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築古戸建投資では、物件を安く購入して安くリフォームすることが肝になる。それでは、具体的にはどのようにしてリフォームを行っていくのが良いのだろうか。

今回は関西の「空家再生屋」こと川村ふぁるさんが購入した物件で、実際にリフォーム業者と工事の打ち合わせをしている様子の一部をお伝えする。ふぁるさんは関西を拠点に10棟170室を保有し、これまで200軒ほどの築古戸建を再生してきた実績豊富な大家さんだ。

リフォーム判断のポイントやリフォーム会社との工事内容の相談方法について、ふぁるさんの事例を参考にし、ぜひ自身の投資に役立ててほしい。

 川村ふぁるさん

■プロフィール

難あり戸建を中心に、これまで200戸の築古戸建を再生してきた。現在は、関西を拠点に200室ほどを所有し、家賃年収は約1.2億円。

【ふぁるさんが最近購入した物件】
木造/鉄骨戸建
所在地:兵庫県小野市
築年:1974年
購入時期:2022年9月
購入価格:85万円(現金購入)
1階:146平米
2階:92平米
駐車場:3〜4台

リフォーム会社と工事内容を確認

リフォーム会社と施工内容を打ち合わせる際のポイントは、「低コストで施工できる方法を自分から提案、確認すること」だとふぁるさんは言う。全てリフォーム会社の判断に任せず自ら案を提示することで、リフォーム費用を抑えることができるからだ。

「ここはこのままでOK」「ここはクッションフロアで」と指示をしながら、物件全体のリフォーム内容を把握できるよう、間取り図にリフォーム内容を書いてまとめていくふぁるさん。自分で判断できる部分については指示を出し、工事が必要かどうか判断が難しい箇所についてはリフォーム会社の担当者に相談していく。

雨漏りで水浸しになった床。「一度剥がして張り直すしかない」と小林さん

例えば雨漏りで水浸しになった床については、施工内容を担当者に丸投げにはせず自らリフォーム案を提示した。

「ここは床板を張り替えるしかありませんよね。6~9ミリくらいの厚みのある板を貼って、上からクッションフロアを貼るというのはできますか? 可能ならそれでいきましょう」

床材の中でも安価なクッションフロアを用いることで、リフォーム費用を抑えるという提案だ。リフォーム会社の担当者に施工の可否を確認し、この方法でリフォームを行うことになった。

築古物件で特に重要なのは水回り

キッチンや風呂といった水回りについては、修繕の依頼を細かくした方が良いとふぁるさんは語る。

「水回りは入居者の目を引く箇所なので細かく確認した方が良いですが、そもそも購入時に水回りがしっかりしている物件を選ぶことが大事です。例えばこの物件はトイレが洋式の水洗で、お風呂は長方形でステンレスなのが良かったです。もしボットントイレだと洋式に変えるのに80万~100万円はかかりますし、お風呂も一畳風呂という正方形のものだと広くするための工事に費用がかかりますから」

水回りがもともとあるものを綺麗にするだけで使える状態であれば、「物件を買っても良い」という判断材料になると言うふぁるさん。リフォーム費用を考慮して、購入前にも水回りについては注視することが必要だ。

浴室の様子。浴槽が長方形で広かったことが、物件を購入する判断材料の1つになったという

浴室では、「シャワーのパッキンは大丈夫なので、ヘッドだけ変えてほしい」「カビやすい浴室扉の前には防水カーテンとレールを付ける」「床の隙間はコーキングしてほしい」など、細かい指示を丁寧に担当者に伝えていった。

リフォームのコツは「やりすぎないこと」

畳は部分的に新調して残りは表替えをするなど、「使える部分は残して部分的に取り替える」こともリフォーム判断のコツだ。それも全ての箇所を細かく修繕するのではなく、「部屋の入口から見える箇所を綺麗にする」ことを意識しているという。

「リフォームしても大きな効果がない部分については、特に手を加えなくて良いと思います。リフォームは『いかにやりすぎないか』が重要で、全部を直そうと思うと絶対に費用が釣り合わないんですよ。どこを直せば効果的なのかという取捨選択をすることが必須です」

車庫や倉庫に使用するスペース。「駐車場が広い物件は入居付けに強い」と語る小林さん

例えば車庫や倉庫にするスペースについては、「壁は塗装するけれど天井はやらない」と言うふぁるさん。内見者が見るのは床と壁がほとんどであり、天井は塗装しても効果が大きくないからだという。室内の天井についても、状態があまりに悪いものでなければそのまま使うことにしているそうだ。

他にも、修繕箇所に使う素材はもともと使われている素材より安価なもので代用する、塗装の色は部分ごとに変えるとコストがかかるため統一するなど、リフォーム費用を安く抑えるための工夫が随所で見られた。

ふぁるさんによる「築古物件リフォームのノウハウ」まとめ
・間取り図にリフォーム内容を書いてまとめる
・低コストで抑えられる方法を提案、確認する
・水回りの修繕依頼は細かく
・大きな効果がない部分はリフォームしない。修繕箇所は取捨選択が大事

今回紹介した「リフォーム判断のポイント」以外にも、空家再生の実績豊富な川村ふぁるさんが投資した物件の概要については「先輩大家の物件見学ツアー」の動画で公開している。

「築古戸建を購入する際の判断材料」や「築古戸建投資の注意点」など、空家再生屋の語る築古戸建投資のノウハウを知りたいという方はぜひチェックしてほしい。

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(楽待新聞編集部)