半期に1度、融資に関するアンケートを実施し、その結果を調査・分析する本企画。今回は、2023年4月~2023年9月までの半年間の融資動向について、約360人の投資家に行ったアンケート結果を公開する。

前回の調査では、前々回と比べて金融資産・年収が高い人の割合が増加し、「属性を理由に融資を断られた」など審査基準が厳しくなっている傾向が見られた。

一方で今回は、融資を受けた投資家の金融資産・年収は低下傾向に。回答者の中には「一部の金融機関で融資方針が変わり、積極的になった」と感じた人もいた。

また、「融資がおりた金融機関ランキング」では、オリックス銀行や三井住友トラストL&Fを抑え、あの金融機関が第1位に。

回答内容をもとに、昨今の金融機関の融資動向や「いま融資がおりる金融機関」について紐解いていきたい。

※アンケート結果のダウンロード期間は終了いたしました。

 

金融資産・年収は減少傾向

今回のアンケートでは、期間中に融資がおりた物件を1人2物件まで回答してもらい、約400事例が集まった。金融機関数は約130行となった。

以降は、アンケート結果をもとに投資家の属性や融資の傾向を掴んでいきたい。

※対象の融資期間:2023年4月~2023年9月
※有効回答数:403事例(1人2事例まで回答可)

■本業年収
家賃年収を除いた本業年収をみると、1000~1500万円が22%と最多。次いで、800~1000万円が21%、600万~800万円が18%となった。

前回(2022年10月~2023年3月)編集部が行ったアンケート調査では、1000万円以下は57%だったが、今回は59%と2ポイント増加。

一方で、1000万円以上は41%と、前回の43%から2ポイント減少した。

■金融資産
金融資産については、1000~3000万円が最も多く30%だった。次いで500万円以下が16%、3000~5000万円と5000万~1億円が15%となった。

金融資産3000万円以上の割合は、前回は44%だったのに対し41%と、3ポイント減少した。一方で、1000万円以下の割合は24%から29%と5ポイント増加しており、金融資産が低い層の割合が増加していることがわかる。

■負債額
負債額は、1億円以上が32%と最多。次いで5000万~1億円が25%、1000~3000万円が16%となった。3000万円以下の層は前回と比較して4ポイント増加した。

金融資産・年収が低い層が増加したのは、本記事の後半で紹介する「物件種別」の割合が変化したことが影響していそうだ。

金融資産「1億円以上」で金利が大幅に低下

融資条件についても見てみよう。具体的にどのような属性の人が、どのような条件で融資を引いているのだろうか。

金融資産額によって「金利」がどのように変わってくるのか調査した。

金融資産が多いほど、「金利1%未満」の割合が増加していることが分かる。金融資産5000万円までは「金利1%未満」は5%以下だが、5000万円を超えると13%、1億円を超えると33%となった。

一方で、金利4%以上の割合は、金融資産が多くなるほど減少していることがわかる。

また全体でみると、金利はやや上昇傾向にあるようだ。金利が0~2%未満の割合は53%となっており、前回と比べて5ポイント減少した。一方で、「金利3%未満」の割合は2ポイント、「金利4%以上」の割合は3ポイント増加していた。

アンケートでは、「金利を上げさせてほしいと金融機関から交渉された」という声や、想定より好条件の「金利1%台前半で融資を引けた」という声もあった。

■事例1:「金利0.5%引き上げ」を打診される
【融資情報】
金融機関名:千葉銀行
物件種別:木造一棟アパート
物件価格:1億1800万円
融資条件:金利1%、返済期間25年、自己資金約1割

【投資家の属性情報】
年収(家賃年収を除く):2000万~3000万円未満
金融資産:5000万円~1億円未満
不動産投資歴:10年~20年未満
年間家賃収入:100万~300万円未満

都内在住の会社員Aさんは2023年9月、3棟目となる木造新築一棟アパートの融資を、以前から付き合いのある千葉銀行で受けた。

土地の費用と建築費あわせて1億2000万円のうち、融資可能と提示されたのは1億890万円。そのうち1億500万円を借り入れた。返済期間は当初30年になりそうだったが、25年に短縮されたという。

金利については、一定期間固定の変動金利を提示された。

当初は「5年間1%固定」という条件だったが、昨今の金利情勢をふまえ、千葉銀行から「5年間1.5%で固定に変更させてもらいたい」という打診があったという。

「0.5%アップは急激すぎる」と感じたAさんは交渉を行い、最終的には「3年間1%固定」の条件で落ち着いたそうだ。

■事例2:金利1.1%、自己資金1割未満と好条件で融資獲得
【融資情報】
金融機関名:関西みらい銀行
物件種別:木造一棟アパート(新築)
物件価格:1億円
融資条件:金利1.1%、返済期間35年、9500万円

【投資家の属性情報】
年収(家賃年収を除く):800万~1000万円未満
金融資産:3000万~5000万円未満
不動産投資歴:5年~10年未満
年間家賃収入:3000万~5000万円未満

今年6月、兵庫県神戸市内に4棟目となる一棟物件を購入したBさん。関西みらい銀行で、物件価格1億円に対し9500万円の融資を受けた。

購入したのは建売の新築木造アパートで、表面利回りは8%。

「もともとは中古の一棟RCを検討していましたが、目線に合う物件が見つかりませんでした。利回りで考えると新築木造と同程度の物件が多かったので、それなら手の掛からない新築を、と考えて購入を決めました」(Bさん)

関西みらい銀行との取引は2度目だというBさん。今回、自己資金は1割未満、金利も1.1%と好条件での借り入れとなった。

「関西みらいさんは自己資金2割が求められるケースが多いと聞きますが、0.5割の自己資金で融資が受けられました。あくまで推測ですが、既存物件の実績アピールや、購入物件の収支予測などを作成して提出したのが良かったのかも知れませんね」

Bさんはこのほか、物件近隣の仲介業者に事前にヒアリングを行い、販売業者が作成したレントロールの見直しも行った。7%台後半だった利回りを8%台まであげる事ができ、担当者もその利回りで稟議を上げてくれたという。

「今回の担当者は不動産融資の実績が豊富で、相場観やエリアについてもよく知っていました。それもあって、私が作成した資料の内容や意図をうまくくみ取ってくれたのかも知れません」

将来的に10億円程度まで規模拡大を目指しているというBさん。

「関西の場合、大阪厚生信用金庫や大阪協栄信用組合、近畿産業信用組合など、不動産融資に積極的で融資上限額も高い金融機関がまだあると思っています。そうした金融機関と関係を作って、資産の組み替えもしながら買い進めていきたいですね」

区分マンションの融資事例が増加

融資がおりた人の属性に続き、融資がおりた物件の詳細についても見ていきたい。

■物件所在地
物件所在地を見ると、最も多いのが南関東で27%(前回26%)、次いで東京都で21%(同20%)となっている。

そのほか、近畿が15%(同14%)、中部が15%(同16%)、九州・沖縄が8%(同8%)など、おおむね前回と変わらない結果となった。

■物件種別
物件種別を見ると、もっとも多かったのは一棟アパートで46%。次いで区分マンションが26%、一棟マンションが13%、戸建賃貸が10%となった。

一棟アパートは、前回の50%から4ポイント減少、一棟マンションは前回の18%から5ポイント減少した。一方で、区分マンションは前回の20%から、6ポイント増加している。

物件価格の高騰により、一棟アパートの価格も上昇傾向にある。楽待が7月に公開した、2023年4~6月期の「市場動向レポート」でも、一棟アパートが集計開始以来の過去最高額を更新した。

そのような中で、一棟物件から、区分マンションなど比較的低価格な物件に目線を移す投資家が増えたのかもしれない。

■物件価格
物件種別の割合が変化したためか、物件の価格帯にも変化がみられた。

前回は3000万円以下の物件が37%だったが、今回は47%と10ポイント増加。一方、5000万円以上の物件は45%から39%と、6ポイント減少している。