現役大家さんが、自身の経験や日々の大家業についてリアルに語る「実践大家コラム」。この企画では、実践大家コラムを執筆するコラムニストの方々に、おすすめのコラムを紹介してもらう。選定理由や執筆の裏話から、普段見られないコラムニストの一面に迫る。

今回は、2018年にコラムニストとしてデビューし、投稿したコラムは600本を超える「リーマンまさゆき」さんにインタビューを行った。実体験をもとに不動産投資について語られる「ホンネコラム」が人気で、不動産投資の良い面だけでなく、業界の闇についても赤裸々に発信してきた。そんなリーマンまさゆきさんが選ぶコラムとは? 実践大家コラムとの向き合い方についても語ってもらった。

「ホンネコラム」はどのようにして生まれた?

コラムで恒例のワンコから一言:楽待のコラムに出会えてよかったね

―まずは自己紹介をお願いします!

リーマンまさゆきです。製造会社の営業として20年以上勤務する傍ら、2017年から兼業大家として活動しています。首都圏を中心に物件を取得し、全物件を管理会社に委託して運営をしています。最近、6物件目となる区分マンションを取得しました。現在、税引き後キャッシュフローは1200万円ほどですが、それが2000万円を超えることを目指して投資活動を行っています。

―今回、おすすめのコラムを3本選んでもらいましたが、どんな基準で選んだのでしょうか?

私のコラムは実体験に基づいた内容が書かれています。私が不動産投資を始めたばかりのころは、具体的な実践例というよりも、抽象的な知識を発信しているような内容のコラムが多い印象でした。それを受けて私は、不動産投資に関する良い話も悪い話も自分の感覚で赤裸々に語る、実体験ベースの「ホンネコラム」を発信するようになりました。今回は、その象徴ともいえる3本のコラムを選んでみました。

読者のためになる、実践例を伝えたい

―では早速、1本目を教えてください

1本目は「三為業者にダマされそうになった話(前編)」です。


1本目:三為業者にダマされそうになった話(前編)
投稿日:2018年7月7日

このコラムでは、私が2棟目の購入を検討しているときに体験した、仲介業者と名乗る三為業者に騙されかけた出来事を書きました。ある業者に、物件を無理やり買わされそうになった話を、その業者とのやり取りも含めて書いているので臨場感が出ていると思います。不動産投資家が、実際にどのような経緯で罠にはまってしまうのか、投資家の皆さんにとって参考になる内容だと思い、選んでみました。

―この出来事からどんな学びがありましたか?

実際私も不動産投資を始めたばかりで、偉そうに言えるほどの経験値はなかったんですけれども、自分なりに三為業者に騙されかけた原因を分析しました。私は当時、物件の検討範囲を広げていたこともあり、購入基準が固まらないままその物件を気に入ってしまいました。他にも、やり取りをする業者の言葉のままに進めるのではなく、自分でも物件を検索にかけるなど、踏みとどまることができたポイントはいくつもあったと反省しています。

―次に、2本目のコラムを教えてください

私が購入した1棟目の物件について書いた、「築古大規模物件をフルローンで購入した功罪の検証」です。

このコラムでは、私がコラムニストになる前にフルローンで購入した、2億円近い築古の重量鉄骨マンションの良し悪しを検証しました。あるサラリーマンが個人で購入したと想定すると、13年間問題なく賃貸運営できれば投資として成功だということが判明します。しかし実際は、7年目からデッドクロスの状態に陥ってしまうということに、物件を購入してから気づきました。その後私がデッドクロスを回避するためにどのような策を取ったかは、ぜひコラムを読んで確かめてみてください。

1棟目に購入した重量鉄骨マンション(店舗・事務所6室、住居15室)

―当時この物件を購入したことを明かしたとき、反響はいかがでしたか?

あるコラムニストには、「フルローンで築古物件はリスクが大きい」、「最終的に純資産を増やせる物件の買い方をすべき」とバッサリ斬られました(笑)。私も頑固なので、そういったコメントをそのまま肯定せずに意見を述べ、強気なやり取りが続いたこともしばしばあります。とはいえ、いろいろな見方や角度からコメントをもらえたことは非常に勉強になりました。デッドクロスを考慮できなかったことで勉強不足を痛感し、以後コラムで「長期シミュレーションの大切さ」を説くようになりました。

―では3本目のコラムを教えてください

3本目は、「1棟目から6棟目までの戦略の変遷」です。


3本目:1棟目から6棟目までの戦略の変遷
投稿日:2023年2月3日

このコラムは、今まさに書いているシリーズの初回のコラムです。私の不動産投資は自宅を賃貸にするところから始まりました。その後、1棟目に購入する収益物件をどのようにして選ぶかを悩んだり、6棟目を所有するまでに考え方が変化したりしました。自分自身の過去の投資活動の振り返りもかねて綴っています。

2棟目に購入した重量鉄骨アパート(住居16室)

また、私が不動産投資を始めたころに感じた、「こういう情報が欲しかった」という内容を具体的に盛り込めるように意識しました。私の元自宅はどこにある物件で、誰に、いくらで貸し始めたのか、時系列的に明かしています。読者、特に兼業で不動産投資を始めようとしているサラリーマンにとって参考になればいいなと思って選びました。

不動産投資の話をできる人がいなかった過去

―実践大家コラムを執筆していて良かったことはありますか?

2つあります。まず1つ目は、楽待新聞の記事とコラムにはコメント機能があり、読者から直接感想をもらえることです。私がコラムニストになったのが、ちょうどコメント機能がリリースされたタイミングということもあり、初心者だった私のコラムには多くのダメ出しコメントが付きました。私にとって非常に勉強となる内容が多くありましたので、そのようなコメントをもらえることが私のコラムを執筆するモチベーションになっている部分もありました。

不動産投資の勉強のために読んだ本たち

2つ目は、コラムの読者やコラムニストの方々と知り合うことができたことです。サラリーマンをしながら不動産投資をしていると、なかなか話をできる人がいないのが実情です。会社で不動産投資の話をすればやっかまれるし、他に話せる人と言えば、不動産屋、仲介会社、税理士といった利害関係者ばかりでした。

しかし、コラムニストになってからは、利害関係のない大家さんたちと横並びで情報交換や近況の話などをすることができるようになりました。とはいえ、投資家レベルとしては対等でない、私より経験豊富な人ばかりでしたけど(笑)。楽待のコラムを通じて他の投資家と知り合う機会を得ることができ、とても良かったと思っています。

―反対にコラムを書く中で大変だったことは何ですか?

実はあまり大変だと思ったことや苦労したことはありません。ただあえて言うとすれば、コメントへの返信の際に、自分の立場を明確にすることを毎回意識していました。たまに、私の知識にない内容の指摘をされます。その場合、一度調べて自分の意見を明確にしてから返信するようにしているので、それが少々手こずることはあります。しかしどちらかというと、私の知らないことを教えてもらっているという認識なので、特別苦労したということはありません。

不動産投資活動の中で、喜怒哀楽が生まれたことがあれば、自分の活動の記録的な意味も含めてコラムに書き起こすようにしています。コラムを1本書くのも、早ければ20分、時間がかかっても3時間程度なので、時間やネタ探しの部分でもあまり大変な印象はありませんね。

―リーマンまさゆきさんが考える、実践大家コラムの上手な活用方法を教えてください

コラムを書いている人にも、さまざまな背景があります。それぞれの資産状況などによって、同じ物件を購入しても正解であったり不正解であったりするケースが存在します。そういう意味では、たくさん投稿されているコラムの内容を鵜呑みにすることは危険です。コラムの著者の実践例であるという認識をもって読むのが良いと思います。

そして、やはり楽待のコラムの面白いところはコメント機能があるところだと思います。コメント欄が公開されていることで、著者とコメントを付けた人のやり取りを、別の第三者が確認することができます。気になるコラムについては、本文の内容だけでなく、コメント欄までよく読むと面白いのではないかと思います。

―最後に、読者の方にメッセージをお願いします!

私のコラムは、思ったことをそのまま書く「ホンネコラム」です。それについて、「楽しみにしています」というコメントをいただけると非常に嬉しく思います。いつも読んでくださっている方には、感謝の気持ちでいっぱいです。読者にとって参考になる、分かりやすい文章を目指していますので、ぜひこれからも楽しみにしていてください。

今回は「リーマンまさゆき」さんにおすすめのコラムを3本選んでもらった。リーマンまさゆきさんのコラムは、ご本人が体験した実例を、心の声などもありのままに学ぶことができる。リアリティあふれるケーススタディができ、読者が不動産投資で失敗することを防ぐことに役立っていることだろう。シリーズとして書かれているコラムは物語のようで、続きが気になるものばかりだ。今後もどのような実践例を公開してくれるのか、期待したい。

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(楽待新聞編集部)