新幹線開通の長崎県新大村駅、2024年に周辺開発が終わり人気エリアに？

PHOTO : ゆう / PIXTA(ピクスタ)

長崎県大村市では、2022年9月23日、新駅「新大村駅」が開業しました。佐賀県の武雄温泉駅と長崎県の長崎駅を結ぶ、西九州新幹線の開業に合わせて作られた駅で、長崎県の新たな玄関口となります。

新大村駅周辺では開発事業も進行しており、2024年以降、順次商業施設や分譲マンションが開業する予定です。そこで今回は、大村市の特徴や、新大村駅周辺の開発状況について見ていきます。

長崎県大村市の人口

大村市は、長崎県の県央に位置する市です。大村湾と多良山系の山々に囲まれた自然豊かな地域で、複数の観光スポットもあります。また、長崎自動車道の高速インターチェンジや、世界初の海上空港である長崎空港を有し、県内外へのアクセスは非常に良い地域です。

人口は2020年時点で約9万5000人と、県内第4位となっています。長崎市、佐世保市、諫早市に劣るものの、1970年から50年以上にわたって連続で人口が増加し続けている県内唯一の市でもあります。長崎県だけでなく九州全体が人口減少傾向にある中、珍しいケースです。

大村市の人口（出典：楽待　賃貸経営マップ）

大村市の人口推移（出典：大村市人口ビジョン）

大村市は、市の人口が増加している要因について、「空港や高速道路など高速交通の要衝の地としての充実した都市機能に加え、子育て支援の充実などに取り組んできた結果」と分析しています。

ただし、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計（2020年国勢調査反映）によると、大村市の人口は2025年以降減少に転じ、2060年には約8万人まで減少すると予測されています。0～19歳までの若年層が年々減少を続けていることなどが理由です。

大村市は2017年、将来的な人口減少に備え、「大村市立地適正化計画」を策定。「居住機能や医療・福祉・商業等の都市機能の立地、公共交通の充実を目指す」としています。新大村駅周辺地区はこの計画において、「都市機能誘導区域」に位置付けられています。

新大村駅周辺の開発状況は？

新大村駅は2022年9月23日、大村市に新設された九州旅客鉄道（JR九州）の駅で、西九州新幹線と在来線の大村線が乗り入れる重要な交通拠点です。また、長崎空港からの距離が5キロ程度と近いことも特徴です。

さらに新大村駅の周辺では、大村市が推進する「新大村駅前市有地開発事業」により、複合施設の開発事業が始まっています。駅周辺の約2万5000平米のエリアで分譲マンションや商業施設などを開発する予定で、2024年以降の開業を目指しています。事業概要は以下の通りです。

開発を手掛ける大和ハウス工業の報道発表資料によると、開発エリアは「都市型住居ゾーン」や「沿道商業ゾーン」、「生活充実型ゾーン」に区分されます。

出典：大和ハウス工業株式会社　報道発表資料

■都市型住居ゾーン
ファミリー世帯をターゲットとする分譲マンション、「レ・ジェイド新大村ステーションフロント」（地上8階建て・全119戸）と、「レ・ジェイド新大村パークサイド」（地上8階建て・全72戸）が竣工予定です。共用部にはコワーキングスペースやラウンジ、キッズスペースなどが設置される予定です。

■沿道商業ゾーン
主要幹線道路からアクセスできる利点を活かし、生活必需品を扱う店舗が建設されます。事業主体の1つである株式会社イズミが運営する総合スーパーマーケット「ゆめマート（仮）」も出店する予定です。

■生活充実型ゾーン
生活雑貨店などの商業施設や、交通利便性向上のため、タクシー乗り場や電気自動車充電スタンドなどを設置します。また、遠方からの来訪者が新幹線や高速バスの待ち時間に利用できるよう、カフェやファストフード店、地元の飲食店などを誘致する計画です。

完成予想図（出典：大和ハウス工業株式会社　報道発表資料）

◇

近年、地方の人口減少が特に目立ってきています。そんな中、新大村駅の開業および周辺エリアの開発は、大村市にさらに多くの人や企業を誘致する可能性があります。

現在新大村駅周辺の基準地価は3万6400円、公示地価は4万9200円となっていますが、事業が順調に進めば、周辺エリアの人気が高まり、地価が上昇する可能性も。完成はまだ先にはなりますが、今後の展開に注目です。

大村市の人口（出典：楽待　賃貸経営マップ）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　（伊野文明／楽待新聞編集部）