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賃貸経営には、物件の管理を大家自身が行う「自主管理」と、管理会社に管理を委託する方法との2つのパターンがある。委託の場合は管理にかかるオーナーの手間や時間が省けるというメリットがあるが、どのような管理会社を選ぶのが良いのかと悩む投資家の方もいるかもしれない。

今回は、物件管理業務歴26年のプロである熊切伸英さんの、「良い管理会社・悪い管理会社の見極め方」についてご紹介する。物件の管理を委託する場合は、どの管理会社に任せるべきか事前によく調査をする必要があると熊切さんは語る。

管理業務のプロである熊切さんの視点から見て、どのような管理会社に物件を任せるべきなのだろうか。熊切さんが語る良い管理会社・悪い管理会社の特徴を確認し、ぜひ自身の投資に役立ててほしい。

プロフィール

熊切伸英さん
電鉄系不動産会社で一戸建て・マンション販売営業を7年経験したあと、別の不動産会社で賃貸管理業務を担当し10年勤務。その後さらに別の不動産コンサル会社でプロパティマネジメント事業部のマネージャーを経て、現在は前職の会社に戻り統括部長を務めている。

■インタビュー記事
賃貸管理の365日、業界歴30年のプロが綴る「クレーム日記」

管理会社の「確認するべき事項」

熊切さんによれば、管理会社の能力をある程度把握するためには確認するべき特徴があり、その特徴によって良い管理会社と悪い管理会社を見分けることができるという。

熊切さんが語る「良い管理会社」と「悪い管理会社」の特徴は以下の通りだ。

良い管理会社の特徴

・オーナーの収益アップが収入源で、空室は管理料の減少だと考えている
・物件の価値を上げることを検討、提案し、賃料の値下げは最終手段だと考える
・賃貸募集は自社だけではなく他業者へ手広く斡旋依頼する
・連絡、報告、事務処理に関してIT系活用で処理が早い
・賃貸管理の経験が浅い担当には経験豊富な上司がフォローにつく
・ミスを犯しても隠さず正直に報告する倫理観がある

悪い管理会社の特徴

・空室は仲介料アップのチャンスと考える
・賃料の値下げこそが空室対策だと考えている
・賃貸募集は自社だけで行う
・滞納者や不良入居者の対応が遅い
・入居者属性、人柄など、問題があっても保証会社の審査が通れば隠す
・一時対応で処理できる場合も、即専門業者を手配する
・過去の出来事の履歴を残していない
・担当者も責任者も賃貸管理の経験が浅く、知識が乏しい

空室状態や空室対策への心構え、賃貸募集の方法、運営体制などがチェックポイントだ。空室を仲介料アップの機会と捉えたり、空室対策で真っ先に賃料の値下げを提案したりする管理会社は避け、オーナーの収益アップを第一に考える管理会社を選ぶのが良いという。

また、賃貸募集を自社だけで行う管理会社は入居がなかなか決まらないため、避けるべきだと語る熊切さん。すぐに専門業者を手配する管理会社も、オーナーの負担が増えて良くないため、一時対応の能力が高い管理会社を選ぶことが重要だ。

運営体制に関しては、IT系を積極的に導入していて処理が早い会社を選ぶのが良いという。担当者の経験が浅い場合は上司のフォローがきちんと入るか、オーナーに対して隠し事をしないかなど、基本的な部分のチェックも欠かせない。

「すでに管理を委託している管理会社に前述の悪い特徴が当てはまる場合、委託先を別の会社に変更できるように、管理委託契約書の委託解約条項を確認しておきましょう。委託解約条項を確認したいと管理会社に伝えることで、『このままでは管理の委託をやめられてしまうかもしれない』というプレッシャーをかけることにもなります」

管理を委託する前に見極められるのが一番だが、すでに良くない会社に管理を任せているという場合は一刻も早く別の会社に切り替えることが求められる。良い管理会社・悪い管理会社の特徴を踏まえ、物件を任せる先を慎重に選ぶべきだと熊切さんは語った。

今回紹介した「良い管理会社と悪い管理会社の特徴」以外にも、物件管理業務歴26年のプロである熊切伸英さんが語る賃貸経営の教訓については「楽待主催セミナー アーカイブ」の動画で公開している。

「管理会社目線の賃貸経営ノウハウについて知りたい」「良い管理会社を見極めるためのより具体的な方法が知りたい」という方はぜひチェックしてほしい。

管理業務歴26年のプロが伝授する「満室大家さん」になるための教訓、
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(楽待新聞編集部)