税理士の和田晃輔です。不動産オーナー専門税理士として、和田晃輔税理士事務所(https://www.wada-taxconsul.com/)の代表をしています。私自身も不動産投資に取り組み、首都圏を中心に80戸程度を保有しています。そうした経験も生かし、不動産投資家・不動産オーナーのみなさまの税務や相続、事業承継のお手伝いをしております。
楽待では、不動産投資家として、また不動産オーナー専門税理士として、不動産に関するさまざまな検討を行う中で得た、ちょっと深掘りした情報をお届けできればと考えております。
今回は、法人で行う相続対策について解説します。
「投資用不動産の保有」と「法人の活用」は、いまや切っても切り離せない関係になっています。これは、法人が節税や事業規模の拡大など、さまざまな用途に適合していることが理由でしょう。
ただし、節税目的で法人を利用するにあたっては、「自分がどの税金の対策を前提にしているのか」について、事前にきちんと認識しておかなければなりません。
目的が整理されずに混在していると、法人の存在理由があいまいになり、どの目的も達成しがたい中途半端なものになりがちです。主目的をしっかりと確認したうえで、法人設立を進めましょう。もちろん、主たる目的の存在は、副次的な目的の存在を否定するものではありません。あくまで優先順位を明確にしておきましょう、という話です。
法人設立の「3つの目的」
投資用不動産と法人の関係で言うと、おそらく法人の設立目的は主として以下の3つになるでしょう。
1.不動産投資を通した「資産拡大・資産形成」
2.年収の極めて高いフローリッチ層の「所得税節税対策」
3.すでに資産家である資産リッチ層、特に地主のような不動産富裕層の「相続税対策」
「不動産投資家」というカテゴリであれば、通常は1が想定されるわけですが、目的によってその設計や運営スタイルはまったく異なるものになります。法人は目的に沿った設計・運営をしなければなりません。1で想定される設計と、3で想定される設計は通常異なるものです。
今回はこの中でも、3の不動産富裕層の「相続対策」を主目的として法人設立をする場合について解説していきたいと思います。相続対策という明確な目的があるので、法人もその目的に適合する形で設計される必要があり、そうでないとリカバリーも難しくなる可能性もあります。
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