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2005年8月に開業した首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線の六町駅。その周辺では長年、約69ヘクタールに及ぶ土地区画整理事業が実施されてきた。

特に注目すべきは、2026年度中の完成を目指している複合商業施設だろう。

単身世帯からファミリー世帯、老若男女問わず楽しめる施設の開業により、今後より多くの人が行き交うエリアになることが期待されている。

今回は、足立区にある六町駅前の開発計画の概要や最新情報を紹介する。

足立区にある六町駅の特徴とは

東京都足立区にある六町駅は、秋葉原まで約10分、北千住まで約15分の距離にある。2012年以降は、通勤快速が停車するようになった。

さらに、2020年からは区間快速の停車駅となったことで利便性が向上し、平均乗車人員は年々増加傾向にある。

六町駅の1日平均乗車人員は、開業年度の2005年が5200人ほどだったのに対し、2010年には1万人を超えるほどに増加。

2022年度にはその約1.5倍の1万5000人ほどにまで増加し、今後も利用者数が増える可能性が高い駅といえるだろう。

駅周辺には住宅街が広がり、スーパーやコンビニエンスストアも充実していて、子育て世帯も安心して暮らせる環境が整っている。

六町駅南の交差点(筆者撮影)

このように駅周辺の利便性が向上した背景には、再開発による利用客の増加があるようにも思われる。

開発による人口増加に期待

六町駅周辺では、「土地区画整理事業」と「駅前区有地の民間活用事業」が足立区主導のもとで進められている。目的は、駅周辺の人口増加や交通の利便性向上などだ。

土地区画整理事業の対象は六町駅周辺約69ヘクタールの土地で、2005年のつくばエクスプレスの開業に先駆けて始動していた。

2022年度末には整理が完了しており、今後は交通アクセスの向上を目的に新たな道路や公園、住宅地などの整備が行われる予定だ。

一方、駅前区有地の民間活用事業は、行政により選定された民間事業者が、複合商業施設と駐輪場の整備及び運営を行うPPP(Public Private Partnership、行政と民間が連携して財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図る)事業だ。

2023年7月には、株式会社高島屋の連結子会社である「東神開発株式会社」が整備・運営事業者に決定した。

本事業の中心は、「まちの交流拠点施設」として駅前に建設される複合商業施設だ。2024年に着工、2026年度中の竣工・開業を目指している。

複合商業施設の建設計画地(出典:足立区

出店店舗については未公表だが、地域の多様な生活ニーズに応える幅広い業種・業態の集積を目指す計画となっており、六町駅周辺の新たなランドマークとなることが期待されている。

これらの再開発による六町駅周辺の人口増加について、数値目標はあるのだろうか?

筆者が東神開発に問い合わせたところ、「現時点で具体的な数値目標は設定していません」とのことだった。

「六町エリアは都心への交通アクセスで類似する他エリアに対し、比較的足元人口に成長余地があると考えています。そのため、駅前への商業機能の充実により利便性を高めれば、長期的な人口増が期待できると想定しています」と担当者は続けた。

開発によって人口増加が見込めるエリアであることを、改めて強調していた。

六町駅前の現在の状況

現地を訪問したところ、複合商業施設の着工が1年ほど先となっているためか、開発が活発に進んでいる雰囲気は感じられなかった。

複合商業施設が建つ予定の駐輪場前(筆者撮影)

複合商業施設の建設予定地である、駅前の区営の広い駐輪場には、多くの自転車やバイクが停まっていた。

この駐輪場がなくなれば困る方が多いのではないかと感じたが、東神開発によると「計画建物内に定期駐輪場600台以上を整備する予定」とのことだ。

また、建設エリアのすぐ近くには、高松建設による新築マンション(仮称:六町・石鍋マンション)の建設が進んでいた。

建設が進むマンション(筆者撮影)

マンションは地上7階で、用途は共同住宅36戸と店舗、工事完了は2024年3月予定だ。複合商業施設の完成より前に販売が開始する可能性が高いと思われる。

駅前の複合商業施設の建設を踏まえると、このような物件の市場価値上昇が期待できるだろう。

官民連携のまちづくりの特徴

開発を手掛ける東神開発は、過去にも行政・地域と連携した開発の実績がある。培ってきたノウハウや経験を、六町駅エリアの開発で活かすことを掲げている。

例えば、流山おおたかの森エリア(千葉県・流山市)では、市の推進するブランディング戦略と足並みを揃え、官民連携のまちづくりを推進してきた。

流山市が管轄する駅前広場(森のまち広場)で賑わい事業を展開したほか、流山市と街づくり・子育て・災害対応などにおける相互連携と地域活性化への取り組みを定めた「地域活性化に関する包括連携協定」を締結してきた実績がある。

六町駅前の区有地活用事業における、東神開発の具体的な取り組み内容は現時点で未定だが、足立区や地元団体との連携を構想しており、官民連携のまちづくりの実績・ノウハウを活かした施策が期待されている。

六町駅周辺は都心への交通アクセスが良く、伸びしろのあるエリアといえるだろう。

つくばエクスプレス線の開業前から行われてきた土地区画整理事業は2022年末で完了し、2024年7月には駅前の複合商業施設の建設が始まる予定だ。

今後は、さらなる駅前の活性化や人口の増加が見られるかもしれない。複合商業施設の開発によって周辺物件の価値の上昇なども期待できるため、同エリアに建設される他の物件も注目したいところだろう。

(伊野文明/楽待新聞編集部)

伊野 文明
宅建・FP2級等の知識を活かし、不動産ライターとして活動。
賃貸経営・土地活用に関する記事執筆・監修を多数手掛けている。ビル管理会社で10年以上の勤務経験があり、建物の設備管理や清掃に関する知識が豊富。