賃貸経営をめぐるトラブルにはさまざまなものがあるが、ところ変われば事情も変わる。日本では考えられないような、スケールの大きなトラブルに見舞われた経験を持つ不動産投資家に、そのトラブルの実態を聞いた。
アメリカ・シカゴを中心に賃貸物件を66件所有するスティーブ野村氏。2009年から不動産投資をはじめ、現在家賃年収は1億円超という投資家だ。だが、これまでの投資人生の中では、信じられないようなトラブルに巻き込まれたことがある。
今回は、発砲事件をめぐるトラブルや、一切の家賃を支払わずに家をめちゃくちゃにしていった入居者など、野村氏が経験した「信じられないトラブル」4つを紹介しよう。
トラブル1:「I don’t have money」の一点張りで…
野村氏が経験したトラブルの1つ目は、家賃滞納。日本でもよく起きる話だが、「それにもかかわらず、客付けにおける注意点を理解していなかったことが原因で起きた。バカな話だった」と過去の行いを反省する。だが、話を聞いてみると日本で想像する「家賃滞納トラブル」のスケールをはるかに上回るトラブルだったようだ。
トラブルの舞台となったのは、初めて購入したアパート。1階に2ベッドルーム1バスルーム、2階に3ベッドルーム1バスルームという2戸の中古アパートで、どちらも購入時には空室だったため、入居付けを行う必要があったという。
「入居希望者が現れたら、今だったら必ず、入居希望者のクレジット(信用情報)チェックやバックグラウンドチェックをします。それだけでなく、今その人が住んでいる物件のオーナーにも連絡を取り、『どのような人なのか』まで聞きますし、職場の雇い主にも電話し、仕事内容や給与も聞きます。ですが、当時は知識がなく、こういったチェックを怠ってしまったのです」
2階に入居したのは若い女性だったが、1カ月目から家賃を支払わなかったという。野村氏が家賃の支払いを求めて部屋を尋ねると、彼女は「I don’t have money(お金がない)」との主張を繰り返した。
「そうは言っても、支払ってもらわないわけにもいかないので、玄関先で問答を繰り返していたんです。でもI don’t have moneyの一点張りで…。最終的に彼女は私に向かって『Are you harassing me?(嫌がらせか?)』と言ってきました。言われたその瞬間は、彼女の意図がわからなかったのですが…」
家賃の支払いもしてもらえず、「嫌がらせか?」と言われて困った野村氏は、その場で自身の弁護士に電話。すると弁護士は、焦った様子で「今彼女の家の外か? 中か?」と聞いてきた。
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