PHOTO : AH86 / PIXTA

大家歴約30年の「本気のリノベーションひなた」さん(以下、ひなたさん)が購入した区分マンションは、交通アクセスが良く、住環境も申し分ない物件だった。だがその後、話を聞いてみると、「悪い噂」ばかり聞こえてきたという。

その上、マンション全体の修繕積立金が「2度も失われていた」ことも発覚。

このマンションに、一体なにが起こっていたのか。どうにか立て直そうと、オーナーたちに「詐欺師呼ばわり」されながらも孤軍奮闘したひなたさんの軌跡を追う。

知識ゼロで区分購入、10年に渡るトラブルに

本格的なDIYスキルを生かして賃貸業を営むひなたさん。現在は戸建てやマンションなど合わせて35戸を持ち、年間家賃収入2400万円を得るが、この物件は「本当に儲からなかった」と話す。

ひなたさんが不動産賃貸業を始めたのは、およそ30年前のこと。バブル崩壊などいくつかの要因が重なり、自営業を営んでいた親の借金を1億円ほど背負った。返済に追われる中で、自宅として買ったものの、実家に帰っていたなどで使っていなかった新築戸建てを賃貸に出したのが大家業の始まりだった。

不動産収入に加え、ひなたさん自身の必死の努力もあり、借金は無事に完済。この経験から「不動産は自営業を助けてくれる」と感じ、自営業の夫と結婚してからも、引っ越して使わなくなった家を賃貸に切り替えるなどして不動産賃貸業を続けていたという。

戸建てメインで賃貸業を進めていたひなたさんだったが、25年前、当時手元にあった300万円を何かに投資できないか、と考えたことがきっかけで区分マンションに興味を示すようになった。

ただ、当時は区分投資の経験はゼロ。「本当に無知で、管理組合という言葉も知りませんでした。買ってから初めて『毎月修繕費を払っているけれど、このお金はどこに行くんだろう?』と思ったほどです」と語る。運営についてまったく知らないまま購入に踏み切ってしまったことで、その後10年間にわたるトラブルに巻き込まれてしまった。

決め手は「価格と住環境のよさ」

購入したのは、大学の近くにあったというこちらの物件。周辺にはスーパーマーケットやコンビニがあるほか、交通アクセスも良好。エレベーターがない点のは不安だったが、住環境のよさに惹かれて購入を決定したという。

■ひなたさんが購入した物件

・エリア:南大阪
・価格と利回り:300万円/18%
・種別と間取り:鉄骨区分マンション(2DK 23畳、4階部分)
・規模:4階建て14戸(1階に店舗×2戸、2~4階に住居×12戸)
・築年数:20年(購入当時)
・管理:住民による自主管理
・備考:エレベーターなし、天井に雨漏りあり、3点ユニット

ちなみに、300万円の売値は当時の相場でも割安だったという。理由は雨漏りだが、ひなたさんは過去に戸建て物件の雨漏りを直した経験があったため、自分で直せると考えた。3点ユニットも、購入後に分離工事もするつもりだった。

「積立金を2度失っていた」、発覚した衝撃の事実

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