
リベレステ株式会社HPより
不動産を相場より高値で購入させることを条件に融資を行い、取引先から違法な利息を受け取ったとして24日、東証スタンダード市場上場の不動産会社「リベレステ」社長、河合純二容疑者(74)ら3人が出資法違反の疑いで逮捕された。
NHKなどの報道によると、河合純二容疑者らは、2018年9月から2019年の6月にかけ、東京都内の建設会社に約7億円の融資を行った。その際、岐阜県や広島県の傾斜地など会社の所有する土地を、相場を大きく上回る高値で買わせることで、実質的に法外な高金利での貸付を行ったとされている。
約7万8000円で取得した土地を、192倍の約1500万円で販売していたという報道もある。不動産との「抱き合わせ融資」が摘発されたのは全国で初めて。
リベレステは今年3月1日に警視庁の家宅捜索を受けており、その際に社長らは「正当な不動産取り引きで出資法違反にはあたらない」と説明していたという。警視庁の調べに対し、社長は容疑を否認、他の2人は容疑を認めているということだ。楽待新聞編集部も、リベレステに対して取材を実施、現在担当者からの返答を待っている。
不動産の「抱き合わせ融資」という、珍しい今回の事件。具体的にはどのような点が問題だったのか。不動産問題に詳しい関口郷思弁護士に解説してもらった。
全国初の事例、「確かな証拠」で逮捕か
今回の事件の背景には、どのような問題があったのだろうか。関口郷思弁護士は「抱き合わせ融資をしていたという、確たる証拠がでてきた、ということではないか」と話す。
前提として、法人間で融資契約、不動産売買契約がそれぞれ行われること自体は何も問題はない。しかし今回は、融資をする条件に土地の購入を含め、1つの取引とする「抱き合わせ」が行われていたようだ。
「格安で仕入れた、ほとんど価値のないような林地を高く購入させ、仕入れ額との差額を実質的な利息として受け取っていた点に問題がある」と関口弁護士は説明する。
このような「抱き合わせ融資」自体は、昭和の時代からあったという。融資と同時に価値の低い時計や絵画などを高額で購入させ、その購入代金を融資の利息として受け取るのだ。しかし今回のような不動産との「抱き合わせ融資」は珍しく、関口弁護士も初めて聞いたケースだという。
今年3月1日、リベレステに対して家宅捜索が行われ、そこから3カ月ほど経っての逮捕となったが、このときに「確たる証拠」が見つかったのではないか、と関口弁護士は推測している。「融資と土地の売却は別々の取引だった、と言い逃れられないような、確かな証拠があったのかもしれませんね」
リベレステは今回の事件を受け、調査委員会の設置を検討している。委員会を通じて、事件の原因や再発防止策、社内体制の改善などについて解明が進んでいくことになりそうだ。
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不動産の売買を通じて、法定金利を上回る融資をしていたとみられている今回の事件。上場企業の社長が逮捕されるという、不動産業界にも衝撃を与える出来事となった。より詳細な事実が判明するまで、今後の動向にも注目していきたい。
(楽待新聞編集部)
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全55話
不動産や投資についてはもちろん、経済、金融、税金など、不動産投資家が気になるニュースをコンパクトにまとめて分かりやすくお伝えします。
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