はじめに

楽待コラムをご覧の皆様、こんにちは。
今回で楽待さんでの連載もひとまず終了ということになりました。
「物件診断」「不動産会社との付き合い方」という2つのテーマで執筆をしてきましたが、今回はそのまとめです。

大規模大家さんに学ぶ「事業化」への道

以前、「資産増殖ドリームマッチ」というイベントを開催しました。
サラリーマンの方が副業または投資としての位置づけで収益不動産を購入しているのとは対照的に、「専業」「事業」として本格的に取り組むことで、規模の拡大に成功しています。

一般的に、収益不動産向けの融資には「年収の20倍」「2億円」などの壁が存在すると言われています。
また、「スルガ銀行の融資姿勢が変わった!」とか「●●銀行は最近融資に積極的らしい」というような会話は、大家さん同士の懇親会などでよく出てくるフレーズですね(笑)
しかし、不動産投資を「賃貸業」という事業としてとらえると、どうでしょう。

日本のほとんどの銀行が事業に対して融資をしていますので、地域の金融機関のほとんどが融資申込先の候補となります。
また、どんなに小さな信金や信組でも、億単位の融資先はいくつもあります。
不動産投資を「事業」ととらえることで、一気に拡大への道が見えてくるのです。

ぼく自身、ドリームマッチに出演された講師の方に触発され、自らの不動産投資を事業としてとらえてみることにしました。
すると、これまでになかった世界がちょっとだけ見えるようになってきたのです。
具体的には

・既取引の金融機関から、収益物件購入の打診をされた。
・不動産会社から、金融機関の融資担当者を紹介してもらった。
・価格が決まっていない任意売却物件の情報をもらった。
・銀行や不動産会社の方が、わざわざ来てくれるようになった。

地道にネットで検索をして、こちらから問い合わせ。
買付が通れば銀行に電話をして、資料をまとめて指定された日時に訪問する・・といった従来のパターンから比べると、少しだけレベルアップした気がしました(笑)

では、不動産会社や金融機関から、不動産投資を「事業」ととらえてもらうにはどうしたらいいかということですが、自分の経験から話をすると以下のようなものです。

1.法人化して、自社の決算書をしっかりと把握する。
2.物件を選ぶ前に人と会う。
3.できれば社員を雇う。

ひとつずつ解説していきましょう。

「法人化」と「決算書」の重要性

事業たるもの、法人化しているべきだと思います。
一般的に不動産投資においての法人化は、所得の分散などによる節税を目的とするケースが多いと思いますが、「不動産賃貸業に本気で取り組んでいるぞ」という意気込みを見せるために法人化します。
大規模化している大家さんは、かなり早い段階から法人を設立し、法人での物件取得を進めてきた方がほとんどでした。

また、節税手段は確かにいろいろありますが、節税をするということは会社の利益を(少なくとも書類上は)減らすということになり、これは融資をする金融機関からすると「評価を下げる」ということにつながります。
経常利益が毎年プラスになっているか。
自己資本比率は一定以上であるか。
債務と経常利益のバランス(債務償還年数)は適正か・・など、金融機関が重要視するポイントを良く見せるような経営をしましょう。
金融機関から良い評価を得られるようになると、不動産会社の対応も目に見えて変わってきます。

「物件ありき」ではない

検索サイトで良さそうな物件情報を見つけると、どこの会社が取り扱っているかもよく確認せずに、問い合わせフォームから資料請求。
送られてきた資料がイマイチだったら、そのまま放置…なんて方も多いかと思いますが、大規模な大家さんは不動産会社との付き合いが質量ともにずば抜けています。

物件をきっかけに不動産会社とのコンタクトを始めるというより、「自分はこのような物件を購入したいです。
情報が出た際にはぜひお願いします」という感じで、先に不動産会社との接触をしていることが多いです。

そういう意味では、楽待さんのプレミアム会員というシステムは、多くの不動産会社に自分のことを知ってもらうことができるので便利ですね。
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また、資料請求をした物件がイマイチだった場合でも、自分のニーズに近い物件を取り扱っている不動産会社との縁ができた訳ですから、その後も継続的に案件の紹介が得られるよう、しっかりとアピールしておくべきだと思います。

事業として不動産投資を考えた場合、売り物件を取り扱っている会社は、重要な「仕入れ先候補」です。
他業種で仕入れを担当している人が、普段どのような活動をしているかを考えると、不動産会社とどのように接すればよいかが掴みやすいのではないかと思います。

金融機関も同じで、実際に購入案件が浮上して融資の申込をするずっと前から、自社の決算書を見てもらい、賃貸業への取組方針を説明し、「案件が出たらすぐに融資できます」という感触を得ておくくらいを目指したいものです。

できれば社員を雇おう!

事業を行っている会社というものは、通常平日の日中は連絡が取れるものです。
連絡は携帯かメールのみという取引先では、「本気で事業に取り組んでいる」とは見なしてもらうのは難しいでしょう。
専用事務所や専用電話とまではなかなかいきませんが、奥様でもパートさんでも良いので、取引先から電話があった場合にしっかりと受け答えができる人を確保しておくことをお奨めします。

ということで賃貸業として規模を拡大していくための「事業化」と、事業として不動産会社や金融機関と付き合う方法についてお話させていただきました。
もちろん、そこまでの時間や労力を掛けて不動産投資に取り組むだけが正しい方法ではありません。

購入も運営も、自分の関与は最小限にして、あくまで投資として不動産と関わっていくのもひとつの正しいスタンスだと思います。

自分は不動産にどう関わっていくのか、目指す方向と場所はどこなのかをはっきりさせた上で、それに合ったスタンスを貫いていくことが成功への近道であると考えます。