この企画では、ある大家が所有する1つの物件に着目し、その物件の購入から現在に至るまでの詳細な収支を確認していく。どれほどの家賃が得られ、修繕にはいくらかかったのかなど、数字の詳細を見ていくことで、賃貸経営の流れを学ぶことができる。

今回話を聞いたのは、投資歴10年、戸建1戸、区分マンション14室を所有する「強制脱サラ大家」さん。残業時間80時間を超えるハードな職場から転職したいと考え、給与が下がることを見据えて副収入を得ようと不動産投資を始めた。2015年に脳梗塞を患ったことをきっかけに退職し、現在は専業大家として活動している。購入総額は6830万円、年間家賃収入は700万円前後だ。

紹介してもらうのは、2012年、40代前半に1戸目として購入した、東京都荒川区の中古区分マンション。山手線の駅から徒歩5分圏内にあり、価格は約680万円だ。現金で購入しており、購入時の表面利回りは9.7%だった。

強制脱サラ大家さんが初めて購入し、10年間保有するこの物件。購入した当初は「不動産投資に関する知識はゼロ」だったというが、10年間でどのくらい儲かったのだろうか。また、築30年を超え、今後建物や設備の劣化によってトラブルが出てくる懸念もあるが、「出口」についてはどのように考えているのだろうか。詳しい話を聞いた。

10年間でいくら儲かった? 収入と経費の詳細をチェック

今回取り上げる物件は、オーナーチェンジ物件として購入した。購入時築23年で価格は約680万円、購入時点での利回りは約9.7%だ。

保有期間は約10年間。退去が3回あったが、その都度物件の課題を分析してDIYでバリューアップし、2016年には5000円の家賃の値上げを行っている。また現在は管理組合の役員として物件の運営にも携わっている。

今回は、この物件の10年分の収支をまるごと1枚の表にまとめた。この表を見ることで、家賃収入に対して毎年どのようなコストがかかり、どの程度の手残りが得られるのかが分かる。以降では、この収支表を見ながら、それぞれの項目を詳しくチェックしていきたい。

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