税理士の和田晃輔です。不動産オーナー専門税理士として、和田晃輔税理士事務所(https://www.wada-taxconsul.com/)の代表をしています。私自身も不動産投資に取り組み、首都圏を中心に80戸程度を保有しています。そうした経験も生かし、不動産投資家・不動産オーナーのみなさまの税務や相続、事業承継のお手伝いをしております。
楽待では、不動産投資家として、また不動産オーナー専門税理士として、不動産に関するさまざまな検討を行う中で得た、ちょっと深掘りした情報をお届けできればと考えております。
前回は「不動産保有法人は、株式会社と合同会社のどちらにしたら良いか?」という点について、相続・事業承継の視点から掘り下げました。今回はその続き、その際に生じる問題、課題にどう対処できるのか? というお話です。
【記事の内容】
<前編>
法人化は「株式会社」「合同会社」どっち? 相続の視点で考える
「合同会社」と「株式会社」では、税法の適用関係に大きな差はない。ただし合同会社の場合、「相続」の際に大きな違いが出る。具体的には、被相続人の税金が高くなったり、被相続人が賃貸経営に関与できなくなったりする可能性があることに注意。
<後編>(本記事)
合同会社の「相続」における、上記のような注意点について、事前に対策を取ることも可能。具体的には定款で「出資持分を相続できるようにする」旨を定める方法などがある。ただし、さまざまな注意点が。また、投資ではなく財産の管理や安定的な承継を設立の目的とするなら、「株式会社」の方が適するケースも。
◇
前後編の2回にわたって「不動産保有法人は、株式会社と合同会社のどちらにしたら良いか?」というテーマを取り上げています。
簡単に前回のおさらいをしておきましょう。
前回ご説明したのは、合同会社の出資者が死亡した場合、その相続人には合同会社の出資持分(つまり社員としての権利)が相続されるのではなく、会社に対する持分の払戻を受ける権利(持分払戻請求権)が相続されるという内容でした。
持分払戻請求権は、合同会社に対して、持分相当の財産の払い戻しを求めることができるだけの権利なので、株式会社とは異なり、合同会社の経営に関与することはできません。なので、不動産保有会社である合同会社としては大変なことになりかねない、ということでしたね。詳しくは前回の記事をご覧ください。
「定款」に定めることで回避できる
さて、上記の問題について何か対策はないのか? というのが当然みなさまの気になるところでしょう。会社法を見てみると、以下の通り「例外」が定められています。
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