「私は積算価格を利回りの次に重視しています」

こう語るのは「地方高利回り絶対主義」大家の中島亮さん。利回り重視を公言する中島さんですが、実際に物件購入を検討する際には積算価格をはじめ、複合的な判断を行っています。

今回は、中島さんが普段ポータルサイトで物件を探すときのステップと「熟練の投資家より計算が早い」という積算価格計算ツールの使い方を解説します。

中島亮
不動産投資歴21年。「地方高利回り絶対主義」を掲げ、北関東の高利回り物件を中心に40棟405室を保有。年間家賃収入は1.9億円、年間CF4700万円。

>中島亮さんの解説を動画でご覧になりたい方はこちら

「高利回り絶対主義大家」が積算価格を重視する理由

皆さんこんにちは。「地方高利回り絶対主義大家」の中島亮です。今回は不動産投資を行ううえで非常に大切な、積算価格についてお話していきたいと思います。

不動産投資家にとって積算価格は、物件の適正価格を探る手段の1つです。不動産には定価がなく、販売価格は主に売主の売却希望額によって決まるため、相場よりも高値で売り出されている可能性があります。

高値掴みを避けるためには路線価を調べて積算価格を計算し、販売価格と大きな乖離がないかを確認することが重要です。

また、金融機関にとっては物件の担保価値を判断する基準になります。金融機関によっては、融資上限額を積算価格の70~80%と定めているところもありますので、融資戦略という意味でも積算価格は重要です。

私が積算価格を重視する最大の理由は、保有している物件の積算価格と、残債のバランスが悪いと、仮にその物件には融資が出たとしても、次の物件に融資が出づらくなってしまうためです。

長期的に融資を引いて不動産投資を行うためには、バランスシートの均衡を維持する必要があり、そのためには積算価格の把握が重要です。

楽待の「積算価格シミュレーション」を使うと、物件の積算価格を簡単に調べることができます。試しに以下の物件の積算価格をシミュレーションしてみたいと思います。

<物件1 ※過去に楽待に掲載されていた物件>
・販売価格 :1550万円
・表面利回り:15%
・物件所在地:神奈川県小田原市

物件のページで「路線価を調べる」をクリックすると、物件の所在地から近い順に3か所の路線価が表示されます。どれを選ぶかは人によりけりでしょうが、私は物件から一番近くの路線価を選択しています。

3つの路線価で価格が大きく異なる場合は、より慎重なシミュレーションが必要です

路線価を選択すると積算価格が瞬時に表示されます。積算価格を構成する土地評価額と建物評価額の割合も自動で計算されます。

計算によると積算価格は1263万円で、販売価格は1550万円なので、販売価格に対する積算価格の比率が比較的高い物件といえるでしょう。

中島亮の積算価格シミュレーション活用法

実際に私が物件を探す際は、エリアは北関東、物件種別は一棟マンション、一棟アパートに絞って検索します。

私は利回りを最も重視しますので、出てきた物件を利回りが高い順に並び替え、上から順番にいい物件がないかを検討していくという流れです。

例えばこの物件、利回りは非常に高いですが積算価格はどうでしょうか。

<物件2 ※過去に楽待に掲載されていた物件>
・販売価格 :2600万円
・表面利回り:34%
・物件所在地:群馬県渋川市

物件から一番近い箇所の路線価を選んで積算価格シミュレーションを使うと、この物件の積算価格は1307万円ということがわかります。

そうすると「販売価格2600万円に対してどうなんだ?」というように、検討を続けることができるわけです。

もちろん最初は利回りを見るわけなんですけれども、その次は必ず積算価格をチェックします。あまりにも販売価格と積算価格に乖離がある物件の場合はその段階で検討を中止します。

また、積算価格の大部分を占める土地評価額は用途地域にも左右されますので、注意が必要です。例えば、市街化調整区域の判断は非常に難しいです。

私は固定資産税評価額を参考に判断しますが、金融機関によっては市街化調整区域の物件は担保評価ゼロと判断するところもありますので、ゼロだと思った方が無難でしょう。

とはいえ、積算価格の低い物件や市街化調整区域の物件は絶対に買わないというわけではありません。

私はやはり最初に利回りを見ますので、これらの欠点を補えるだけの運用益を見込めれば、リスクを踏まえて購入することもあります。

また、現金で購入できる場合は新たに融資を負わないためバランスシートをそれほど毀損しませんし、1000万円程度の少額の物件も大勢に影響を与えないので、そういった場合は積算価格が低くても購入します。

外出先でのシミュレーションは「路線価マップ」で

購入判断の助けとなる積算価格シミュレーションですが、物件ページからだけでなく「路線価マップ」でも使うことができます。

「路線価マップ」は普段使っている地図アプリのようなマップ機能で、住所を指定するとその場所の路線価が表示されます。追加で物件情報を入力すると、物件ページと同じように積算価格が表示されます。

青く表示されている道路をクリックして路線価を表示し、必要な情報を入力すれば積算価格が算出されます

物件探しに慣れた投資家でも、積算価格を計算するために、1件あたり3分程度の時間がかかります。すぐに国税庁のサイトを開きづらい外出先などでは、さらに時間がかかってしまうでしょう。

それが「路線価マップ」を使えば、いつでもどこでも、わずか1分で計算できるようになります。たとえば、いま目の前にあるマンションの価格も、マップから現在地を検索して簡単に調べることができるのです。

優良物件はすぐに買付けが入ってしまい、急いだつもりでも2番手、3番手だったという話を聞くこともしばしば。「路線価マップ」なら、購入判断に必要な情報をスピーディに集めることができます。

今回は、積算価格シミュレーションの使い方について、中島亮さんに解説いただきました。外出中に気になる物件を見つけても、楽待アプリさえダウンロードしていれば、簡単に積算価格を計算することが可能です。

「まだ使ったことがない」「使い方がイマイチわからない」という方はこれを機に、ご自身の目線にあった物件を探すために積算価格シミュレーションをご活用ください。

>中島亮さんの解説を動画でご覧になりたい方はこちら

(楽待広報部)