
PHTO:OrangeBook/PIXTA
公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)は5月、2022年度の「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金」に関する調査結果を公開した。
2022年度に東日本レインズを通して成約した首都圏中古マンションの月額管理費は1戸あたり平均1万2480円、修繕積立金は1万1474円、合計2万3954円だった。1平米あたりの管理費は平均197円、修繕積立金は181円 、合計は378円だった。
区分マンションを購入する際、価格に加えて考慮しなくてはならない管理費と修繕積立金。物件の購入価格が安くても、月々の管理費・修繕積立金が高額では運営が厳しくなる。首都圏の平均値を知り、今後の購入物件の管理費等が高額すぎないかの判断に役立ててほしい。
都心部ほど高い傾向
都県別の管理費は、東京都が1戸あたり1万3482円で、神奈川県は1万1790円、埼玉県は1万671円、千葉県は1万1024円だった。最も高い東京都と最も低い埼玉県では、1戸あたりの金額で2811円の差がある。
さらに同じ東京都の中でも、23区では1万3790円なのに対し、多摩市では1万2045円と開きが生まれた形だ。
1平米あたりでは、東京都が229円、神奈川県が178円、埼玉県が158円、千葉県が151円という結果だった。
また、修繕積立金に関しては、東京都が1万1181円で、神奈川県は1万2080円、埼玉県は1万1094円、千葉県は1万1953円だった。こちらは神奈川県が最も高く、埼玉県と986円の差。1平米あたりでは、東京都が190円、神奈川県が182円、埼玉県が164円、千葉県が163円だった。
管理費も修繕積立金も、都心部ほど金額が高くなる傾向が読み取れる。管理費の方が、その傾向は顕著にみられ、首都圏の中でも地域によって差が開いている現状がわかった。

発表資料をもとに作成(出典:東日本レインズ)
築年数と規模でも差が
では物件のスペックによる違いはあるのか。まず築年別の集計データによると、管理費は築10年以内が1戸あたり1万5309円、築11~20年は1万3929円、築21~30年は1万2558円、築30年超は9767円だった。新しい物件ほど管理費が高くなる傾向が読み取れる。
1平米あたりは、築10年以内が236円、築11~20年は199円、築21~30年は188円、築30年超は174円だった。
一方修繕積立金は、築10年以内が9433円、築11~20年は1万3632円、築21~30年は1万3174円、築30年超は1万924円だった。築11〜20年の修繕積立金の高さが押し上げる形で、管理費と修繕積立金の合計額は築11〜20年の物件が最も高い形となった。
1平米あたりは、築10年以内が146円、築11~20年は195円、築21~30年は198円、築30年超は195円だった。

発表資料をもとに作成(出典:東日本レインズ)
次に物件の総戸数による違いを見てみる。管理費は、50戸未満が1万3154円、50~99戸が1万1886円、100~149戸が1万2201円、150~199戸が1万2959円、200戸以上が1万4750円だった。
1平米あたりは、50戸未満が228円、50~99戸が197円、100~149戸が183円、150~199戸が184円、200戸以上が201円という結果に。必ずしも総戸数が多ければ高額になるわけではなさそうだ。
修繕積立金は、50戸未満が1万1974円、50~99戸が1万1210円、100~149戸が1万1367円、150~199戸が1万1819円、200戸以上が1万2430円という結果に。管理費と修繕積立金の合計額は、それぞれで1番高かった200戸以上の物件が最も高く、2万7180円であった。
1平米あたりは、50戸未満が208円、50~99戸が185円、100~149戸が171円、150~199戸が168円、200戸以上が169円だった。

発表資料をもとに作成(出典:東日本レインズ)
成約単価比率は高くても1%程度
調査では月額の管理費・修繕積立金だけでなく、「成約単価比率」も発表されていた。これは、物件の購入価格に対して年間の管理費等がどのくらいの割合を占めるかを示している。年間の管理費・修繕積立金・合計額を、区分マンションの購入価格で割ることで求められる。
首都圏全体の平均の数字を紹介する。管理費の成約単価比率は0.34%、修繕積立金の成約単価比率は0.32%、合計の成約単価比率は0.66%という結果となった。しかし地域によっては、合計対成約単価比率が0.5%程度のところもあれば、1%程度のところもある。つまり、管理費と修繕積立金の合計に対する成約単価比率が1%を大きく上回る場合は、管理費と修繕積立金が比較的高額だということになる。
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今回は首都圏の中古マンションの管理費と修繕積立金について、東日本レインズの統計情報をもとに紹介した。物件を購入する際は、どうしても価格に目が行ってしまうが、物件に見合う管理費・修繕積立金かどうかの判断も重要だ。購入を検討している物件の管理費・修繕積立金が平均から逸脱していないか、物件のスペックにふさわしいか、考慮することを忘れないでほしい。
(楽待新聞編集部)
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