「物件を貸している相手が、勝手にその物件を第三者に売ってた」。

2022年8月、不動産投資家の彦坂真介さんが、自身のTwitterにこんな投稿を残している。

彦坂さんが遭遇したのは、いわゆる「地面師」。所有者になりすまし、他人の物件を売って代金を詐取する人物だ。2017年に大手住宅メーカーが約55億円を騙し取られた事件を覚えている人も多いだろう。

彦坂さんは今回、ロレンソ河合(仮名)と名乗るブラジル人地面師に、保有物件を売られたという。河合は現在詐欺容疑で逮捕されている。愛知県と静岡県で戸建16戸を自主管理し、アパート2棟も運営している彦坂さん。不動産投資歴は4年になるが、このようなことは「初めての経験」だと語る。

今回は彦坂さんに、河合の手口や事件が明らかになった経緯、事件に使われた所有物件の状況などについて取材。また、河合から物件を買ってしまったと話すブラジル人や、河合に物件購入を持ちかけられたというコラムニストの「大津社長」さんにも話を聞く。法的な観点からは、不動産トラブルに詳しい阿部栄一郎弁護士に見解を聞いた。

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「この物件は誰のもの?」詐欺発覚の問い合わせ

彦坂さんが地面師事件に気づいたきっかけは、全く面識のないブラジル人Aさんからの1本の電話だった。

「この物件を買った者です。なのに、登記簿にあなたの会社の名前がある。この物件は誰のものですか?」

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