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「収入を増やしていつか会社員を退職したい」という思いで、不動産投資を始める人もいるのではないだろうか。専業大家になる利点はたくさんある一方で、会社員であることの利点もある。

今回は、年収400万円のサラリーマンから、7年間で資産10億円を作り、FIREすることができた安藤新之助さんに話を聞いた。どのような過程を踏み、サラリーマンを卒業したのか。FIREするために行った準備や、資産を拡大する途中の失敗など、安藤さんの実体験をもとに紹介する。

「怒ってはいけなかった」、銀行出禁の失敗も

35歳で不動産投資を始めて7年で、家賃収入1億円を突破したという安藤さん。投資規模を順調に拡大してきたように見えるが、大きな失敗を2つしたという。

(1)条件の良い物件だと思い購入したが…

安藤さんが3棟目に購入した物件は、積算価格の高い、利回り10%以上という、条件の良い物件だった。しかし購入後すぐに断水したため、原因を調べたところ給水ポンプの故障が判明したそうだ。100万円以上かけて修理をしたものの、その後も毎月のように水回りトラブルが発生。家賃滞納も頻繁に生じており、非常に手のかかる物件だった。

安藤さんは当時を振り返り「立地などのスペックだけで判断し、建物そのものの調査を怠ってしまった。リサーチの重要性を痛感した経験でした」と話している。

(2)理不尽な銀行員の対応に激怒した結果…

銀行との関係性を壊してしまったこともあったという。安藤さんは、ある時、半年ほど付き合いがあった銀行に、新しく購入したい物件の審査を依頼した。担当者は良い反応を示し、稟議を上げておきます、となってその日は終えた。

しかしその後全然連絡がなく、不安に思っていたところに、融資課長と顔を合わせる機会があった。安藤さんが「融資の件、よろしくお願いしますよ」と声をかけたところ、相手からは「何のこと?」という返答だったという。融資に前向きなリアクションをしたはずの担当者が、実は稟議を上げていなかったのだ。

理不尽な対応に怒りを覚えた安藤さんは、担当者に対して物申し、その店舗への信用を失ったことから、すべての取引をやめた。当時を振り返り「普段あまり怒らないのですが、その時は頭にきました。担当者には結構強い口調で言いました」と語る。

ところがそれ以降、別の支店に違う物件を持ち込んでも全て断られるようになってしまったという。その時の担当者に、前に何かトラブルがなかったか聞かれ、例の件が原因だと思ったそうだ。安藤さんは「どんなに怒っていてもそれを直接伝えず、担当者変更などの穏便な方法にすべきだった」と反省しているという。

FIREするために必要な「準備」

失敗を経験しながらも、「5年目までに6棟購入、資産6億円、家賃収入6000万円」を目標に掲げ、追い続けた安藤さん。目標を達成し、FIREするためには、事前に3つの準備が必要だという。

1つ目は収入の基盤づくりだ。不動産賃貸業の3期以上の実績があることと、不動産投資の手残りが本業年収の2倍以上あることが基準の目安だそうだ。生活費に加えて、万が一に備えたキャッシュストックが必要不可欠となる。

2つ目は金融機関へのヒアリング。融資を受けられていた理由として、不動産投資の実績とサラリーマン属性のどちらの比重が大きかったのか、把握すべきだ。FIREをしても以後の資金調達に影響がないか、事前に担当者に聞いて確認してみてほしい。

3つ目は社長になる心構えだ。不動産という高額な決済を即時に判断しなくてはならない場面が増え、いかなる責任も自分に問われるようになる。書籍やセミナーで、代表者としての意識を身につけることが必要だという。

FIREをすると、時間的な拘束が減り、家族との時間を増やせるといった大きなメリットがある。これに加えて、副業だった不動産賃貸業を本業にする、という変化を評価する金融機関もあるそうだ。

一方で「退職後にやることを明確にしておく必要がある」と、安藤さんは語る。自由な時間が増える分、ライフスタイルが乱れたり、多方面で出費が増えたりするらしい。サラリーマンを卒業した後の人生をどう過ごしたいのか、計画しておくのが良いそうだ。

安藤さんは、成功の秘訣を「情報収集」と「行動量」だと語っている。適切な投資判断をするために、どのような情報を集め、行動するのが良いのか。セミナーでは、自分に合う投資手法の見つけ方から事業計画書の作り方まで紹介されている。これから不動産投資を始めたい人も、投資規模を拡大してFIREしようという人も、ぜひ参考にしてほしい。

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(楽待新聞編集部)