はじめに
今回が3部作の最終ということで、いよいよ「実際に空室を埋めるにはどうしたらいいか」についてお話したいと思います。
※これまでの「管理会社編」はこちらで読めます。
○管理・賃貸仲介会社との関係を強化する方法(前編)
○管理・賃貸仲介会社との関係を強化する方法(中編)
空室を埋められるスキルを身に着ける=高利回り物件取得のチャンス!!
利回りがいくら高い物件であっても、恒常的に3割以上の空室が続いているようなアパートやマンションは、なかなか買い手が付きません。
「これから入居率を上げていこう!」と積極果敢に購入できる人よりも、「このまま空室が続くのだろうな」「もしかしたら、さらに入居率が下がるかも」と不安になる人の割合が断然多いようです。
逆に、物件の将来をしっかり見極め、購入後に空室を減らしていけるようなスキルを持った投資家さんは、破格値で物件を購入できる可能性が高くなります。
高い空室率のために安く購入できた物件を、将来自分が売却する際には、満室に近い状態で売りに出すことで、今の日本ではなかなか難しい「キャピタルゲイン(転売収入)」を得ることも不可能ではありません。
さらには、高い入居率を維持することは、金融機関からの評価を上げる大きな要因にもなりますので、新規の物件取得がどんどん楽になっていくことにもつながります。
どれだけ高利回りの物件を購入しても、しっかり満室をめざして運営できなければ意味がありません。
さて、入居率を上げるためには「物件をリフォームしてキレイにする」「設備を増強する」「家賃を下げる」「家具付きの部屋にする」など、いろいろな手段がありますが、ぼくが日頃から重視しているのが「募集力を上げる」というものです。
「募集力」とは、自分の空室がいかに熱心かつ的確に募集されているかということです。
たくさんの仲介営業マンが、物件の特徴やウリ(USP)をしっかり把握して、最優先に近い熱意をもって内見客にお奨めしてくれれば、空室の期間はずっと短くなるはずです。
では、どんな場合に仲介営業マンが、他の物件以上の熱意をもって自分の空室を埋めてくれるのかというと、大きく分けて以下の3パターンが考えられます。
・その部屋を決めることで、自分にメリットが大きい
・部屋が決めやすい
・条件面以外の人間関係
営業マンに空室を埋めてもらうための具体的なポイントとは!?
社員さんにノルマを課したり、成果報酬を支払っていたりすることも多いでしょう。
賃貸に携わっている方は、売買に携わっている方に比べてガツガツしていない印象がありますが(笑)、どちらも同じように営利事業をしている訳です。
ですから、広告料などの条件面で他の物件に遅れを取っていると、他の面で優位であってもなかなかお奨めされません。
「その部屋をきめることで、自分にメリットが大きい」と思ってもらう必要があります。
広告料も積み重なってくるとバカにならない金額ではありますが、空室損が積み重なるよりはマシです。
最低限、地域平均くらいの広告料を支払うことは必須だと考えています。
また、広告料を支払うことで、管理会社が他の仲介会社に情報を広めてくれる確率がぐっと高まります。
他社が入居を決めてくれた場合でも、自社(管理会社)には1ヶ月分の広告料が入るという安心感があるためです。
部屋探しをしている人がどのお店に行っても、自分の物件がお奨めされるなんて素晴らしいですよね。
次に「部屋が決めやすい」というのも重要です。
内見に連れて行っても極端に成約率が悪い場合は、次第に内見が減っていったり、さらに悪い場合は他の物件の「当て馬」に使われるようになってしまいます。
ある程度高い確率で、内見者が入居を決めてくれるような部屋であれば、仲介営業マンに案内される割合もぐっと高まります。
仲介に携わっている方に話を聞くと、「内見の成約率は○件に1件くらい」という水準が分かりますので(地域によって結構違います)、その水準は上回るようなお部屋作りを心がけましょう。
内見があっても成約に至らなかった場合は、できるだけ理由を確認して改善していくことをお奨めします。
ちなみに、成約率を下げる原因となる主な理由は「部屋が汚い」「設備が古い」「日当たりが悪い」など、紙やネットの情報では分からない要因がほとんどです。
また、中には「そこはあなたしか気にしないでしょ」というようなどうでもいい理由で、入居を見送ってしまうような内見者も少なくありません。
しかし、そんな気持ちをぐっと堪えて、その都度できる限りの改善をしていきます。
改善結果はもちろん内見に連れて行ってくれた仲介営業マンにフィードバックします。
それを繰り返していくことで、部屋のグレードも上がっていきますし、営業マンからの信頼も高まってくるのです。
最後に「条件面以外の人間関係」ですが、これは単純に「営業マンや管理会社に好かれているかどうか」です。
こちらについては、好かれるといってもあくまでビジネスを通じたお付き合いなので、前編で紹介したような「レスポンスを早くする」「柔軟な対応」「理不尽なことを言わない」などを心がけて、相手の良きビジネスパートナーとなることを目指してください。
ただし、ビジネスの垣根を越え、プライベート面でもガチガチに仲良くなって、本当の友達として付き合っていけるような間柄になることができれば、とてつもない威力を発揮することは間違いありません。
ということで、物件購入後にお世話になる管理会社や賃貸仲介会社との付き合い方について、3回に分けてお話させていただきました。
次回はまた、楽待に登録されているような「売り物件を扱っている不動産会社」とのコミュニケーションをテーマにしたいと思います。
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