はじめに
4月からこのコラムを担当させて頂くことになりました芦沢晃と申します。
始めに簡単に自己紹介をさせて頂きます。
「楽待」の皆様は良く御存知の、沢孝史さんが運営されている「お宝不動産」。
この「お宝不動産シリーズ」は沢さんご自身、著書を多数ご執筆なさっていらっしゃいます。
その筑摩書房さんから、2007年4月に「お宝不動産セミナーブック」(中古マンション投資の極意)という本を出版させて頂きました。
私の不動産投資履歴はここに詳しいので、是非ご一読頂ければと思います。
過去の楽待コラム筆者の皆様は、目覚しい手法で高い実績を築いていらっしゃる方ばかりです。
一方、私は現役のサラリーマン投資家で、不動産投資暦だけは14年目になりますが、中古区分所有マンションに現金投資していますので、規模、スピード、ノウハウは比べようがございません。
ざっくり言ってしまうと、区分所有投資は手間がかからないのが最大の特徴で、裏返せば、特別なノウハウが必要なく投資が回ります。そのため、極論すれば、御紹介できる特別な手法はあまりないのです。
そんな私にお声がけ頂けたのは、
「現役サラリーマンなら、こんな方法もありますよ。」
「区分投資の実際はこういう実情です。」
という実例をご紹介してください。との楽待さんからのご意向と理解しました。
特に、一棟物件に対して、区分物件への投資はパフォーマンスが限定される面も多いため、バブル後は殆ど人気がありません。
そのため、区分投資についての本も、(昨年当りから数冊の新刊がありましたが)最近は数えるほどしかありませんでした。
区分だけを好んでやっている「マニア」ということで、今月から1年間の連載予定となりますが、お付き合い頂ければ幸いです。
また、沢孝史さんのお宝不動産セミナーや、ファーストロジックさんの楽待コミュニティにも参加しておりますので、どうかお気軽にお声をお掛けくださいませ!
コラムの全貌
前述のように、区分所有投資を、投資家の立場から語っている書籍やコラムは意外と少ないと思います。
その最大の理由は、ズバリ「一棟物件に比べ総合的パフォーマンスが劣るから」と断言できます。
不動産投資最大のメリットである融資の担保価値がなく、レバレッジを効かせると与信を棄損します。区分所有権ゆえ、運営への裁量範囲が限定されます。資産価値も古くなる程安くなる区分より、老朽化しない土地がついた一棟が有利です。
スポンサーさんがついたTVとか、雑誌取材でははっきり言えないときもあり、辛いところでしたが・・・
そんな時、私を御紹介してくださる方々は、「不動産の善人投資家」などと、「よいしょ」してくださいます。
つまり、そういう区分に、しかも自前のキャッシュだけで投資している御人好しという意味では・・・
と理解しています(笑)
お宝不動産セミナーがきっかけで、色々なセミナーを担当させて頂く際、
「本に書いたことは読んだ。それ以降、それ以外の新しい話が聞きたい。」
と良くリクエストされます。
そこで、本コラムのタイトルもズバリ「本に書けなかった区分投資のお話」とさせて頂きました。
このタイトル、実は、私の大好きな作家、故・新田次郎氏(本名:藤原寛人)の「小説にかけなかった自伝」のパロディです(笑)
新田次郎氏は山岳小説で著名な作家で、元・気象庁測器課長として、富士山頂測候所の気象レーダーを完成させた、サラリーマン・エンジニア作家としても有名でした。
お金儲けの神様となられた邱永漢氏の「香港」とともに、昭和31年度、「強力伝」で直木賞を受賞されています。(次男のアメリカで数学者をおやりの藤原正彦氏著「日本の品格」が最近ベストセラーとなり、ご存知の方も多いことでしょう。)ちなみに、同年芥川賞は現在の東京都知事、石原慎太郎氏「太陽の季節」でした。新田次郎氏の気象庁最後の仕事となった富士山レーダー建設を小説化した「富士山頂」が後年、弟の石原裕次郎氏によって映画化されたのも不思議な縁でしょうか・・・。
筑摩書房さんからは、邱永漢氏最後(とご自身はおっしゃっておられます)の6部作のトップである、「お金持ちになれる人」という書籍も発売されています。ロバートキヨサキ氏がきっかけで不動産投資にお入りになられた世代以前の、ご年配の方々は、邱永漢氏がご自身にとっての金持ち父さんだった。という方も多いことでしょう。
芥川賞・直木賞の授賞式インタビューで、記者が受賞者に3人に対して、
「賞金は何に使いますか?」
との質問に、石原慎太郎氏が
「こういうお金は皆して飲んじゃうもんじゃないですか!」
と答えてくれ、新田氏は、内心ほっとした。と回想されておられます。
実は、新田次郎氏の「強力伝」は、それ以前サンデー毎日の懸賞小説で入選し、賞金100万円を得ていました。しかし、それは授賞式以前に使ってしまっていたのです。
偶然、吉祥寺で富士山が良く見える土地が気に入り、それをどうしても買いたくて、賞を前金で受け取り、式当日のご祝儀袋の中身は空っぽだったとのこと。
当時の月給が2万円程度の時代でした。たった100万円で吉祥寺駅近の土地が買えたとは、嘘のようですね。成長経済下にキャッシュを土地に変えた英断だったわけです。(今に例えると、10年前に中国の不動産会社株を買ったようなものでしょう)しかし、「小説に書けなかった自伝」によれば、ご本人は全くそんな先見があったわけではなく、偶然だったようです。正に、井戸水しかない原野が「お宝不動産」となったわけです。
それでは、お金儲けの神様となられた邱永漢氏は、直木賞の賞金を何にお使いになったか?興味ありますね(笑)
多分、その答えは受賞3先生のその後の人生から想像できるのでは?
話が大分脱線してすみません(笑)
そんな背景もあり、前述の書籍執筆以降、私自身が体験して、新たに気付いたこと、最新の区分所有投資を取りまく状況から分かったこと、など、書籍でご紹介できなかったことをタイムリーにお伝えできればと考えます。
それから、数式は分からない。というお声も頂きましたので、このコラムでは、数式は使わず、なるべく分かりやすい言葉でご説明できればとも考えております。
この連載について
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