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不動産投資をする上で欠かせないのが「家族の理解」だ。家庭を持つ人にとっては、時間もお金も自分1人のために使うことはできない。不動産投資を始める前に、まず家族の理解を得るということが1つのハードルと言えるだろう。

とはいえ、不動産投資のことをそもそも知らない人や、投資と聞いて「危ない」と感じる人もいるだろう。家族に反対されたら、どのように説得すればよいのか。今回は「妻に不動産投資を反対された大家」である3人に集まってもらい、話を聞いた。妻の反対をどのように乗り越えて不動産投資をスタートしたのか、現在は不動産投資をどう捉えているのか、語ってもらった。

投資は大反対、超堅実主義の妻に「土下座ローン」

マミーさん(40代前半)
※2022年6月時点の状況
・家族構成:妻、子ども4人
・職業:会社員
・年収:約600万円
・金融資産:約2000万円
・不動産投資歴:2年
・保有物件数:戸建て2、アパート3

過去に株式投資で損をした経験があり、当初妻に不動産投資を猛反対されたマミーさん。しかし、その後戸建てを購入し利回り33%ほどで運用中だという。不動産投資に対して一切理解を示さなかった妻が、物件購入に同意したきっかけは何だったのだろうか。

マミーさんの妻は一言でいうと「超堅実主義」な人だという。コンビニのおにぎり1つをとっても、周囲の人が「美味しかったよ」と言わないと絶対に買わないタイプだそう。「新商品美味しそうだな」と試してみたくなるマミーさんと違って、妻は確実に評価されているものしか手に取らない。

そこで、不動産投資を始めるにあたって妻を説得するときも、妻の価値観や希望に寄り添えるように配慮した。マイホームの間取りが気に入らない、と不満を抱えていた妻に「もう一度買い直そう」と提案したのだ。その資金として不動産投資でも収入を得たい、と説明したところ妻の顔色が変わったという。

しかし、不動産投資に使える手元資金はコロナ給付金の10万円のみ。これでは何も買えないと、2週間後に返済する旨を約束した借用書を書き、妻から有利子の「土下座ローン」をなんとか獲得。やっとの思いで不動産投資をスタートさせた。現在、妻は不動産投資に賛成でも反対でもないが、2人の2027年にマイホームを買い直すという目標達成に向けて前向きではあるようだ。

老後に備えて投資を決意、妻と一緒に指値も

ヤンさん(40代前半)
※2022年6月時点の状況
・家族構成:妻、子ども3人
・職業:会社員
・年収:約1000万円
・金融資産:約1100万円
・不動産投資歴:2年
・保有物件数:区分マンション4

いつかサラリーマンを退職したら、貯金を切り崩すだけの生活になる…。そんな将来に不安を感じ、不動産投資に興味を持ったヤンさん。「本気でやってみたい」と打ち明けると、妻からは「そんな簡単に上手くいくわけない」と厳しい言葉が返ってきた。結果的に妻が折れる形でスタートするも、現在は協力的だという。その理由は「妻がメリットを理解したから」だそう。

メリットと言っても、不動産投資そのもののメリットではない。ヤンさんが不動産投資を始めたことによる副次的な恩恵のことだ。設立した法人の役員報酬を得られたり、パートタイムの扶養を気にしなくて良くなったり、妻の生活に変化があった。それにより妻が不動産投資を悪く思う機会が減り、当事者意識を持ってくれるようになったそうだ。

実際に不動産会社とやり取りをするのはヤンさんだが、エリアの選定や指値の金額、入居募集の条件については、妻の指示が入るときもあるそう。自分の意図だけでなく、家族にとってのメリットをしっかり伝えることで対話ができ、相手の理解が得やすいのではないかとヤンさんは話している。

事後報告で大揉め、不機嫌な妻の「事情聴取」

カズさん(30代後半)
※2022年6月時点の状況
・家族構成:妻、子ども1人
・職業:公務員
・年収:約670万円
・金融資産:約3000万円
・不動産投資歴:8年
・保有物件数:マンション1

倹約家の妻を持つカズさん。「不動産投資を始めたいと伝えても、どうせ理解が得られない」と考え、なんと先に物件を購入して、妻には「事後報告」をしたという。もちろん妻は大激怒。この件だけが理由ではないが、現在は妻と別居中だという。

カズさんが妻に打ち明けたのは購入の2カ月後。告白後すぐに妻からカズさんに対して、「事情聴取」とも言える質問攻めが始まった。その中で「ちゃんと勉強したのか」と妻に問われ、カズさんは悔しかったという。以後は意識的に勉強している姿を見せ、楽して稼ごうとしているのではないと理解してもらえるようにしたそうだ。

カズさん自身のお小遣いをキャッシュフローから賄うようになり、家計を圧迫しないことは妻に理解してもらえた。しかしながら、依然として不動産投資を快く思ってはいないらしい。これまで何度も妻と話し合ったカズさんだが、「理詰めではなく感情や行動で示すべきだ」と語る。不動産投資の目的を共有し、家族のためであることを再認識する必要があるだろう。

不動産投資を行う中で、家族からの理解は必要不可欠とも言える。今回話を聞いた3人も、自身の生活習慣から改善したり、お小遣いを家賃収入から賄ったりと、さまざまな施策を行った。夫婦であっても価値観の違いはあって当然だろう。自身の希望や考えを押し付けるのではなく、不動産投資をすることで家族にどんな利益があるのかを説明してほしい。

マミーさんは、「自分のやりたい気持ちは止められない。同じような問題を抱えている人がいるなら、一歩踏み出してみてほしい」と締めくくった。

妻に不動産投資を反対された大家の「覆面座談会」を動画で公開中!
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(楽待新聞編集部)