はじめに

前回に続いて、不動産会社とトラブルになってしまった場合について考えてみたいと思います。
不動産会社さんとのトラブルが発生すると、戦闘モードになって気持ちが高揚するなどの数少ないメリットがありますが、当然関係はこじれますし、金銭・労力・時間など多くのものを失ってしまいます。
トラブルの解決法について説明する前に、トラブルが起きないための努力をしたいところです。

3つめのトラブル発生要因

さて、前回のコラムではトラブルが発生するパターンとして
1 しっかりやってくれない、またはやりたくない事情がある。
2 相手側の明らかなミス。

の2例を挙げましたが、3つめのトラブル発生要因は「行き違い」です。
価値観とか判断基準について、自分と相手の考え方が異なるために、お互い自覚がないのにも関わらずトラブルになってしまう・・というパターンですね。

「メールを受信したら、当日中に返信をするのが当たり前だ」と思っている大家さんと、「メールは出社したら1回チェックするだけ。
その後に届いたメールは翌日回し」という不動産会社さんがいた場合、どちらが間違っているという訳ではありません。
ここで「メールの返信が遅い!」と怒ったところで、相手は反省も改善もしません。

不動産購入の現場でいうと、「買付証明書には法定拘束力もないので、気になった物件があったらとりあえず買付を出してください」という不動産会社さんもいれば、「買付は印鑑のない契約書のようなものだ」として、取下げなどもってのほかだという不動産会社さんもいます。
(個人的に「融資が確定する前には、買付を出さないでください」と言われたことさえあります)
前者のスタンスに合わせて後者の会社と付き合おうとすると、トラブルになりそうなのは容易に想像が付きますよね。

この行き違いを未然に防止するためには、高度なコミュニケーション技術が要るので難しいのですが、ぼくの場合は「これは確認しておいた方がいいな」というポイントを事前に察知できるように心がけています。

不動産購入の場面でいうと「追加の資料を請求するとき」「現地に立ち会ってもらいたいとき」「指値買付を入れるとき」「契約場所を決めるとき」など、マメに「これって大丈夫ですか?」と確認を取るようにしています。
「~という理由で少し価格交渉をしたいんですけど、いきなり希望額で買付を入れて怒られたりしませんかね?」みたいな感じですね。

もちろん、こちらの説明が不完全だったり、十分な意思疎通ができていなかったりすることで行き違いが発生するケースもあり得ます。

重要な場面であいまいな表現を多用することは避けるとか、大事なことは電話ではなく文章として残る手段を使うなどの工夫をするなどして、ムダな行き違いを避けるよう心がけるべきだと思います。

トラブル解決で心がける、たったひとつのこと

ということで、意外と簡単にトラブルというのは起きてしまうのですが、こういったビジネスの場でのトラブル解決については、友達や家族と言い争いをした場合とは根本的に異なります。

相手が友達や家族の場合は「自分も相手も、永続的に良い気分でいる」「より深いつながりを作る」などがコミュニケーションの目的だと思います。

しかし前者の場合は「自分の不動産投資(やビジネス)においてメリットのある存在でいてもらう」ことが相手と付き合っていく目的です。

もちろん、ビジネス上のお付き合いであっても人間的に好きで尊敬できるような人はたくさんいますし、そういう方とはプライベートでも仲良くしていくことをお奨めします。
ただ、そうでない場合でも、ビジネス上大切にしたい(するべき)人や会社であれば、自分が上手に立ち回ることで関係を維持向上していくほうが賢いと思うのです。

例えば友人同士の言い争いで「お詫びの言葉ひとつもないのは許せない」みたいなフレーズはよくでてきますよね。
ここでのお詫びの言葉が欲しい目的は、「それで自分の気が済むから」とか「相手に反省をさせたいから」などでしょうか。

しかし、不動産購入の場面で業者さんとトラブルがあった際に、気持ち的に自分が満足したり、相手に反省をさせても投資活動自体には何もメリットがありません。
むしろ、屈辱的な気分を味わってしまった相手方は、今後良い物件があっても自分に紹介してくれなかったり、価格交渉や調査のために頑張ってくれなくなってしまう可能性が高いです。

ですから不動産会社さんとのトラブル解決で一番重要なのは、「相手の気分を害しない」ということです。
相手を不快にさせてもメリットはありません。自分の気分的な満足より、実利を取りましょう。

自分にはまったく落ち度がなかったと思えても
「すいません。こちらの説明不足でしたが・・」とフォローを入れつつ善後策について話し合います。

相手がこちらの求めるレベルの仕事をしてくれない際でも「こちらとしては○○をお願いしたいのですが、御社側の事情で難しいようでしたら、ぼくの方で何か改善できることはありますでしょうか」というような言い方をします。

前回のコラムで、有線放送使用料について事前説明を受けていなかったことについてのやりとりを紹介していますが、ぼくは「あなたが悪い」的なニュアンスで話をしていないのが分かるかと思います。

ここでの目的は相手に謝ってもらうことでも反省させることでもなく、狙った利回りを確保することにありました。
目的が達せられるなら、逆に自分がお詫びしてもいいくらいです。

「有線放送については、当然ぼくの方で確認しておくべきでした。
申し訳ありません。ただ、○○円価格が下がらないと利回りが確保できないので、下がらない場合は購入できません。
ご迷惑をお掛けしてすいませんが、何とかなりませんでしょうか」と言って価格が下がるなら、もちろんそうしたはずです。

こちらはお客さんですから、強引にお詫びをしたとしても責められることはありませんから大丈夫です。(笑)
ここはひとつ「オトナ」になって、いい投資家を演じてみるのはいかがでしょう。