほしい! おすすめコラム3選
―ご自身のコラム以外からも3本選んでいただきました。1本目を教えてください。
「地主の婿養子大家」さんのデビューコラム「楽待で利回り7%の物件に問い合わせたら!」です。
物件を見に行くルーティーンが順番に書かれていて、初心者の方はとても参考になると思います。おそらく最近コラムを読み始めた方は、地主の婿養子大家さんのことを、コラムの内容も難しく、雲の上のようなレベルの人だと思っているのではないでしょうか。しかし行っていることは私たちと大きくは変わらず、必要な手順を着実に踏んでいます。初期の20本だけでも読んで、ぜひ参考にしてみてください。
―2本目のコラムを教えてください。
「ふくふどう」さんの「融資に関して失敗したと思っていること。俺みたいになるな!」です。
このコラムは、投資初期の融資先の選定について、ふくふどうさんの後悔が書かれています。本質をつき、かつ失敗事例を変にかっこつけず赤裸々に語られているのが良いですよね。オリックス銀行の使い方は誰もが知りたい内容です。金融機関への戦略を立てて規模を拡大する中で、このようなコラムは有益な情報源です。ぜひここからふくふどうさんへの関心を高めてもらい、彼のコラムを順番に読んでいただくと、より理解が深まると思います。
―3本目のコラムを教えてください。
「妄想大家K」さんの「創業前後に絶対にやっておいて欲しい事!」です。
このコラムには、法人設立といった特定のタイミングで受けられる支援に関する情報が、1本のコラムにまとまっています。私が開業したときはこれほどの情報を集めることはできませんでした。コラムには結論だけが書かれていますが、これらの情報が手に入るまでには相当な行動量があったと思います。
最近のコラムニストだと「半沢ジロー」さんも、とても有益な金融情報を提供してくれています。実践大家コラムには、普通は経験した人しか得られない学びのような、貴重な情報がたくさん載っていますよ。
コラムと、家族と、仲間
―実践大家コラムを書いていて良かったことはありますか?
まずは人ですよね。大家の仲間が増えて、何かあったときには頼ることができる。多くの大家さんと繋がれたことは間違いなく最大のメリットです。あと、コラムのネタのために何かしようと、必然的に行動量も増えること。そして行動をコラムに落とし込むことで頭の中を整理し、家族にも共有できること。大きくはその3つですね。
ーご家族からコラムの感想を聞くことはありますか?
妻からはたまにあります。でも私があまり素直に指摘を受けるタイプではないので、不動産投資の話になるのも年に2回くらいです。コラムを投稿すると、家族のグループラインに共有しますが、基本は無反応。でも「○○さんと会っていたよ」というと、どんな方と不動産投資の話をしてきたのか、伝わっているので、コラムを読んでくれてはいるみたいです。

家族のグループラインでコラムを共有
―不動産投資の話はあまりしないんですね。
コラムには活動のすべてを書いているので、全部筒抜けですけどね(笑)。でも例えば子どもに、通帳の記帳や税金の振り込みを頼むことがあるのですが、いやな顔をすることはありませんね。父親がどのようにしてお金を稼いでいるのか、という教育になっていればいいなと思います。
―反対に大変だったことを教えてください。
私は筆が遅いので、月10本のコラムを書くのに必要な時間を確保するのが大変です。1本書くのに5時間はかかるので、なかなか1日で仕上げることは難しいです。予定通りに執筆できない日があると、コラムのことで頭がいっぱいになり、気が休まりません。月に10本投稿すると自分で決めたので仕方ないですが、書き終えないまま土日に出かけても、なかなか楽しむことはできないですね。
―それでも3年間、月に10本書き続けられたのはなぜですか?
きっと毎月10本書いていることにプライドを感じているんだと思います。コラムニスト同士で約束もしているし。自分だけでは書けないですね。皆さんを裏切れないという気持ちで書いている部分もあります。月末には「あと何本ですね!」とコメントし合い、逆に全然投稿しなければ誰かしら連絡をくれると思います。縛りあって楽しんでいる仲間であり良きライバルですね。

いつもコラムを書いているデスク
実践大家コラムは情報の宝庫
―最後に読者の方にメッセージをお願いします!
コラムをたくさん読みましょう! 今はネットでも自分の趣味嗜好に合った情報が表示されるようになり、そういった情報の偏りは非常に危険だと思います。ただ流れてくる情報をあえて取り入れるのも大切です。興味があってもなくても、できるだけ多くのコラムを読むことが重要だと思います。毎日少しの時間でも、一通り目を通すことをおすすめします。
誰か1人の人を追いすぎると、その人に偏った考え方になってしまいがちなので、広く浅くの情報収集が良いと思います。そのうえで専門性を持つようにしないと競争を勝ち抜けない。だからいろいろな人のコラムを読みましょう。一方で、繰り返しになりますが、コラムニストの背景を理解したうえで読まないといけないので、特定の人を追うように読むのも必要ですよ。
◇
今回はジュニアさんにおすすめコラムを計6本選んでもらった。読者に積極的に呼びかけ、共に考えを深めていけるのが、ジュニアさんのコラムの1つの特徴だ。「実践大家コラム盛り上げ隊長」が今後どのようなコラムを投稿するのか、あるいはコメント欄でどのようなやり取りをするのか、目が離せない。
ジュニアさんの実践大家コラム一覧はこちら
(楽待新聞編集部)
この連載について
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