はじめに

このコラムは、繁忙期も一段落という時期に更新されると聞いています。
既に物件を所有している皆さまは、満足の行く成果がありましたでしょうか。

ぼくが物件を所有している富山や石川は、年明けから10年に1度レベルの大雪が続いたので、入居付けの前に除雪を頑張らなければならないなど、かなり苦戦してしまいました。
持ち物件の中には少し入り組んだ場所にあるマンションがありまして、そこに内見者さんを案内する時に、道路の雪が積もりすぎていて現地に到着できなかったという、悲しい出来事もあったり。(笑)

そこで今月と来月は、物件を購入したあとで大切な「管理・賃貸仲介会社との関係を強化する方法」についてお話をさせていただきたいと思います。

管理会社が入居付けを頑張ってくれない「ホントの理由」とは!?

これまで、このコラムでは売買に携わる仲介会社さんとの関係構築法について取上げることが多かったのですが、不動産業者では「売買が得意な会社」と「管理や入居付けが得意な会社」は完全に分かれていることがほとんどです。

物件を購入するまでは、「いかにも不動産会社の人」という感じの、個性の強い業者さんとのやりとりが中心になりますが、一般的な不動産管理会社に勤務する社員さんは、もっと普通な感じです。
また、女性社員さんの割合が多いことも大きな違いですね。
相手への「お金などの直接的な収益」というよりは、「仕事のしやすさ」や「ストレスがない」などの要素がより大切になってきます。

まず、「どうも管理会社の動きが悪いな」「入居付けを頑張ってくれているようには思えないな」と感じている大家さんは、ご自身が管理会社の業務を妨げるようなことをしていないかを自問してみることをお勧めします。

例えば、管理会社が内見者から家賃や敷金礼金についての交渉を受けるようなことも最近は増えましたが、交渉に応じるかどうかについては電話で大家さんに確認を取ることがほとんどです。
こんな時、現場はかなり緊迫した状況になっています。
条件が通れば入居が決まり、仲介手数料や広告料が入ってきますが、通らなければ内見は無駄足に終わります。
同じ管理会社で案内した他の物件に決めてくれればまだ良いのですが、別の不動産会社に行かれてしまうと、物件資料を印刷して渡したり、車に乗せて現地の案内をした行動がムダに終わってしまいます。
「交渉に応じてくれたらいいなぁ」という気持ちで、電話を掛けている訳ですね。
もしかしたら、内見中のお部屋の中から電話をしているかもしれません。

こういう場では、大家さんとしてはできるだけ条件交渉に応じてあげたいところです。
電話を掛けてきた営業マンも、「この条件でも入居させたい」という内見者だから相談をしているはずです。
「家賃を半額にしてほしい」なんていう無茶な交渉であったり、値下げをしてまで入居させたくないような人である場合は、大家さんへの相談なしに断るはずですよね。
こういう背景事情を汲んであげていれば、「値下げ??そこを説得するのが営業マンの仕事だろう?」みたいな、身も蓋もない返答をしてしまうことはなくなるはずです。

でも、実際に管理会社の営業マンに聞いてみると、家賃交渉で大家さんに怒られてしまったという経験のある人は結構います。
このような電話があった際には、まず「内見に連れて行ってくれてありがとう」というお礼から始めてください。

「こんな時」こそ自分をアピールするチャンス!

そのほか、「退去時の原状回復について、リフォームの見積もりの確認」とか「換気扇やエアコンが故障して修理に○○円かかります」という報告など、大家さんが何らかの判断と返答をしなければいけないようなケースが、不動産管理の現場では割と頻繁にあります。

大家さんとしては各々の見積もりについて詳細に吟味し、コストダウンに努めたくなるかと思いますが、繁忙期の管理会社さんは1日に何件もの退去立ち会いや修繕発注をしなければならず、非常に忙しいということを理解することが大切です。

ここは、価格についてはある程度妥協してでも、管理会社の業務をスムーズに進めることに協力してあげることに注力しましょう。

管理会社から良いイメージを持ってもらい、入居募集を一生懸命やってもらえば、リフォーム費用が多少高かったとしてもすぐに回収できるはずです。

条件交渉であっても修繕の見積もり確認であっても、携帯電話やメールなどのレスポンスは素早く行うことが必須です。
ご自身が仕事などで日中の連絡が取りにくい状況であっても、家族の方などで対応できるような仕組みを作るようにしてください。

日常のコミュニケーションでは、ぼくは「理不尽なことを言わない」ということを心がけています。
管理会社からの連絡は、入居が決まったという良い報告以外は、「退去」「設備の故障」「トラブル」など、ほとんどが嫌な内容です(笑)そんな時でも、電話口で担当者に怒ったりするようなことはせず、冷静かつ明るく対応するようにします。

退去や設備の故障は管理会社の責任ではありませんので、ムッとしてもしょうがないんですよね。

こういう時こそ、「自分はほかの大家さんとは違う」ということをアピールするチャンスだと思って、カッコイイ対応をするように心がけましょう。

このように、管理会社の業務遂行に協力していれば、大家さんとの関係が深まってきて、「あ。この人(管理会社の担当者さん)は本当に空室を埋めたいと思ってくれているんだな。」ということが感じられるようになると思います。

それでも空室がなかなか埋まらない場合に最初に行うことは、空室が埋まらない原因はどこにあるのかをはっきりさせることです。
この具体的な方法については、次回のコラムでお話したいと思います。